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「ルフェ、僕は誰にも話してなんかいない。」


ルフェルニアがノックをして入室すると、ユリウスはルフェルニアにサッと近づき開口一番、こう言った。


「えっと…?私がユリウス様に告白した話ですか?」

「そうさ。僕は噂のようなことを絶対に話していないよ。」


ユリウスは、ルフェルニアがフラれた、という噂をルフェルニア自身が言いふらしているなんて考えもしなかった。

しかもその噂には「ユリウスはルフェルニアの付き纏いを困っていた」だの「ユリウスはルフェルニアを分不相応と言っていた」だの脚色が付いている。


あの告白の場にはユリウスとルフェルニアしかいなかったのだから、きっとルフェルニアはユリウスが言いふらしたと思っているに違いない、そう思ったユリウスは噂を耳にしてすぐにルフェルニアを慌てて呼び出したのだ。


「噂のことは気にしておりません。むしろユリウス様にも御迷惑をおかけして申し訳ございません。これからはちゃんと“普通の上司・部下”の関係を保つように気を付けます。」


ルフェルニアは敢えて自身が広めたことを言わず、堅苦しい敬語で返すと、ユリウスの瞳が悲しげに揺れた。


「僕は君に勘違いをしてほしくなくて…。ルフェは僕の恩人だし、小さいころからの仲じゃないか。そんな固いことを言わずに、今までどおり接してほしい。」


ユリウスは力なく話すと、ルフェルニアをじっと見つめた。ユリウスの方がずっと背が高いのに、上目遣いに見えるのは何かの魔法だろうか。ルフェルニアは小さいころから、縋るようなこの目に弱かった。

この目を見ると、「うん、わかった。」と何でも答えてしまいそうになるのだ。


ルフェルニアが思わずユリウスの美貌にうっとりしていると、家族の笑顔が脳裏をよぎる。


(っは!ユリウス様の美しさに、一瞬意識が飛んでいたわ!いやいやいやいやいや!!ダメダメ!決心したじゃないの!)


「ユリウス様…、今まで昔のよしみで仲良くしていただいたこと、大変感謝しております。ユリウス様は私を恩人だと仰いますが、私はそうは思っておりません。ただの子供のままごとの延長で得られたきっかけにすぎません。当時の研究者の頑張りがあったからこそ、あの病を乗り越えられたのです。」


「そんなことはない、そのきっかけこそが重要だったのだから。本当に感謝している。それに、志を同じくして今までずっと支えてくれたルフェとずっと友人でいたい。そんなに堅苦しい話し方、しないでよ。」


ユリウスは、“お願い”にルフェルニアが弱いことを知っている。自分の気持ちが伝わるように真っ直ぐにルフェルニアの瞳を見つめた。ユリウスは志のために仕事一筋で生きてきた。幼少期の病気の影響か、自身の感情の機微に疎いうえ、仕事のことばかりで“恋”なんてものを考える暇もなかった。だから、ユリウスはルフェルニアに「好き」と言われてもしっくりこなかった。


ただ、ユリウスはルフェルニアが一番大事だし、ルフェルニアの一番もまた自分だと信じて疑わない。

ルフェルニアならきっとユリウスの気持ちを理解してくれる。ユリウスには無意識にそう思っていた。

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