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4月に入った。

桜吹雪の中登校するのは、金串にとって安室高校野球部に入部して以来、1年ぶりの事である。

ついに安室高校の生徒として、そして安室高校野球部員として2年目を迎えた。

1年生の時よりも身体はさらにひとまわり成長し、並々ならぬ風格を漂わせながら、一般生徒に混じって安室高校の門をくぐる。

通り過ぎていく一般生徒たちは、校内における有名人のひとりである金串を見かけると、口には出さないが少したじろぐ。それほど、金串には威圧的なオーラが漂っているのだ。

2年生になっても、金串のクラスの変更はなかった。スポーツ推薦クラスは、3年間同じクラスだからだ。

それ故にクラスメートは今さら金串の姿にいちいち過剰に反応することはないが、それでもなおクラスの中で一目置かれる存在であった。



新学期最初の登校日の授業は午前中で終わり、金串はクラスメートと会話を交わすこともなく一目散に教室を飛び出した。向かった先は勿論、野球部の部室である。

金串が部室に到着すると、もう殆どの野球部員たちは集合していた。












「おそいで、キャプテン」











「ああ、ごめんな矢澤。ところで新1年はまだ来てないよな?新1年が来る前に軽くミーティングしておこうぜ」












「ウッス!!!」












部室に入り、金串を取り囲むように野球部員が集まった。この時金串が野球部員に伝えたかったことは、1年生に対してお手本となる存在になれるよう、ゲキを飛ばすことであった。













「新1年生に、安室高校野球部はどんだけ練習熱心か、どんだけ緊張感持ってやってるかを俺たちが態度で示さなきゃいけない!1年にナメられるなよ!」












「ウッス!!!」











金串の言う通りである。たしかにもしかすると、普通の中学生活を送って来た者にとって、安室高校野球部の練習は異常なものに見えるかもしれない。しかし、試合で勝つため、日本一になる為にはそれほどの努力が必要であるという事を、身をもって感じさせなければならないのだ。

現状として、肘井のケガは未だに治っていない。よって金串は、安室高校野球部にとって投手の即戦力となる1年生が出ることを期待せざるを得ないのだ。それ故に1年生には2、3年生が持っている危機感を覚えてもらう必要がある。











「金串、1年生来たっぽいで」











「お、マジ?案内して」










矢澤は新入部員たちを招き入れた。

しゃあす!と大きな声を張り上げながら部室に入ってくる1年生に、初々しさを感じる。

やがて部室に60人ほどの新入部員たちが集合した。

昨年よりも人数が少ないが、甲子園に出場出来なかった翌年はえてしてそういうものであるという事は周知の事実であったので、誰も気にはとめなかった。

そして金串が1年生たちの前に堂々と立ち、挨拶を始めた。











「えー、新入部員の皆さん、入学おめでとうございます。僕が、野球部キャプテンの金串です。よろしく!」











金串はさっきまでの勢いをぶつけるわけでもなく、あくまでも淡々と挨拶を行なった。

やはり、口でどうこうよりは日頃の姿勢でチームを引っ張っていくつもりであるようだ。

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