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練習試合において、1年生、特に今居の顕著であった。今居の長身から振り下ろされる豪速球、そしてキレのある変化球を芯で捉える事の出来る相手打者はそうそういなかった。

今居が打者を打ちとるたびに安室高校ナインや、見物に来ている一般生徒たちから賞賛の声があがる。













「今居っていう1年生、すごいな。投手不足のうちにとって、思いがけない救世主だな」













「ほんとほんと。小久保ってやつといい、この時期から対外試合出るってだけですごいしな」













グラウンド外からの賞賛の声に、今居は思わずにやける。その度にサードの金串から試合に集中するようにと注意を受けるが、お構いなしである。
















「今居ナイスピッチング!」










ベンチに戻ってきた今居に、先輩の肘井が声をかける。しかし今居は鼻にもひっかけない。














「いやぁ〜、肘井さんもね、ランニングばっかりしてないでちゃんと練習すれば僕みたいになれますよ」









「お、おまえ!何言ってんだ!肘井はな...!」











今居の憎まれ口を聞いた櫻井はいてもたってもいられず口を挟もうとするが、肘井がそれを制す。












「まぁそうだな(笑)こんなに圧巻のピッチングを見せられたら何も言えんわ(笑)」











「ひ、肘井......!いいのかよ!」










肘井は櫻井に向かって笑顔で頷く。大人な対応だ。今居はそれに気づかず、得意げな表情をしている。

しかしそうはいっても今居のピッチングは圧巻だった。練習試合の相手である多摩川高校打線を無失点に抑えていたからである。

ここまで完璧な投球を行い、野球部員だけでなく一般生徒からも称賛されれば、有頂天になる仕方ない。何故なら、今居は身体を大きいが、つい数ヶ月まで中学生だったこともあり、精神的に未だ幼いからなのである。

かわって安室高校の攻撃は、さっき守備のミスをした青山にかわってレフトに入っていた小久保からであった。

小久保はこれまで守備固めに入る事が多かったため、対外試合で打席に立つのはこれが初めてだ。さらにいうと、小久保は元々守備力と献身的なプレースタイルを認められてベンチ入りを果たせたため、バッティングに関しては未知数なのだ。












「小久保!初めてだからってガチガチになるなよ!」










「ハイ!!」








金串からのアドバイスに、元気に返事をして右のバッターボックスに入った。

背筋をピンと伸ばし、バットを大きく振り構える。先日の紅白戦では華麗なバントを決めた小久保であったが、その悠然とした立ち姿は、ホームランバッターであるようにもみえる。

いざ対戦が始まると、小久保は相手ピッチャーを睨みつける。それに動じたか、ピッチャーが投げた変化球は指に引っかかり、ワンバウンドになった。それに対して小久保は一切の反応も見せない。











「すげえ威圧感だなオイ」











グラウンド外の一般生徒たちは小久保の立ち姿に感心していた。

さて、気を取り直してピッチャーは2球目を投げ込む。内角高めに鋭く攻めるストレート。

小久保はそんな球に全力で向かっていった。











カキィーーーーーーン!!!!!!










打球は大きな弧を描き、レフトの頭を越え、遥か彼方へ消えていった。場外ホームランだ。










ホームラン!!!!!











審判役の上級生は、驚きながら腕をくるくると回していた。

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