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異世界に誘拐されました。  作者: 自然の輪廻
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誓いは破られた

 アリシアは魔力を自分のの手に集め、鋭い爪を作り出す。


「ねぇねぇ、どう?かっこいいでしょ?お姉ちゃん」


 目を見開きながら甲高く笑い、距離を詰めアリステラに襲いかかる。

 如意棒で爪を受けとめ、防戦一方だが、それでも全てを受け止めきれず体に傷がつき、衣服は血に染まる。


 死角から攻撃しようとゴルドンが斧をアリシアに向かって振り下ろす。が…


「邪魔」


 と、一言発し、腹部に魔弾を撃たれゴルドンは遠くに吹き飛ばされる。


「ゴルドン…!」


「人の心配する余裕なんてあるの?」


 ゴルドンへ向けた顔をアリシアの方へ向き直すが、アリシアの影はすでにアリステラの目の前に姿を現していた。


「−−ッ!」


 咄嗟に防御姿勢を取ったが、取り始めた頃にはもう遅く、アリシアの腕はアリステラの腹部に触れていた。

 そして、ゼロ距離で魔弾を撃ちつけ、アリステラは宙に飛ばされ、地にバウンドする。


「アリ…シア…っ!」


 痛みに耐え、かすれた声を絞り出して名前を呼ぶ。


「なん、で…?」


「−−?」


「なんで、裏切っ…た…?」


「あぁー、冥土の土産ってやつ…?まぁ、お姉ちゃんならいいかな…」


 そう言うと、アリシアは一呼吸置いて…


「あんたのせい」


「わた…しの…?」


「あんたが『ハルトマン』を継いだ。お母さんから認められた!だから憎かった!憎かった憎かった…!」


「そう…か…」


『ハルトマン』を継いだ者として、アリシアを…妹を守ろうと誓った。

 だが、その守るべき人は敵となり、守るべき人ではなくなった。

 アリステラは守れなかった。母と自分への誓いは破られた。


 その瞬間、アリステラに感情の激流が襲いかかる。その絶望はアリステラの心を蝕む。


「はい、これで…もうおしまい…さよなら、お姉ちゃん」


 そうして、倒れたままのアリステラの心臓に向かい、鋭い爪を貫かせようと一直線に向かう。しかし…


 心臓に突き刺さる寸前、アリステラは素早くアリシアの腕を掴んだ。


「−−ッ!」


 まだ…こんな…力が…!?


 腕を動かそうにも掴まれた腕は全くと言っていいほど動かない。


 掴んだ腕を横に力を向かわせ、投げ飛ばす。


 アリステラは立ち上がり、素早く間合いを詰める。

 アリシアが地に着く前にアリステラはアリシアに追いつき追撃をかます。


「−−ッ!さっきよりも速い!?まさか…覚醒化…?このタイミングで…?」


 想像を絶する速さにアリシアは驚きを隠せず声を漏らす。アリステラの身体能力が上がっているのは明らかだ。

 アリステラも自分がこんなに速く動けることに驚いているが、今は目の前のアリシアに集中。


 アリシアは一度距離を取り、体勢を整える。そして、再度宙を舞い、魔弾を用意する。


「あぁぁあぁぁ!」


 咆哮をあげ、アリステラに向かい魔弾を撃ちつける。砂埃が立ちアリステラの姿は見えなくなってしまったが、これで死んだと思われるほど撃ちつけた。少なくとも無事ではないだろう。


「はぁ…はぁ…」


 しかし、砂埃を薙ぎ払い、アリステラは目の前に現れた。

 如意棒を振るい、こっちの番だと言わんばかりにアリシアを打ちつける。

 だが、アリシアを倒すにはあと一手足りない…


 あと…少しだったのに…!


 そう奥歯を噛み締め、次の一手の準備をする。

 あと一手のところまで追い詰めたのだアリシアの体力もかなり削れた。動きも鈍くなっている。


 アリシアは未だ宙に浮いたまま、魔弾をチャージする。アリステラは再度息を整え、追撃に備える。


 その時だった。アリシアの両翼、四肢がX字の剣閃によってもがれたのだ。


「−−!メーニン!!」


 その剣閃の正体に目を向けると、そこにはヒロタカの短剣を握ったメーニンが立っていた。


「ヒロタカは?どうなった…?」


「大丈夫、なんとか解毒できたよ」


 メーニンのその言葉を聞いて、アリステラは安堵し、胸を撫で下ろす。

 そうして、アリシア方へ向き直す。


 四肢をもがれ、その前にもアリステラの攻撃を喰らっている。回復するのにはまだまだ時間がかかる。


「アリシア…」


「あーあ、殺されちゃうのか…。でも、お姉ちゃんなら…いいかな…」


「………」


「ばいばい」


 そうして、如意棒はアリシアの心臓を貫き、アリステラはアリシアを殺した。

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