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異世界に誘拐されました。  作者: 自然の輪廻
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意志を継ぐ者

「ヒロタカ…この文字が読めるのか?」


「はい、故郷と同じ文字です」


「なんて書いてあるんだ?」


「『この下を掘れ』と書いてありますね…掘ってみますか?」


「掘る他無いだろう」


意外と乗り気なようだ。

そうして、アリステラは墓の下を掘り始める。


「墓荒らし…にならないよなこれ」


「掘れと書いてあるんだ、公認だろう?お、なんか出てきたぞ」


それは石だった。アリステラは不思議そうにその石を振ったり叩いたりしている。


「中に何か入っているな…開けてみるか」


この人、結構チャレンジャーだな。


ヒロタカはアリステラのその行動を見てそんな感想を抱く。

そんな、ヒロタカを余所にアリステラは石を割る。そして…


「短剣?」


中から短剣が出てきた。その短剣を拾い上げ、アリステラは短剣をヒロタカに渡す。


「武器か…ちょうど不足していたからありがたい。その短剣は君が使うといい」


「いいんですか?不足しているのに僕なんかが」


「それは君の故郷の者が残したものだ。なら君がその者の意志を継ぎ、君が使うべきだ」


短剣か…重たい剣よりかは短剣の方が使いやすいかもな。


ヒロタカはお言葉に甘え短剣を使うことにした。


――――――――――――――――――――――


探索を終え、ヒロタカはアリステラに案内されながら帰路についていた。


思っていたよりかは魔獣に出会さない。


一歩また一歩と歩いていく。


俺、本当に異世界に来たんだな…


不安…はあるといえばあるのだが、それより何故という疑問の方がでかい。


何故、俺が異世界に呼ばれたのだろうか?

何故、この世界はこんなことになっているのだろうか?犯人は?

それに、少し気掛かりなこともある。


そんな疑問が脳を渦巻く。


すると…


「――っ!まずったか…」


「どうかしましたか?」


「前を見てみろ」


そう言われ前を向くと、自分よりはるかにでかい熊の様な魔獣が目の前で仁王立ちしていた。


今すぐにでも襲うといわんばかりに睨み付けながら。


「ブラッディベアーだ、かなり厄介だぞ…」


そう言いアリステラは武器を構え、戦いの準備をする。


「アリステラさん、ここは俺に任させてください」


「だが…」


「少し、自分の実力を試したいんですよ」


「分かった、ただし無理はするな」


「えぇ、分かってますよ」


そうして、ヒロタカは短剣を握り、地を蹴った。


ブラッディベアーは接近したヒロタカに対し拳を振り上げる。


「ふん!」


高く、その腕の上を飛びはね、腕の上に乗り、飛び台にする。そして、首筋に狙いを定め、短剣を刺す。


「グギャォォォ」


苦しんでいる様子だしかし…


浅いな…


短剣の刀身は短く、深く刺さらない。ならば…


短剣を右にずらし、ブラッディベアーの首を斬り裂く。

これで首を落とせればよかったのだが、致命傷ですんでしまったようだ。

だらだらと、ブラッディベアーの首から血が流れる。


「しぶとい奴め、苦しい内に死んどけよ」


ガッとブラッディベアーの首を掴み、無理やり時計回りに回す。


「グギャァオォォォォ」


ゴキッと音が鳴り、ブラッディベアーが大人しくなる。そして…


「――ッ!やっべ…」


ブラッディベアーは倒れこむ、頭に乗っかっていたヒロタカも例外ではなく、墜ちる感覚と風を感じていた。


「――よっっと」


地に着く前にアリステラに抱き抱えられ、なんとか一命を取り留める。


「ありがとうございます。アリステラさん、危うくもうお別れするとこでした」


「ふぅ、勘弁してくれ、これ以上仲間を失いたくない…それにしても、やはりかなりの実力の持ち主だな」


「そう…ですかね…」


この世界での平均的な実力が分からないからなんとも言えないが、アリステラが言うのだ。この世界では強い方なのだろう。それに…



前の世界にいたときよりも身体能力が変化しているのだ。

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