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異世界に誘拐されました。  作者: 自然の輪廻
33/40

分からない

 カランと乾いた音を立て、剣が地に転がる。


「無理しなくていいんだぞ、アリシア」


「ううん、私がやりたいの…私もお母さんやお姉ちゃんみたいにこの村を守りたい…」


 そう言い、アリシアは転がった剣を拾い上げる。片手剣なのだがアリシアには重く両手でないと振り回すことが出来ない。


「剣を握ることだけが、この村を守ることじゃないんだぞ」


「––、じゃあ、どうやって…?」


「例えば、この包帯…アリシアがやってくれただろう?傷を治療するのも立派な村を守ることだ」


 だから…とアリステラは続け…


「アリシアはアリシアの出来ることをやればいい、戦いは私達に任せろ」


「––!うん、分かった」


 そうして、家へ戻りアリシアは自分に出来ることを考え、その結果傷を癒すと決めた。


 その後は必死で勉強し、治癒魔法までも習得した。「ハルトマン」の名を継ぐことも期待された。

 だが…


 戦いの中で、母が死亡した。

 そして、アリステラが「ハルトマン」の名を継承した。


「ハルトマン」は兄弟姉妹が生まれた場合、より優秀な方に継がれる。

 優劣がついた。認められなかった。


 当初の「村を守る」という目標はすり替わっていた。


――――――――――――――――――――――


「アリシアが4人…?」


 ヒロタカの目には、アリステラ、メーニン、ゴルドンが1体1でそれぞれ戦っている姿が見えていた。

 恐らく、アリシアの放った《フォー・オブ・フォース》は分裂する技なのだろう。だが、問題は本体を仕留める必要があるのか、はたまた全てを倒さなければいけないのか…


「どちらにせよ……メーニン!1撃必殺的な技あるか…?」


「えぇ…あるわよ」


「いつでも発射出来るよう準備しといてくれ!アリステラさん、ゴルドン!なんとかしてアリシアをメーニンのアリシアの方へ!」


 ヒロタカがそう呼びかけ、アリステラ達は自らの武器でアリシアを押し出し、メーニンと戦っているアリシアに近づける。

 無論、ヒロタカも一箇所にまとめる為に攻撃を短剣で弾き、アリシアの腰を持ち上げ、投げつけた。


「メーニン!」


「《エクストリームデストロイ》!!」


 纏まった所でメーニンは宙に舞い上がり、アリシア目掛けて深淵によく似た黒い風を放つ。

 まともに喰らったらひとたまりもなさそうな技であった。地は抉られ、立派なクレーターがそこにはできあがっていた。


 しかし、緊張感は拭えない。空気は依然張り詰めたままであり、ヒロタカは唾を飲み込む。

 あわよくば、これでアリシアを倒せていれば…と思ったが、そう甘くはない。


「クヒ…」


 砂埃が晴れ、そこには黒い翼で包まれたメーニンの影があった。


「––ッ!」


 クレーターの中心に佇むアリシアに、ヒロタカ達は一斉に襲いかかる。しかし…


「ハッ––!」


 アリシアから出された衝撃波に一同は叩き落とされる。

 そうして、アリシアはゆっくりと倒れ込んだヒロタカに近づく。


「ねぇ、貴方。私と同類じゃないの?」


 そんな突拍子もないことを言ってきた。

 ヒロタカは意味が分からず、唖然とする。


「私はお姉ちゃんが憎かった。母に認められた…お姉ちゃんが…。貴方もそうじゃないの?」


「俺は、自分を憎んだことはあるが、兄貴を憎んだことはないよ…だから、俺はお前が分からない」


「そっか、残念」


 立ち上がりながら、アリシアは言葉を発する。そして、短剣を握り、攻撃を仕掛けたが––


 刃は届かず、ヒロタカは血を吐きながら倒れ込んだ。

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