ドラッグストア
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※作者はあまり薬物等の取引に明るくありません
※この作品は薬物の使用、販売、所持等を推奨するものではありません
「ねぇ知ってる?」
よくある怖い話の語り出し。
だが、今日に限っては生半可な怪談よりも遥かに恐ろしい内容のものだった。
私の耳に顔を近づけ、小さな声で一言。
「くすりやさんの話。」
思わず目を見開く。
「・・・・・っていうサイトなんだけど。」
そう言って携帯を開き、画面を見せる。
「野菜とか……」
野菜。
人参や大根、茄子と言った野菜ではない。
大麻の隠語だ。
「ラムネとか……」
これも、合成麻薬MDMAなどの隠語だ。
「フレーク、アイス、ガムなんかも。」
全て麻薬の事だ。
再び耳に顔を近づけ、
「このサイトで買って……」
そして続きを言う。
「●●●駅の124番のコインロッカーで商品を受け取るの。」
「ごめんね。
今日の話は聞かなかったことにしとく。」
全て忘れよう。
悪い夢だったんだ。
きっと。
あの子が麻薬なんてやる訳ない。
そうだ。きっとそうだ。
そうやって自分を誤魔化して数日。
その子に再び話しかけられた。
三連休にその子の家で遊ぼうという内容だった。
麻薬の話が頭をよぎり、少し不安になったが、行ってみることにした。
「お邪魔しまーす。」
家の中は綺麗に掃除されていた。
その子の部屋に案内され、椅子に腰掛ける。
「ねぇねぇ、この前の話覚えてる?」
この前の話と言われ、唐突に嫌な予感がしだす。
違っててくれ。そう切に願う。
しかし、そう都合よくは行かない。
「くすりやさんの話。」
持ってきたんだ、と。
そう、言われた。
目の前に煙草の様な見てくれのナニカを出しながら、
「野菜。」
「こうやってね……」
そう言ってソレを口に咥え、
「あ、その前に報知器切らなきゃ。」
慣れた手付きで火災報知器を切り、
ソレに火をつける。
大麻の匂いなのだろう。
先程から漂っていた甘ったるい匂いがより強く匂ってくる。
ソレを吸って一分程で、トロンとした表情に変わっていく。
「ささ、もう一本あるから吸ってみてよ。」
慌てて部屋から逃げ出す。
走っていると、クラスメートと会った。
「そんなに慌ててどうしたの?」
話すかどうか迷ったが、先程の事を話す事にした。
「え?」
「おかしいよね?」
「イヤ、普通でしょ。
その煙草みたいなやつってこれっしょ?」
驚きのあまり声が出ない。
「あ、そうだ。
折角だし吸ってみな。結構いいもんだよ。」
Uターンして逃げ出す。
が、反対側にさっきの子が立ちはだかる。
もう終わりだ。
「助けて……」
そう声が出る。
当然、誰も助けてはくれない。
一か八か駆け出す。
そのまま立ちはだかる相手に全力でタックルをかまし、強引に駆け抜ける。
無我夢中で駆け抜けると交番が見えてきた。
交番に入り、叫ぶ。
「助けて下さい!」
お巡りさんが駆けつけて来てくれる。
「どうしたんだい?」
「実は……斯く斯く然々で……」
「成程。
もしかして、君の言ってる煙草みたいなやつってこれかい?」
そう言って、大麻を見せてきた。
まさか警察も……
クラッと来て、倒れてしまった。
「最近回ってるヤツかと思って見せただけなんだけどなぁ……」
目が覚めると、そこは慣れ親しんだ我が家だった。
「夢か……」
母が何か言う。
「お手柄ね。
あなたのお陰で駅に蔓延っていた麻薬の売人を一網打尽に出来たそうよ。」
「夢じゃ無かったのか。」
この事件で友達が何人も捕まった。
しかし、今回捕まった犯人は下っ端だった様で、まだ終わってないらしい。
次は貴方が話しかけられるかも。
「ねぇ知ってる?」




