決戦前夜の不穏な影
「あ!お姉ちゃん!もう!どこいたの…ってヒロタカさん!?大丈夫ですか!?その怪我!?いや…大丈夫じゃないですよね!?」
村に戻るやいなや早速アリシアが駆け寄る。夜中にいきなりアリステラ達が居なくなりかなり心配していたようだ。
アリシアと一部の人しか知らなかった為かそこまでのパニックにはならなかったらしい。
ヒロタカの傷はアリシアの治癒魔法で大事には至らない程度には回復した。生活するぐらいなら難なくこなせるだろう。
それでも怪我は怪我なので病室で寝込んでいると…
「ヒロタカ…怪我の調子はどうだ?」
「アリシアのお陰で動けるぐらいには回復しましたよ」
「それは良かった…」
アリステラとヒロタカの間に数秒、沈黙が流れる。
しばらくして、アリステラが空気を取り込んで口を開く。
「ヒロタカ…恐らく、明日の夜に奴が動く」
「––、根拠は…?」
「奴が動くのは倉庫に食料を保存した日の夜だ。そして、明日…ウルガレムの肉を干し肉にするために倉庫に置く…」
「成る程…決戦の用意をしておけと…」
「やはり、お前も参加するよな…」
アリステラは少し悩んだ様な表情をする。
ヒロタカだって、怪我をしていたとしても、呑気に寝てはいられないだろう。
「いや、この話をした時点でヒロタカを頼ろうとしていたな…」
すまない…と頭を下げる。そして、迷いを吹っ切れた様に…
「ヒロタカ、お前の力が必要だ…協力してくれ。そして、くれぐれも無理はしないでくれ」
「ま、死なない程度に頑張りますよ」
それより、必要なのは…仲間を殺す覚悟だ。
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静かな病室にコツンと言う小さな足音が聞こえる。
その足音がだんだんとヒロタカの下へ近づいていく。
影がぐっすりと眠るヒロタカの前に立ちはだかる。
その誰かが呼吸を確認する。眠りが深い…これなら…
布団を捲り、包帯を巻き取る。そして…




