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この日は8月31日。夏合宿の最終日である。

しかし部員たちはこれといっていつもとする事は変わらず、いつものようにランニングを始めていた。

先頭には金串、高杉、藤井、矢澤といった、野手の中心選手が走る。このあたりの選手たちがチームを引っ張っているのだ。なかでも金串は1年生全体をまとめあげ、さらには青山の個人練習にも付き合ったりと、チームにかなり貢献していた。キャプテンではないが、殆どキャプテンの役割を担っていると言っても過言ではないだろう。

しかしそんな順風満帆な夏合宿にも、ひとつの懸念材料があった。それは投手陣だ。その後も何度か紅白戦を行う機会はあったが、いつも乱打戦になり、試合をまとめる投手がいない。

さらには、肘井がついにランニングにすら参加しなくなった。相当な重症なのだろうか。ところが誰がそれを、たずねても本人は口を閉ざすばかりであった。


さて、6時になり、石原が入り口にやってくる。

すぐさま部員たちは彼のもとに集合した。












「おはよう。おつかれさん」











「おはよース!!!」











「ついに今日、約束通りキャプテンを任命するよ」









「ウッス!!!」











そうだ。キャプテンが不在であることが当たり前になりすぎて、誰もが忘れるところであった。最終日はキャプテンの発表があるのだ。

皆は固唾を飲み、石原からの発表を待った。

しかし何のことはない、答えは想定していたようなものだった。














「キャプテンは金串ね。今ならちゃんとやれるでしょ」











「ハイ!!!みんな、よろしく!」











金串はまるで自分が選ばれる絶対の自信があったかのように食い気味に返事をして、チームメイトたちに向けて挨拶した。それに対してウッス、と、異議なしとばかりに他のチームメイトは答え、再び何事も無かったかのように練習に戻っていった。













「ホンマは自分が選ばれるか、ビクビクしとったんちゃう?(笑)」












「なわけあるかよ(笑)安室高校野球部のキャプテンを務めるのは、俺以外に誰がいるってんだ」













「いうねぇ!」











「うるせっ!てか、初日みたいなことになったらやだから矢澤は話しかけてくんな」












「あいよ(笑)」













今の、気を引き締めている金串の元、改めて新体制がスタートした。今のリーダーシップのある金串ならば前任の御木本くらい、いやそれ以上にチームを素晴らしいものにしてくれるに違いない。

まずは目の前に転がる課題をひとつひとつ、克服していく。

投手陣などの不安材料を残しながらもこうして安室高校野球部夏合宿は閉幕した。これから新学期が始まるが、野球部員たちは夏合宿の時と同様、一所懸命練習に励むのみ。まず目の前の目標は、東京都秋季大会だ。


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