青天の霹靂
新章突入!まだまだよろしくお願いします。
「――――と言う訳でギンジ様にはヴァルハート王国の国王になって頂きたいと思っております。」
エミリア王女は真っ直ぐに俺を見ながらそう言うと片膝を付き平伏した。
「は?」
という訳で、じゃないだろ。何言ってんだ?この王女様は・・・
「ギンジ殿ならば必ずやヴァルハートを再建出来るでしょう。ギンジ殿の騎士としてこれ以上の名誉はありません。」
ライーザさんも王女に続いて平伏している。いや、訳が分からない。
「おー!須藤、凄いやんか!王様やって!」
「銀次君なら立派な王様になれるよ!」
西城と東雲さんも嬉しそうに手を叩いてる。だから立派な王様になれるって何を根拠にそんな事を言ってるんだ?
「ギンジ君が国王ねぇ。国王様、研究開発費に予算多めにお願いね!友達、でしょ?」
「チッ・・・!銀次が王かよ。まぁ俺は政治とか経済はからきしだからな!いいポジション頼むぜ!」
メーシーもバチコンウインクで予算を強請ってるし、先程戻ってきた亮汰も調子の良い事を言っている。
「ちょっと待て!勝手に決めるな!そもそも俺は現在、大森林の五大獣老の一人として獣人側だ!そんな俺が人間の国の王になるなんて獣人たちが良いと言うはずが無いだろ!」
そもそもなんでこんな事になってしまったかと言うと――――
少し前、俺たちが屋敷へ着いた後、サルパが他の獣老の皆を連れて俺の屋敷へ来た所に遡る。
「わぁ~。銀次君ってこんな素敵なお屋敷に住んでるの!?」
「ヴァルハートのお城とは違いますが趣のある素晴らしいお屋敷ですね!」
東雲さんとエミリア王女が感嘆の声を漏らす。そう言ってくれるのは嬉しいんだが何せ俺も外側は見ていたが完成した屋敷へ入るのは初めてで俺自身が一番、うわぁ~って言いたいんだよな。
「いや、俺も入るのは初めてなんだが。想像以上に凄い屋敷だな。」
職人のゲンたちが腕を揮ってくれた屋敷は十分すぎる程広くゲームで言う貴族の屋敷って感じが一番近いだろうか。内装も木製が中心の家具が配備されていて転移する前に住んでいた安アパートとは比べ物にならない程おしゃれ感が漂っているな。
屋敷の中には侍女であろう獣人の女性たちが数人忙しそうに掃除やらの作業をしている。メイド服で。
正確には少し違うが同じようなもんだ。
獣人の女性たちはスタイルが良い人が多い為はっきり言って、イイと思う。
侍女の女性たちは俺たちに気が付くとお帰りなさいませ。と優雅に会釈を決め、何かあったらなんなりとお申し付けください。と言いまた作業に戻っていった。
「獣人のメイドさん!カワイイ!」
「ホンマやなー猫獣人のメイドさんとかハマりすぎやろ。須藤もええ趣味しとるわ。」
東雲さんと西城はそう言うが俺が選抜した訳じゃないんだが。
「おう、手前ら!最後まで手ぇ抜くんじゃねぇぞ!」
とりあえず広間にいくつか置いてあったソファーに皆を座らせると奥の部屋から頭にねじり鉢巻きを締めたトカゲ獣人、職人のゲンが部下に檄を飛ばしながら現れた。
これはしっかりと礼を言っておかなくては。
「よ、ゲン。ご苦労様。こんなに凄い屋敷を作って貰ってすまないな。何か出来る事があったら何でもいってくれ。といっても俺が出来る事なんて転移魔法陣の設置ぐらいだけど。」
「・・・あっ、兄貴!戻って来たんですね!礼なんていいって事よ!俺含めて皆好きでやってる事ですから。それよりどうです!?我ながらいい仕事が出来たと思うんですがね!後は兄貴が前に言ってた露店風呂が出来りゃあ仕上がりですぜ!」
ゲンは胸をドンと叩きながら自信を持った表情でそう言った。
そうだ。サルパの所までとは言わないが露天風呂があったら嬉しいとゲンには伝えていたのだったな。
「流石ゲンさんだ!完璧なお屋敷だ!それと!寝室の方はどうなっているんだ!要望どおりに広めで耐久性抜群のベッd、ぶにゅ!」
ハビナがまた変な事を言い出したのでチョップの刑だ。なんだかこれも懐かしく感じてしまい少しだけ笑顔が出てしまう。
「広くて頑丈なベッド・・・」
「そんなに激しく・・・?」
ほら見ろ。東雲さんとエミリア王女がおかしな事を想像してるじゃないか。
一応二人には何でもない事を説明しておいたが。
そんなこんなしていると屋敷の入口のドアがバーンと勢いよく開けられた。
獣老を呼びに行ったサルパ達が来たのかな?
