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テストが終了する頃には、時計の針は夜22:00を回っていた。
安室高校野球部グラウンドには大勢の1年生がベンチで倒れ込んでいる。
全く知らない人がいきなりこの状況を目の当たりにしたら、さぞや度肝を抜かす事だろう。
それだけ石原のテストは過酷を極めるものであった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、結局最後までの、残れなかったな、きっちいテストだ」
「はぁ、はぁ、はぁ、」
1年生のうちの1人が仰向けに倒れたまま独り言のように呟くが、反応出来る者など誰1人としていなかった。それにも構わず、彼は独り言を続けた。
「あの、はぁ、はぁ、、あ、あの、4人は、ほ、ほんとに、バケモノとしか、、」
そう言って少しだけ顔をあげた視線の先には、4人の1年生の姿があった。
金串、矢澤、肘井、櫻井だ。この4人は想像を絶するほどの試練を乗り越え、汗だくに、泥まみれになりながらも石原の前にしゃんと立っている。
「ふふ、よく残ったね。4人も残れば大したもんだよ。これからは君たちを練習試合で積極的に起用していこうと思う。かといってヘマしたら、すぐに降格するからな、いいな!」
「ウッス!!!」
4人にとって身体の疲れも吹き飛ぶほど、石原の言葉は嬉しかった。
4人の元気な返事を聞いて、石原も笑顔になった。
「合格出来なかった1年生も、今日はよく頑張った!!解散!!今夜は早めに寝るように!!
明日も練習が待ってるからな!!!」
「ウッス」
倒れたままの1年生たちからは、気のない返事が起こる。
合格した4人もかなり疲れ果てていたので、今日は各々の住居に帰るようだ。
「みんな疲れすぎ(笑)そんなにキツくないだろ
(笑)」
「またまた〜金串はん、俺見てたで、最後の方、ファーストに送球する時よろけてたよな〜」
「う、うるせっ!!!」
金串は矢澤の事を蹴り上げた。
「ひぃ〜おっかね〜」
金串と矢澤の、かけっこが始まった。
それを見ていた櫻井と肘井は、お互いの顔を見合わせて笑う。
「ったく。どんだけ体力あるんだよあいつら。
あいつらこそ本物のバケモノだな」
「まったくだ!(笑)」




