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かわった安室高校の河内投手は、9回表の赤坂実業高校打線をピシャリと抑え、裏の攻撃を迎える。

バッターは6番からで、8番の金串に回ってくる。といっても今日の金串は、いつものような頼れる打者・金串巌ではなかった。3打数無安打2三振と、近衛の鋭い緩急に翻弄されるフリースインガーとなっていたのだ。










「6番 キャッチャー 松本くん」









最終回の攻撃なだけあって、安室高校サイドによる応援にも熱が入る。

もっとも、応援されている張本人の松本は、今まで対峙した事のない豪腕ピッチャーの前をしてがちがちに硬くなっており、対照的にマウンド上の近衛は9回だというのに涼しい顔をしている。

これでは、はたからみるとどちらが応援されているのか分からない。それくらい、バッターボックスの松本に、1年生たちの応援の声は届いてないようであるのだ。








1球目..........ストライク!








バットは空をきる。9回にきても全く衰える事ない近衛の豪速球を前に、タイミングが全く合っていない。さらに、近衛という投手はコントロールも良く、内角低めギリギリに投球を決めてきた。









2球目..........ストライク!










今度は外角低めいっぱいに、またしてもストレートがは決まった。内、外、と散らすピッチングに、松本は手が出ない。










3球目..........ストライク!バッターアウト!









「く、くそ!!!」








審判からのコールが下されるや否や、松本はその場で地団駄を踏んだ。しかしもう遅い。

6番キャッチャー松本は、高めの釣り球に手を出し、いとも簡単に三振に切って取られたのである。

初回から、ストレート中心に投球を組み立ててきている近衛であったが、その球威は最終回にきても全く衰えていなかった。

そんな近衛の恐るべきスタミナが、安室高校ナインを絶望の淵へと追い込んでいた。




つづく7番葉山もあっけなく三振し、バッターは8番の金串に回ってきた。

ここでサヨナラホームランでも打てば、今日の不甲斐ない成績を帳消しにし、オトコをあげる事が出来る。

金串は並々ならぬ思いでいた。いつになく気合いが入っている。


そんな金串がバッターボックスに向かおうとした時、ふいにベンチから石原が出てきた。


石原はスタスタとバッターボックスの方向へ向かい、主審に話しかけた。

それを見た金串は目を丸くした。









「代打、高杉」








安室高校のベンチ、そして応援席からどよめきが起こる。そして何より驚いていたのは金串だった。金串はハトが豆鉄砲をくらったような顔をして、石原を見つめる事しか出来なかった。







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