選ばれた者、堕ちた者
その瞬間は唐突に訪れた。
「すまない…アリシア…母さまが…」
そう、俯きながら母の亡骸を抱え、アリシアの元へ行く。
アリシアは「そんな…」と呟き、その場に膝からへたりこんでしまった。そんな、アリシアをただ、強く抱きしめ、慰めることしか出来なかった。
何度も何度も経験した別れだ。もう、慣れたと思っていたのに…心にぽっかりと穴を空けられた感覚があった。
その時、私は顔はどんな顔をしていたのだろうか。私は姉としての顔を出来ていたのだろうか?
その後、アリシアと一緒に母の墓を作った。横にはずらっと一直線に同じような墓が並んでいる。
「母さま、私は…」
『ハルトマン』を継ぐ資格が本当にあったのですか…?
そう、問いかけるが答えが返ってくるわけもなく。風の音だけがなびいていた。
だが、私は『ハルトマン』を継いだ…母さまに託された…だから…
「私はアリステラ・ハルトマン・リース。アリシアを…この村を守る」
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内側から溢れる熱いものを抑えきれず、溢れさせる。
心臓が燃える様に痛み、鼓動が脈打ち、心臓が強く存在を示す。
「ぁ……がァ…」
苦しい中で、ヒロタカは次第に理解をしていく…
これは、毒によるものだと。
「ヒロタカ……?」
アリステラがそう、呟いた。理解が追いつかないのだろう。しかし、アリステラの手は次第に震え…
「アリシアッッッ––––!!!」
力強く如意棒を握り締め、激動を露わにした。
地を抉り、アリシアの間合いに詰め、回転させて、勢いをつけた如意棒を振るう。
「ヒロタカ君…生きてるよね……?」
震えた声でメーニンがヒロタカに呟く。それに、ゆっくりと頷くことがヒロタカの限界であった。
その返答にメーニンは安堵しつつも、ヒロタカを背負い、村へ戻ることにした。
「アリステラ、ゴルドン…後を頼むわ……」
アリシアとの攻防を続けるアリシアとゴルドンを横目にメーニンはヒロタカを背負い、治療を急いだ。
足に風のの力を纏わせ、少しでも速く、1秒でも早く、ヒロタカを救おうと走る。
アリステラとゴルドンが足止めしてくれているお陰でアリシアに妨害されずに治療院に着くことが出来た。
扉を焦りの余り、力強く開けてしまい壊れてしまったが、些細な事だとスルーする。
ヒロタカをベッドに横たわらせ、汎用的な解毒剤を服ませる。
お願い…効いて……
心でそう唱えながらヒロタカの手を取る。
その手はまだ温かくて、安堵と共にその温もりが失われないか…と不安が募る。
「メー…ニン……」
「ヒロタカ––ッ」
弱々しくヒロタカが口を開ける。
「どう…?調子は……?」
「しゃべれ…る、くら、いには……」
さっきまでは口すら開けなかった。回復傾向と見ていいだろう。
「メーニ…ン、頼み、が…ある」




