怠惰の武器精製
「ヒロタカ…メーニン…怪我はなかったか…?」
アリステラと合流するなりなんなり、彼女はそう尋ねてくる。
「まぁ、平気だよ。基本隠れてちょっかいかけてまた隠れてのサイクルだったから、怪我ナッシング・ゼロ」
「そうか…メーニンは?」
「ヒロタカ君に同じく」
「なら良かった…」
ホッとしたように息をつく。
「鉄は?どうだったの?」
「喜べ!大量に入手出来たぞ!」
「そいつは上々!!大成功じゃねぇか!」
テンションが上がったのかヒロタカは大声を出し、握りこぶしを作り、両腕を掲げる。
「ひとまず、村に戻ろう。その後のことは戻ってからだ」
アリステラの言葉に同意し、ヒロタカ達は村に戻った。
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「ベル爺、いるかー?」
「ハルトマンの嬢ちゃんか…どうした?何か用か?」
「その呼び方はやめてくれと言っているだろうボケ老人が」
「ガッハッハ、そうじゃったな。で、本題は?」
村に戻るとアリステラはベル爺と呼ばれる鍛冶屋の元へ向かった。
「鉄が大量に手に入った。加工を頼みたい」
「――、無理じゃ」
「――ッ!無理って…何故だ…?」
「分からんか?鉄なんて加工した事がないんだよ。石ですら初めは何回も失敗しておる…」
「――、でも…ベル爺以外に…」
「人の話しは最後まで聞けい、代わりといってはなんだがな、お主…七つの神器の存在は知っておるよな?」
「あぁ、かつての英雄が遺したといわれる便利道具だろう?魔獣に利用されているがな」
「あぁ、その通りだ。その七つの神器の一つ『怠惰の武器精製』の在りかをワシは知っておる」
「『怠惰の武器精製』…明らかに武器を作りそうな名前だな」
顎に手を当て、アリステラは少し考える。
「一つ質問だが…それは魔獣どもによって厳重に守られているのか?」
「――、あぁそうじゃよ」
「そうか…」
となると…ヒロタカ、ゴルドンと一緒に攻めに入り、メーニンには魔力の回復に勤しんでもらうのが無難か…?
「分かった、そっちにシフトチェンジしよう。それと…加工、チャレンジしてみてもいいのではないか?」
「気が向いたらな」