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デビュタント以降、ルフェルニアは学業に励みながら、婚約者探しのために度々夜会に参加した。
しかし、夜会の度にユリウスに言葉巧みに操られて、毎回ユリウスがドレスもジュエリーも用意して、エスコートもすることになっている。
ユリウスに内緒で参加しようとしても、リリーが居るので、ルフェルニアの週末の予定は筒抜けだ。ルフェルニアはどうにかしてこの状況を打破したかったが、リリーの雇用主はミネルウァ公爵家なので、ユリウスからの命令に反したことをお願いして、リリーを困らせることはしたくなかった。
夜会中はユリウスがぴったりルフェルニアに寄り添い、一時も離れる気配を見せない。
ルフェルニアの明るい性格もあり、ルフェルニアは学園で徐々に令嬢の友人を増やしていた。その友人に夜会で話しかけられたときだけ、ユリウスは少しだけルフェルニアから離れる。
ただ、その間も視線はずっとルフェルニアの方に向いているのだと、友人達がはしゃぎながら教えてくれた。
ルフェルニアが友人といるとき、ユリウスが少し離れていることを良いことに、ユリウスとの関係について苦言を呈してくる令嬢は当然いた。ただ、ルフェルニアは、“ユリウスか私の婚約まで”と心を決めてからは、元々めそめそとする性格でもないので、軽くあしらえるようになっていた。
デビュタントの日にサムエルが言っていたとおり、ローズマリーを除いては、王立学園の高等部に通えなかった令嬢たちによるやっかみであることがわかってきた、ということも大きい。学園の友人達はルフェルニアの人となりを知ってか、友好的な令嬢が多いのだ。
それに、大体の場合はすぐにユリウスが寄ってきて冷たくその令嬢を追い払ってくれる。
ローズマリーはあの日のことがよっぽど堪えたのか、遠くからルフェルニアを睨むだけで、何も言ってこない。
ルフェルニアは学園高等部の2年生の社交シーズンが終わりに近づいたころ、はたと気づいた。
(こんなに近くにユリウスがいては、婚約者を探せないのでは…?)
ユリウスとルフェルニアがぴったりと寄り添っているときは、挨拶を交わす以外で誰も寄ってこないのだ。それに気づいてから、ルフェルニアは、社交は学園卒業後に頑張ることを決めた。




