表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に誘拐されました。  作者: 自然の輪廻
9/36

蜘蛛蟻の化け物

「ここら辺のはずなんだけど…」


 そこは、魔獣の群れとは外れている場所だ…遠くから観察でもしているのだろうか…?


「倒さなくていい気がしてきた…」


「――そうでもないんじゃない?群れが倒されてきたら出ざるを得ないんだし、首根っこ切り離して掲げれば相手逃げるかもよ?」


「それもそうか…ま、それも見つけなきゃ意味ないんだけどな」


「ま、魔力の出力から分かるんだけどね…向こうが出ないなら出すまでよ…!《ウィンド・ワイルド》」


 そうして、メーニンは風の刃を跳ばし、近くにあった枯れた木を凪払う。


「うーむ、私の出る幕はないと思っていたのに…」


 メーニンの魔法を避けた人影が目の前に現れる。


 奴はヒト型ではあったが顔は蟻に類似しており、腕も8本あった。


「人の形をした化け物か」


「まぁ、動きやすいですしね。先人の知恵という奴でしょうか?」


「多分違う、まぁ…動きやすいからこの形になったんだと思うけど」


 会話できるぐらいの知能はあるか…


「さて、そろそろ始めるか…」


「えぇ…《ワイルド・ストーム》」


 メーニンはヒロタカの足に風を纏わせ、ヒロタカは急加速し、あの化け物に斬りつける。

 だが、奴はひらりと華麗に避ける。


「うーむ…せめて名乗らせてくれませんかね…?私はアイントスパイドあなたがたは?」


「ヒロタカ…とこっちはメーニンだ」


 そう言って、地を蹴りアイントスパイドに斬りかかる。


 だが、その腕はがっしりと掴まれ、投げ飛ばされる。


「ヒロタカ君!」


「大丈夫だ、こんくらいガキの頃に兄貴に投げ飛ばされた時の方が痛かったよ」


「なら、こんなのはどうです?」


 そう言って、アイントスパイドは腕から糸を出し、ヒロタカの腕にくっつける。


「――ッ!」


 その糸は粘着性があり、中々切り離せない…


 すると…


 ギュンっと視界が揺れた。


「へ?」


 体が宙へ浮いていて、思わず間抜けな声が出る。


 そうして、下へ引っ張られるのが分かった。さっきの糸がヒロタカを地面へ叩きつけようとしているのだ。


 それに気付いたヒロタカはすぐさま糸を短剣で切り離す。


 だが、切り離しただけだ。この高さから落ちればひとたまりもないのは明白である。


 どうしようかとヒロタカが考えていると…


「任せて!」


 何をだろう…?


 だが、任せて見ることにした。


 ゆっくりと風を感じながら落ちていく。


「《ブリーズ・ウィング》」


 そうして、地面に当たる直前、風を吹かせてふわりと優しくヒロタカを持ち上げる。


 そうして、ヒロタカは華麗に着地した。


「大丈夫だった?」


「命はあるから大丈夫だ、助かったよ」


「うーむ、この程度では死にませんか…そっちの女子(おなご)の方が厄介かもですね…」


 そう言って、アイントスパイドはメーニンを睨む。


「気をつけろ、メーニン…お前狙われてるぞ?」


「そうなったら、ヒロタカ君も私を助けてね?」


「さて、最後の雑談はすみましたかな?」


「残念ながらすんでねぇな…最後にならないもんで」


 そう、二人は不敵に微笑み、同時に地を蹴った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