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試合開始の時がやってきた。

先行の安室高校ナインはベンチ前で円陣を組む。勿論、中心は御木本だ。









「おいお前ら!今日は何としても勝つ!他に何も言うこと ない!」










「ウッス!!!!!」









安室高校応援席からは歓声が起こる。そしてまずは1回の表、守りについた赤坂実業ナインに観客の視線が注がれる。するとやはり、変わり果てた近衛の姿に、安室高校の応援席からは驚きの声が漏れる。














「え、あの、ピッチャーの近衛ってさ、春季大会の時にウチの選手たちが苦労してた近衛だよね?」















「おそらく、ていうか絶対そうだと思う」













「めっちゃデカくなってんじゃん!別人かよ!」












「春の時点ですごい球投げてたからなぁ、今回のあの身体を見ると、球速もぐっと上がってそうだな」












安室高校ナインや応援席をはじめとする球場の注目を一極集中させた近衛は、ゆっくりと、落ち着いた様子で投球練習を始める。

それを見た安室高校の一般生徒たちは、やはり、安室高校ナインが最初に思った事と全く同じ事を口にする。















「あれ、でも投げてる球は春の時よりもそんなに早くなってるってわけでもなくね?」











「たしかに、あまり変わってないみたい。

だとすると最近どんどん強くなってきたウチの打線だったら余裕でノックアウトできるんじゃね?」












「かもな!野球部、かなり死ぬ気で練習してたみたいだし、春の時みたいにはいかないでしょ!」












しかし、現実はそのように甘くはなかった。

さっきまで安室高校ナインや一般生徒たちが抱いていた淡い期待は、あっけなく打ち砕かれるのである。そしてそれを知るのは、試合が始まってからの事だった。









バッターラップ!










そーれそれそれ藤井!(藤井!)藤井!(藤井!)







光舞う風の道拓け君の足で咲かせ夢を駈けろ明日を藤井ここから〜







かっとばせ〜藤井!赤坂倒せーオウ!







吹奏楽をともなった凄まじい応援歌が、安室高校応援席にいる人たちによって大合唱される。

しかしその素晴らしい応援も、近衛が投じる第1球によって消沈する事になる。










プレイボール!!!





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