魔獣スタンピード
「「うらぁぁぁぁ!」」
2人がそう叫び、拳が目の前まで迫る。お互いの拳は相手の顔面へと吸い寄せられるように目の前に迫る。
そうして、拳が触れようとした時…
「ちょっと待って!!」
とある、少女の声によってお互いの拳はそこで止まった。
「どうした、メーニン?」
アリステラはその少女にそう投げかける。
「そんなことやってる場合じゃない!今たくさんの魔獣がこっちに向かってきてる!」
「――!それは本当か?メーニン?」
「えぇ、しかも多分最大規模…」
「――、方向は?」
「β -05番方向から…恐らく小一時間程度でこっちまでくると思う」
「わかった、総員!戦闘準備!」
「「「はい!」」」
そうして、各々戦闘準備に散らばった。
――――――――――――――――――――――
準備が終わったヒロタカ達はβ-05番方向に集まり、村から離れたところで戦う為にまっすぐ歩いていた。
「転移早々戦闘かぁ…」
信じられないと思うが、これはまだ1日の出来事である。
「大変だねぇ…君も」
「!?」
急に話しかけられ、驚きながら声の主の方を向く。
そこにはさっきの少女がいた。
「ヒロタカ君だね?アリステラちゃんから君のことは聞いてるよ。私はメーニン・ホンよろしくね」
「よろしく…お願いします」
「タメでいいよ、そういうの苦手なの」
「ん、わかった…それにしてもなんで魔獣が来るって分かったんだ?」
「膨大な魔力が近づいて来るのを感じたから…かな?」
「なるほど…いつでも張り巡らせてて疲れないのか?」
「いや、ずっと張ってるわけじゃないよ?なんか来るんだよねビビッて」
なるほど…恐らく危機関知的な者なのだろう。
「そういえば、アリステラさんがどこにいるか知らないか?」
「んー、先頭にいるんじゃないかなぁ?」
「そっか、ありがとう」
そう言ってヒロタカは早足に前へ進み…
「アリステラさん!」
「あぁ、ヒロタカか…どうした?」
「いや、戦闘前にあんな騒動起こしてすみません…って」
「まぁ、気にするな…一種の入団試験的なものだ。ゴルドンにあそこまで張り合うのは中々だったぞ」
確かに、彼は強者だった。メーニンが止めていなければどっちが勝っていたか分からない…
「てか、ゴルドンって言うんですね…あの人…」
「あぁ、ゴルドン・ディザスターだ。――ッと見えてきたな…本当にいっぱいいるな…」
「多勢に無勢…ですね」
さて…いよいよか…
「おい、新人」
後ろから、野太い声が聞こえる。ゴルドンだ。
ヒロタカは少し渋い顔をしながら振り返る。
だが、かけられた言葉は思っているようなものではなく…
「死ぬんじゃねぇぞ」
「――、そっちこそもう片腕失うとかヘマしないでくださいね?」
そんなことを吐き捨て、戦いの火蓋が切られた。