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僕の兎

作者: Dial3495



―――この世界には、私を満たす愛が少なくなりました。―――







君がそう遺書に遺してこの世界からいなくなったのは3ヶ月前の事。



僕は今でも思い出します。


あの時の君のベッドに横たわった姿、近くにあった睡眠薬のビンとコップ、




そして遺書―――。







「ねぇ、愛ってどういうものだと思う?」



僕と君が初めて会った時、君が言った言葉。


愛についていろんな本を見ていた君は、友人達から



「愛の探究者」



なんてからかい交じりに言われていましたね。



僕は君の問いに対して、自分が知っている事を全部話しました。



すると君は、



「ふぅん…。参考にさせてもらうわ。」



と言いました。



その言葉に、僕は少し傷つきました。



だって、僕は自分の知っている事を全て話したのに、君はそんな言葉だけで終わらせるなんて!







でも、僕はそんな君の事が少しずつ好きになりました。



もしかしたら一目惚れだったのかもしれないけど、僕が君を好きになったのは事実で。



勇気を振り絞って、君に告白すると、



「こんな私で良かったら。」


と君が了承の返事をしてくれた事が、僕はとても嬉しかったです。


それから、僕たちはいろんな事をしました。



どこかへ遊びに行ったり、本を読んだり、愛について語ったり…。



僕は君と一緒にいれてとても嬉しかったです。



けど、君は本当に良かったと思っていましたか?



君がいなくなってから、何回も何回も自問自答をしました。



「愛してる」



という言葉も、君にとってはただ単に恋人同士で交わす愛の言葉くらいにしか感じてなかったのではないのでしょうか。



もしかしたら、君は愛を知る為に僕と付き合ったのではないのでしょうか。


しかし君の事ですから、きっと



「うん。そう。」



といつもの調子で言うのでしょうね。





しかし、想像の君が言った言葉すら愛しいと思う僕は、どうしようもないくらい君を愛しているのです。










君は兎。そう、寂しいと死んでしまう兎なのです。



愛について探究していた君の事ですから、兎は寂しいと死んでしまう、なんて嘘だという事は知っているでしょう。



しかし、僕は君がそんな兎だと思います。







―――愛を望み、愛を探究し、愛を求め死んでしまった悲しい1人の兎―――










ごめんなさい、十分に愛について語る事が出来なくて。









ごめんなさい、君の気持ちに気付く事が出来なくて。







ごめんなさい、十分に愛をあげる事が出来なくて―――







君と過ごした日々は、今も少しずつ思い出と変わっていっています。



きっとこれから先、完全に思い出となってしまうでしょう。



さよなら、僕の愛した兎。


また会う時は、抱えきれない愛を、君に―――

この話に書いた、「兎は寂しいと死ぬ」が嘘だという話は知っている方もいらっしゃると思いますが、本当です。なんでも兎も2匹以上飼うと縄張り関係で喧嘩をおこすそうです。2匹以上飼う時は、離して飼うのが良いとか。評価、感想等があれば送って下さい。

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