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84/115

84

3-0と、序盤からそこそこの点差をつけられながらも、櫻井は2回表を気迫の闘志で投げ切った。しかし、ストレートを軸に組み立てる櫻井の投球スタイルの根本を修正しながらの投球であったせいか失投も度々飛び出し、ソロホームランを1発浴びてしまった。

4-0とした上で迎えた安室高校の攻撃は、4番の金串からだ。金串は3番までのバッターな相手ピッチャーについての詳細を聞き込み、ある程度の情報を頭に入れた上でバッターボックスに立った。

ピッチャーはスター選手である金串の登場に一瞬たじろいだようであるが、マウンド上でゆっくりと深呼吸をした後、またゆったりとしたフォームで投球を開始した。

金串はベンチにいる時からずっとタイミングをとっていたため、この変わったフォームは苦にならなかった。










..........ストライク!








外角のボールゾーンからストライクゾーンへと変化するカーブを、金串はとりあえず見逃した。手を出していても、初球からこれは打てない。金串は2球目以降、変化球を待つ事にした。

金串の様子を確認し、ピッチャーは何か悟ったように2球目を投げ込む。










..........ストライク!!









ストレートが内角高めいっぱいに決まる。

外角の変化球を待ち、かなり踏み込んでいた金串は思わず仰け反った。どうやら金串の狙いは読まれていたようだ。あっという間に追い込まれた金串は、変化球であろうがストレートであろうが対応出来るように、少し小さくバットを構える。










..........ボール!









..........ボール!








..........ファールボール!






..........ボール!








なんと、低めに落ちる変化球を4球も続けて投げ込んできたのだ。しかしなんとかそれに食らいつく金串。

カウントはツーストライクスリーボール。

もうボール球は投げられない。そして迎えた最後のボール。











..........ストライク!バッターアウト!










なんと、最後もまた、同じく低めに落ちる変化球を投げ込んできたのだ。流石にストレートが来るだろうとタカをくくっていた金串は、あっけなくボール球に手を出し、三振した。












「や、やばいな、金串が翻弄されちゃってるよ」









「点差も開いてるし、厳しい戦いだな」












「初戦なのにな」









「うーん..........」









「やばいやばい..........」










安室高校応援席からは、口々に心配の声が漏れる。

そしてそんな一般生徒たちの不安はどんどん現実的なものとなってくる。続く5番、6番と、2人合わせて僅か4球で打ち取られたのだ。

完全に試合の流れは藤井高校に傾いていた。

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