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団子食べて待ってる。  作者: 天花寺たまり


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第十二話 平凡な授業、ミリカの滝行

この小説で数字は漢数字で統一しようと思っていましたが、今回は算用数字をたくさん使っちゃってます。

とりあえずこの回はこのままにしておきます。

 体力テストは同じクラスの子とペアを組んでやった。女子で出席番号が隣の人と組むことになってた。

 だから、今日ミリカがいたとしてもペア組めなかった。


 シャトルランの結果は67回。すごく頑張った。バスケ部とかの運動部には負けるけど、自分はけっこう体力ある方みたいで嬉しい。握力とハンドボール投げの結果は酷いもんだったけどね。



 二時間続きで疲れたけど、なんとかなった。

 暑い……。汗もかいた。

 体育着のままで、水道の蛇口を上向きにして水を飲んだ。


 ゴクゴクゴク……はー。

 ただの水が冷たくて美味しいや。今日は体力テストだから水筒を持って良いことになっていた。わたしはすっかり忘れていて、水道水を飲む羽目に。


 でもまあ普段は水道水だ。夏の間は水筒持ってきておっけーだけど。

 蛇口を回して下向きにしてからも少し水を出した。この方が清潔でしょ。


 あ、廊下の奥から美味しそうな良い匂いがしてくる。そっか、もう給食か。


「昼休み着替えれば良いからそのまま給食食べて良いってー」


 学級委員長がみんなに伝えながら廊下を歩いていく。あ、やったーまだ着替えなくて良いじゃん。


 今日もとりあえず平和に給食の準備が完了。中学生ともなると食缶の中身をこぼしたりすることは滅多にないんだろう。そして盛り付け担当の配分の仕方も上手くなってくる。


「「いただきます!」」


 今日の給食はカレー。熱くてスパイス効いてて美味しかった。牛乳もいつも通りまろやかで美味しい。


 昼休み。わたしは制服に着替えてから一人下足棚へ向かった。A組の女子の棚を一つ一つ見ていく。


 ミリカ……ミリカ……、本当に今日は来てないんだよね? 名前、漢字で書くのかな? でもどういう字か分かんないや。


 美……、未……、美結、美波。

 違う、これじゃないよね。見つけられない。苗字も知らないし。


 あとは下の段の名前を見て終わり、と思ったら廊下から何人かの生徒の声。何人かで歩いてくる。


 まずい、変だと思われる! 離れなきゃ。

 平然を装い、急がず歩いて自分の教室に逃げ戻った。

 ん? もしかしたら今の行動だと逆に怪しかったかも。まあいいや、トイレ行こう。



 五時間目は道徳。

 黒板に書かれた題名を見て教科書をめくる。

 はいはい今日はこの物語ね。

 淡い色の可愛らしい挿絵が載っている。中学生が主人公の、青春ものっぽいな。これから道徳を学ぶわけだけど普通に物語の内容が楽しみだ。


 道徳では先生が音読して、渡されたプリントに自分の考えとその理由を書くというのがいつもの流れ。そして周りの人と意見交換をする。国語や数学と違ってこれは楽。今は五時間目だし、午前中は体力テストだったから眠くなってきた人もいるよね。わたしは今日は案外大丈夫かも。


「では周りの人と三分間意見交換をしてください」


 まずは隣の人だ。わたしの書いた内容をちょちょいと伝える。


「あ、いいねそれ」


「え」


 その後は四人グループになって意見交換。

 しかしなぜかそこでもわたしの意見が良いという声ばかり。


「グループの中から一人に発表してもらいます」


 ガーン。

 なぜかわたしが選ばれてしまった。


「〜だと思ったから、この行動をしたと思いました」


 仕方なく立ってクラス中に意見を聞かせた。一応わたしだってよく考えて書いた意見だからね。

 先生は「なるほど〜」と言ってわたしの言ったことを黒板に書き出した。


 ひと仕事終わり、わたしは着席する。なんとか平穏に終わって良かった〜。

 よーし発表したんだから成績上がるぞ〜。


 チャイムが鳴って授業が終わった。

 シャーペンの芯が無くなったから補充しようとケースから一本取り出した。すると手を滑らせてシャー芯が床に落ちてしまった。

 げー! あんなの落ちたら探しにくいよ!


