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矢澤の予想は残念ながら的中した。寮に戻り、肘井に直接今日の事をたずねると、少し肘かな違和感があったと言っていた。

しかしよくもまあ、石原は言われもしないのに肘井の肘の違和感に気がついたものだ。フォームに違和感があったのだろうか。肘井は皆が素振りやシャドウピッチングなど自主練習を行うなか、ひとり寮にて早くに眠るのであった。



翌朝、安室高校野球部の夏合宿はいつも通りの基礎的な練習メニューに戻り、それぞれ練習に励んでいた。守備練習において、初日の金串のように集中砲火を浴びているのは、この日は青山であった。

青山はミスを連発しながらも、安室高校野球部グラウンドの広い外野を、汗だくになりながら必死に走り回る。

これは間違いなく、石原は青山を戦力として考えていると言っても差し支えないだろう。

青山の粗は多いがとてつもない長打力に惚れ込み、恐らくは唯一の弱点である守備を鍛えようというのだ。

そしてもうひとつ、この日のキャッチャーの位置には一貫して大蔵がついた。これもひょっとすると、大蔵を次期正捕手として考えての事であるのかもしれない。あの強肩にあの打力。

目立った弱点もない強肩強打の大蔵は、松本の後釜に相応しかろう。




そしてそのなかで、一際存在感を放つのはやはり金串であった。多くの1年生たちがはじめてレギュラー練習に参加し、石原のノックについていくだけで精一杯であるなか、春から既にレギュラーだった金串は常に全体のプレーを考え、その時々における的確な指示を出すほどの余裕があり、また、技術面においても他者を圧倒するものがあった。














「青山ァ!とったら中継に!」











「とりあえず内野にかえせ!」










「内野、とったらランナーみろ!」













金串の指示はいつでも的確であり、それによって多くの1年生はプレーを助けられていた。


こうして安室高校夏合宿は充実した時間を過ごし、残るはあと10日間ほどとなっていた。

そして迎えた8月20日目の朝、いつものように6時ちょうどに現れた石原は、いつもと違う指示を出す。















「今日から実践に備えた練習をする。1年生も2年生も一緒に」












「ウッス!!!」










それぞれ石原から指示があったものは、所定のポジションにつく。この時に呼ばれたものは、秋季大会におけるこの時点での戦力と考えられているものだろう。

石原は淡々とポジションと名前を呼び始めた。









サード金串 ハイ!!




ショート大塚 ハイ!!




セカンド藤井 ハイ!!




ファースト矢澤 ハイ!!





キャッチャー 大蔵 ハイ!!





レフト青山 ハイ!!






センター 高杉 ハイ!!





ライト葉山 ハイ!!








そこには1年生の名前も多く、楽しみな名前も沢山入っていた。

驚きであったのが藤井のセカンドコンバートと、それによって空いた外野に入ったのが青山であったという事だ。

石原は、こういう構想なのだろう。


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