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異世界に誘拐されました。  作者: 自然の輪廻
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最悪の選択肢

 アリステラは飢えた獣が獲物を見つけたかのごとくヒロタカを睨んでいた。

 そうして、ヒロタカに狙いを定めると大地を蹴り上げて距離を縮める。その手には如意棒が振りかぶられていた。


「――ッ!ヒロタカッ!!《ウィンド・スターク》」


 メーニンが強風を発生させ、アリステラをヒロタカから遠ざける。

 アリステラはその身を翻しながら高く跳び上がり風を回避する。だが、ヒロタカへの接近は許さない。その目的は達成された。


 地に足をつけるやいなや、メーニンを捕捉し、如意棒を振りかぶりながらメーニンへ間合いを詰める。

 メーニンは風魔法で如意棒をいなしていくが、アリステラの攻撃速度はそれを上回った。

 いなせぬ攻撃が続き、ついには左腕に直撃してしまう。


「――ァガ…!」


 人から出るのが不思議なくらいの乾いた音が響いた。メーニンの動きが止まる。その隙をアリステラは見逃さない。

 腹部に如意棒を突き刺す。貫通、致命傷こそ避けられたが、腹部は赤く腫れ上がり、左腕は少なくとも骨が折れているだろう、使い物にならない。

 追撃を喰らわないためメーニンは自分自身を風魔法で吹き飛ばし、アリステラから距離を取る。


 ヒロタカは――?!


 ちらりとヒロタカへ目線を向ける。頭から血が流れているが、しっかりと両足で立ち、ゴルドンと共にダクラへと向き直していた。


「つまり、アリステラの相手は私ってわけね…こんな形で戦うとはね…」


 体のあちこちが痛いが喚く暇はない。幸い、メーニンは魔法を扱う。体の痛みはさして問題ではない。

 しかし、アリステラは近距離攻撃、メーニンは遠距離攻撃に長けている。速度はアリステラの方が上だ。メーニンも近距離の攻撃が出来ないわけではないが、分が悪いだろう。


 だが、それはアリステラを殺す場合だ。


 アリステラが如意棒を振りかぶりながら距離を詰める。メーニンは自分の足に風を纏わせ体を浮かす。そして、アリステラの猛攻を風魔法でいなしながら、後退していく。


 メーニンの勝利条件はヒロタカ達がダクラを倒す。もしくは、アリステラを治す方法をみつけ、アリステラを治す。それまで、アリステラの攻撃を耐えることだ。

 可能なら後者の選択肢を取りたい。治す方法模索するため、メーニンは攻撃を受けている間アリステラを観察する。


 だが、方法が見つからず前者の選択肢を取った場合…ダクラ以外に治す術を持っていなかった場合は…


「殺すしか…ないじゃんね」

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