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「金串さん、素晴らしいホームラン、おめでとうございます。場外に消えていきました」










「ありがとうございます」










「打ったボールは何でしたか」









「うーんストレートかな?多分、ストレートだったと思います」











「御木本さん、チームに流れを呼び込む一発でしたね」










「いえいえ、とんでもない。流れを呼び込んだのは他でもない、金串です」










「打ったボールは〜」









見事に勝利を収めた安室高校ナインの中でも活躍した2人が、記者たちからそれぞれインタビューを受けている。

こういう時、長時間のインタビューに慣れている御木本は淡々と記者からの質問に答えるが、

金串は記者たちからこれほどまでに質問攻めにされた経験はないため、いちいちしっかりと返答した。

この2人の対照的な様子と、究極であったのが勝利監督である石原による談話である。















「石原監督、1年生の金串を思い切って3番に起用したのが当たりましたね」











「いやそういう事じゃないでしょ。今もっともね、3番にふさわしいと思ったのが金串なの。

別に思い切る事なんかないよ」










あまりにもぶっきらぼうな石原の態度に、記者たちは思わず顔をしかめた。

それでも仕事なので、なんとかインタビューを続ける。











「そうですか。では、この試合の勝因を何だと、石原監督自身はお考えになりますか」










「そういう話したってしょうがないじゃない。

勝ったんだから。そんなしょうもない質問しさないなら俺、もういくよ」










石原はあろうことか、記者たちのインタビューを途中で切り上げて取材室を退出してしまった。これは甚だしく前代未聞であると言いたいところではあるが、石原のこの冷たい対応は毎年の事で、記者たちも慣れっこだった。












「石原節、さくれつと」











やがて1人の記者がそう言うと、取材室からは爆笑が起こった。


一方で、丁寧にインタビューを終えた金串と御木本はチームメイトたちに合流し、試合を振り返るミーティングを行った。なお、このミーティングにおいては反省点を振り返る事は決してなく、次の試合に向けてナインを鼓舞するためにあるものだ。

まず、キャプテンである御木本からチームメイトへの労いの言葉があり、ひとりひとり、次の試合に対する意志を叫ぶ。その一連の流れを全員分終えると、東京都営球場から地下鉄で7駅ほど離れた安室高校まで猛ダッシュで帰るのであった。










「おっ、金串の学校だ」











その様子をたまたま試合偵察を終えて自分の学校に戻ろうとしていたところに通りかかった近衛が見ており、安室高校ナインの並々ならぬ気合いに触発されていた。











「安室高校か、決勝であたるな。よし、負けないぞ!」










近衛は成長した素晴らしい体格を小刻みに動かし、これまた都営球場から地下鉄で10駅ほど離れたところにある赤坂実業まで、さっきの安室高校ナインに負けるとも劣らないスピードで駆けていくのであった。

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