スタンピード防衛戦線
魔獣を短剣で斬りまくり、腕が赤く染まる。
「うヘェ…ベトベトする…」
短剣はピュっと勢いよく降ればある程度は振り払えれるが、腕はそうはいかずべったりとこびりついている。
「手ぇ洗えるほど水あんのかな…」
そんなことを嘆いていると目の前に大きな影が現れる。
「お、いつぞやかのブラッディーベアーじゃないか」
ブラッディーベアーは拳を高く振り上げ、振り落とす。
地を蹴り、その拳を避ける。
叩き落とされた地面にはくっきりとブラッディーベアーの手形が分るように凹んでいた。
「うわぁ…食らったらひとたまりもないな、こりゃ…」
フンと飛び上がり、ブラッディーベアーの顔面に拳を入れる。
だが、そこまでダメージはいかず、せいぜい少し足が後ろによろめいたぐらいだ。
「あらヨット…!」
そうして、ヒロタカはブラッディーベアーの首に足を絡ませ、ブラッディーベアーの目に短剣を差し込む。
短剣を抜き取ると、そこから、血が噴き出す。
「グギャァァ」
「うわっ!」
噴き出した血が顔にかかり、バランスを崩し、よろけ、そのまま落ちてしまう。
うまく、着地することが出来たが…
「くっそー、もう一つ潰しておきたかったんだがな…」
ブラッディーベアーは癇癪を起こしたかのように拳を振るう。
ヒロタカはそれを小さく避け、そのまま地を蹴り、ブラッディーベアーの足を斬り裂く。
「グギャォォォン」
ブラッディーベアーは痛がっている様子を見せる。
そして、ヒロタカはもう片方の足も切り裂き正面に周る。
すると…ブラッディーベアーは膝を地に付ける。
そうして、ブラッディーベアーにしがみつき、胸に耳を当てる。
振動してるな…ここが心臓部分か…
それを確認すると、ヒロタカはそこを刺しては抜いて刺しては抜いてを繰り返す。
そうしていく内に、ブラッディーベアーの力が抜けていき…次第には倒れた。
「ふぅ…」
「流石ね、ヒロタカ君」
「あぁ、メーニンか…どうかしたか?」
「いや、かなりの数倒してるなぁと思って」
そう言って、後ろの血を流しながら倒れている魔獣を見る。
「マジで減ってる気しないけどな…」
「本当、キリないわよね…」
はぁ…とメーニンはため息をつく。
「――ッ!」
「どうした、メーニン?」
「一匹…魔力量が大きい奴がいる…」
「まさか…群れのボスか…?」
「恐らく…ね…」
「何処辺りに居るか、分かるか?」
「あっち…だけど、行くの?」
と指差し、メーニンが心配そうに言う。
「あぁ、そいつ倒せばこいつらに力を示せるだろ?撤収ていう判断するかもだろ?」
そんな知能あるかはさておきな…
だが、どちらにせよ倒さねければいけないだろう
そうして、ヒロタカが足を踏み出した時…
「待って、私も行く」
「あぁ、ありがとう。心強いよ」