「ハア、ハア、ぎ、銀次たちが戻って来たって!?皆無事なのか!?」
「亮汰。そうか、お前も大森林へ来てたのか。それでよかったのか?」
そこには俺がヴァルハートから拉致し、先のルマハン草原では捕虜交換という形で一度帝国軍へ引渡した俺たち同期の一人。そして勇者の一人でもある加瀬亮汰が息を切らせてやってきた。
亮汰としてはあのまま帝国軍へ行き勇人と行動を共にするという選択肢もあったはずだがこちら側へ来る事を選んだようだ。
「ああ。今さら勇人の所へは戻れねぇ。利用されるだけ利用されて最後には切り捨てられるのがオチだからな。それに・・・やっぱり獣人だろうが人間だろうが子供を泣かせるようなヤツは許せねえ!」
亮汰はそう言うと自分の震える拳をギュッと握っている。
亮汰も獣人の子供たちと触れ合う事で変わって行っているようだな。
「加瀬!あんたも無事だったんやな!」
「亮汰君!よかった・・・!」
西城と東雲さんも亮汰の姿を見てほっとした表情をしている。
「お!西城も生きてたか!まぁお前を殴れる様なやつはなかなかいな・・・そっちは真弓ちゃんか!?その感じ・・・元気になったみてえでよかったぜ!ってその恰好は!?反則すぎるだろ!」
亮汰は二人の無事を喜ぶと東雲さんの全裸に白衣という前衛的な格好を見て若干前かがみになっている。まあそれも仕方がない。俺だってあれからまともにそっちを見ていられないからな。
「そんな目でまゆまゆを見んなや!この変態が!」
そう言いながら西城は亮汰に高速で走り寄り鳩尾辺りに肘鉄を入れる。
ドゴォ!という音と共に亮汰は崩れ落ちた。うん、いい角度だ。
「う゛ぐぉ・・・西城!何しやがる・・・!」
「ふん、自業自得や。須藤を見習えや!エロ筋肉が!」
亮汰、成仏してくれ。俺は亮汰に手を合わせた後、そこらでせわしなく動いている猫の獣人侍女に東雲さんの服を頼んだ。
侍女はかしこまりました。と言いすぐに服を持ってきてくれた。メイド服を。
いや、今の恰好よりだいぶましだけどさ。
「えっ・・・これ着るの?」
東雲さんは一瞬戸惑ったが仕方ないよねと言いながら着替えに行った。
なんだかその足取りは軽い様に見えたぞ。
「着てきたよー。ど、どうかな?」
「い、いいんじゃないか?」
数分後、東雲さんがメイド服を着て恥ずかしそうに戻ってきた。
そのボリュームによって強調された胸。フリフリのスカートから見える絶対領域。
うん。はっきり言って素晴らしいと・・・いや待て、彼女は俺を裏切った可能性があるんだぞ。その可憐な見た目に騙されないようにしなくては。
「おー!!さっきのも良かったけどこっちも中々・・・」
西城に沈められた亮汰がだらしない顔をしながらいつの間にか復活してきた。
そんな事を言ってるとまた・・・
「ほんっとキモい!反省しろや!」
西城が再度亮汰に向かって鉄拳を繰り出す。全く懲りない奴だな。・・・おや?
「甘いぜ!西城![天上天下]!!」
「なっ!?」
西城の拳は亮汰の鳩尾を捕えたが先程とは変わって亮汰は平然としている。例の無敵スキルを発動したようだ。全身に金色のオーラを纏っている。
「同じ手を食うかよ!俺は馬鹿じゃねぇからな!」
「キー!この!この!あー!全然効かへん!ムカつくわぁ!」
西城は亮汰を滅多打ちにしてるが亮汰には傷一つ付いていない。俺が結構本気で殴っても平気だったからなぁ。
「さーて、真弓ちゃん!この暴力女はほっといて向こうで・・・あ?やべ・・・」
バタン
両手をワキワキさせながら東雲さんに近づいて行った亮汰だが数秒後、突然そのまま前のめりにぶっ倒れた。あー、例の時間制限か。
「亮汰君?どうしたの?大丈夫?」
東雲さんは亮汰をつんつんとつついている。
「まゆまゆ、こんなん放って置いてええよ。何が俺は馬鹿じゃねぇ!や。こーゆーのをホンマの馬鹿ってゆうんやろな。」
西城が汚物を見る目で吐き捨てた。まあ西城の言う通りこいつは馬鹿なのかも知れないな。
「ほっほっほ。待たせたの。獣老を連れてきたぞい。ってなんじゃカセ殿は。こんな所で寝おって。」
「ああ、気にしないでくれ。それより皆集まってくれてありがとう。色々と相談があるんだ。」
亮汰はほっとけばそのうち起きるだろう。これからの事を皆と考えなくてはな。
誤字脱字報告ありがとうございます