 と思ったけど案外あっさり見つかった。

 良かった……取ろーっと。


 細いシャーペンの端と端を指で挟んで持ち上げる。まるで脱出ゲームみたいな緊張感だ。力加減を間違えばすぐに折れちゃいそう。

 机の上に着地させようしたその時、ポキ……と折れた。長いのと短いのが開いたままのノートの上に転がった。



 六時間目は社会。

 先生が黒板にやや大きめに今日やる章の題名を書いていく。教室は静かでチョークのコツコツという音だけが響く。

 暇だったので、消しゴムの黒くなった部分を白いノートに擦り付けて綺麗にした。


「では昨日は12ページでーす」


 先生が気だるげに言ったページを開くと、見開きいっぱいに説明文と絵と図でものすごい情報量だ。

 はあ……まあ今日の授業はこれで終わりだから頑張ってやろう。シャーペンの芯をちょいと出してわたしも仕方なくノートに書き始めた。


 授業が終わり、班ごとの掃除も終わった。

 雑巾をクラスでまとめて掛けてある場所に戻した。

 廊下の長い手洗い場で石鹸をつけて手を洗う。

 なんかさっき直接わたゴミ触っちゃった気がするから念入りに洗っておこう。白い泡が水と一緒に流れていった。


 帰りの会。

 宿題のプリントを前から受け取り、一枚とって後ろへ流す。

 わたしはたくさん挟まったプリント類が透けているクリアファイルに手をのせて、考えごとをしていた。


 だんだん、ミリカは本当はいないんじゃないかと思えてきた。だって、なんか不思議な出会いだったし。

 放課後の教室で歌を歌う女子生徒の幽霊とか……。ああ、それだと怖いなあ。それか昨日は眠かったし、夢だったのかも。

 窓の外を見ると朝と変わらない白い空。


 先生の話を聞いて、日直の人の号令で声を合わせて修了。


「「さようなら!」」


 さ、帰ろ帰ろ。

 今日は気が向かないから普通に家に帰ってから宿題をしよう。

 生徒と混じって廊下を進み、ローファーを履いて外へ出る。小さい階段を降りて歩道に出た。

 あ、しまった。ミリカの名前探すの忘れてた。

 まあいっか……。帰ろ。


 昨日よりまだ全然明るい空。周りを歩く生徒もたくさんいてガヤガヤしてる。


 でもやっぱり、幽霊でも夢でもなく、普通にいるといいなあ……ミリカ。




 家に着いた。

 自分の部屋へ行き、小学一年生から使っている勉強机の横にカバンを下ろす。


 まあしっかりしてるから、帰ってすぐに宿題をやっちゃうぞ。カバンを開け、筆入れと宿題用のノートをガサゴソ取り出して机に並べる。


 げ、体育着持って帰ってくるんだった……。明後日使う時汗臭いだろうな。とほほ。

 シュッとやれば良い匂いになるようなスプレーを学校に持ってきてる人もいるだろうけど、わたしはそんなの持ってない。


 このまま宿題をするには少し動きづらい。

 だから制服のスカートだけ脱いで、ブラウスとハーフパンツの格好で机に向かった。


 時計を見ると三十分が経過していた。


「よーしおっけー」


 数学の少し面倒な問題もあったけれど、何とか宿題を終わらせられた。明日の教科書の準備もおっけー。

 パジャマ着替え、夕飯を食べるため下に降りた。




 リビングのテレビでクイズ番組が始まった。

 デザートであるフルーツヨーグルトのフタをペリッと開け、スプーンですくい口に運ぶ。ふと思いついてお母さんに聞いた。


「今年さ、ここら辺に引っ越してきた家族いるよね?」


「ああ〜、三柳(みやなぎ)さんね。下の子同級生でしょ」


「ん〜、ああ!」


 わ、絶対それじゃん。ミリカのことだそれ!

 ミリカいた!


「いる、いる! 学校同じ!」


 へえ、みやなぎっていうんだ。なんかたしかにそんな感じする。

 気持ちが高まってヨーグルトをパクパク食べた。


「昨日まで知らなかったんだけど、隣のクラスだし。喋ったら明るくて良い子だった」


 カップに残ったヨーグルトをかき集めて口に入れた。美味しかった。


「へえー、良かったじゃん」


「でも今日いなかった。体力テスト楽しみだって言ってたのに」


 カップをゴミ箱に入れ、水を出してスプーンを洗う。


「あらー、体調でも崩したのかな」


「ああ、そうかも……」


 母の言葉から想像した。ミリカが手を合わせて岩に座り、滝に打たれる姿を。そしてきっと風邪をひいて学校を休んだんだ。体力テストのためにそんなことまでするなんてすごいなあ。


 いや、それかもう少し普通に、夜に外出てシャトルランのためにランニングとか反復横跳びの練習をしたのかも。


 はあ……なんで休んだのか実際のことは分かんないけど、そんな感じだったら心配だなあ。


「ごちそうさま」


「はーい」



 お風呂に入った。今日はただのお湯。入浴剤は昨日で無くなっちゃった。


 滝に打たれるミリカがもう一度頭に浮かんだ。それでなんとなく肩までお湯に入れた。

 滝行……寒そうだな。お風呂はあったかいや。


 お風呂から上がって、洗面所にあるドライヤーで髪を乾かした。昨日は自然乾燥だったけど今日はドライヤーを使おう。強い風を受けて髪がふわふわサラサラと揺れ、だんだん乾いていく。

 髪を乾かし終わり、次は鏡を見ながら歯を磨く。新しい歯磨き粉おいしーい! オレンジ味だ。この味好き。


 自分の部屋に戻り、ベッドにダイブ。

 全部終わったし、もういつでも寝れる。

 でも今日もちょっとだけゲームやろっと。


 電源を入れ、画面が明るくなる。

 お風呂上がりにベッドでゲーム。これが至福の時ってやつなんだなあ。


 三等身のキャラクターがドアを開けてログハウスを出る。とりあえず一日一回くじを引いてアイテムがもらえる場所に行こう。キャラクターが走るとしっかりタタタッと音が鳴る。


 広場のまるみを帯びたおじさんに話しかけた。


『今日も良い天気ですねえ。……ん? くじ引きたいんすかー?』


『引きまーす』を即選択。


『はいはーい。この中から引いてくださいねー』


 お品書きを見ると、1等は温泉旅行券、2等はアイドル直筆サイン入り生写真、3等は和風模様替えセットだ。


 ちょっと和風模様替えセット欲しい!

 画面にたくさん表示されたくじの中からひとつを選んだ。


「これだっ!」


『はーい、どれどれ……ハッ!! 10等のリンゴのネックレスでーす! おめでとうございまーす!」


 おー、アクセサリーか!

 所持品にリンゴのネックレスが追加された。

 金色のチェーンに赤いリンゴ型チャームが付いてい

 る。身につけてみるとけっこう似合っててかわいい。


 和風模様替えセットじゃなかったけど、全然これもいいじゃん!


 それからゲーム内で木を切ったり買い物したり近くに住んでる人にプレゼントをしたりして、今日はあんまり遅くならずに寝た。

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