静かな夜に戦いの音が鳴る
ヒロタカ、アリステラ、メーニン、ゴルドンは『嫉妬の観察機』を奪還するため夜中にこっそりと村を抜け出し、『嫉妬の観察機』の在り方へ向かう。
「魔力が濃い…この先に魔獣の溜まり場があるわ」
「そこに『嫉妬の観察機』があるんだな…」
拳を握りしめて覚悟を決める。深く息を吸い歩き始める。そうして、『嫉妬の観察機』があるであろう魔獣の溜まり場に着いた。その場所は昔は村だったのかボロボロになった家がポツポツあった。
「いいか?なるべく穏便に済ませるぞ」
コソコソと気配を消して物陰に隠れ、魔獣の視線を掻い潜りながら『嫉妬の観察機』を探す。思っているより魔獣は少なかった。
「くそ…あのクソ犬邪魔だな…」
行きたい場所の前にウルガレムが一匹ウロウロしていた。
「ちょっち、行ってくる」
そう言ってヒロタカは屋根の上に飛び乗り息を殺す。短剣を取り出しウルガレムへダイブし首根っこを掻っ捌きながら転がって受け身をとり反対側にあった物陰に隠れた。
少し顔を出し、辺りを確認する。どうやらバレずに殺れたようだ。
「こっち見てみましょう」
「よくやったヒロタカ…礼を言う」
聞こえるか聞こえないかギリギリの声で会話する。そうして、死体をゆっくりその場に置いて前へ進む。
「––!あれじゃないか?」
ちょっとした広間の真ん中に『嫉妬の観察機』と思われる物が置いてあった。大きさは抱えていけるぐらいの大きさですでヒロタカより一回りほど小さい。
辺りを見渡し、敵がいないか確認してからそれに近づく…
「間違いない…これが『嫉妬の観察機』だ」
持ち去ろうとして『嫉妬の観察機』を覗き込んだ時、あることに気付いた。
『嫉妬の観察機』に自分達の位置がバレていたのだ。
「––ッ!」
気配を感じ、ヒロタカが短剣を取り出しながら後ろを振り返り、額の前に刃を持っていく。
短剣と踵が交わっていた。
「バレてしまったか…」
そう言うと奴は体を翻しながら後ろへと宙を舞い、綺麗に着地する。
奴は痩せた男の様な容姿をしている。足や手が長く藍色の短髪にメガネをかけていた。人間と言われれば納得してしまう姿だ。
「こいつ…なんか変!」
「え?」
「魔力の気配が全くしない…気持ち悪い」
「初対面で気持ち悪い呼ばわりとは…やはり人間は愚かだ」
フン!と呆れた様に吐き捨てる。
「その愚かな人間の姿をお前はしているわけなんだが?」
「この姿は所詮人間のことを知るために人間の振りをしているのだよ…知らずに否定、批判するのは私のセオリーに反する」
「で、知った上で愚かと言っているのか」
「あぁ、自己中に争い、自己中に世界を汚す…故に愚かと判断し、あの方についたのだ」
「ふーん、ま、お前の身の上話はどーでもいいわ。この『嫉妬の観察機』貰ってくから、じゃ!」
「持っていかせないためにここに来たのだよ?」
パチンっと指を鳴らす。その合図と同時にヒロタカ達は沢山の魔獣に囲まれた。




