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あれから約1ヶ月間の月日が経ち、ついに東京都秋季大会が開幕した。この日は公式戦という意味では、金串新体制にとっての初陣である。
投手陣や守備面での不安が拭えないまま、安室高校は初戦を迎えた。相手チームは藤井高校。
何度も対戦経験があるチームだ。
秋の東京都営球場には沢山の観客が詰めかけ、秋とは思えないほどの熱気を見せていた。
安室高校ナインはベンチ前で金串を中心に円陣を組み、気合いで乗り越えようとゲキを飛ばしあった。
この試合の先行は藤井高校。よって先発ピッチャーである櫻井がマウンドに上がる。秋季大会に向けて完全に準備が出来たというわけではないが、なんとか投資を奮い立たせ、マウンドに上がる。
やがて藤井高校のバッターが打席に立ち、試合は開始された。
プレイボール!!
である豪腕投手櫻井がまず最初に投げ込むボールは、大抵ストレートである。しかしそれは藤井高校ナインによって下調べ済みらしく、バッターは直球を待ってたかのよう軽く打ち返し、
打球は鋭く右中間を破っていった。
「ナイスバッチ!」
藤井高校サイドが盛り上がる。気を取り直して、続く2番バッターに対して初級の球を投げ込んだ。これもストレートである。
カキィーーーーン!!!
打球は快音を響かせ、二遊間を破った。幸い、センターは強肩の高杉であったため、2塁ランナーは3塁を回ったところでストップした。
「タイム!」
すかさずキャッチャーの大蔵がタイムをかけ、ピッチャーマウンドへ駆け寄ってきた。
「どうした、大蔵?」
「いや、初級ストレートが全部読まれてた。
すまん。俺のせいだ」
「あっそういうことか!気づかなかったわ」
「まぁそういうことだから、初級の配球パターンを変えると思う。よろしく」
「ウッス!!!」
なんとも頭のきれる男である。失点する前に大蔵がこの事に気付いてくれたおかげで、気をつけて投球ができると櫻井は安心した。
ノーアウトランナー1、3塁として続くは4番バッターであるが、櫻井は慎重に、低めの変化球
から入ることにした。
カァーーン!!
ストレートを待っていたためタイミングをずらされたバッターであったが、それでもなんとか態勢を保ち、ボールを拾いあげた。打った打球はふらふらとあがり、レフトへの浅いフライとなった。
「いったぞ、青山ァ!!」
レフトの青山は猛ダッシュで前進する。
打球も見ずに全力で走り続けていた。
しかしボールはもう地面に落ちそうである。焦った青山はなんと、ダイビングキャッチを試みた。
ポト。コロコロコロ......。
青山のグラブにはボールは収まらず、それどころかグラブにかすりもせず、ボールは後ろへとどんどん転がっていった。
追いかけるのは青山と、カバーに入っていた高杉。
しかしランナーは1人、2人とホームインし、打ったバッターも3塁に到達するという、走者一掃のタイムリースリーベースヒットとなってしまった。




