表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンと逆襲の異世界勇者  作者: こぱTN
ドラゴンとの契約、そして大森林の獣人編
51/133

全霊の思い


「もしも私が負けたのなら今までヴァルハートに捧げてきた忠誠、それをギンジ殿に捧げましょう。」


「・・・つまり俺の物になるって事でいいのか?」


「はい。目障りな様でしたらこの命差し出しましょう。」


「そうか。」


大層な自信だな。いや、そうでなければ大国の騎士団長なんてやっていられないだろうな。ライーザさんは俺が以前のままの低スペックだと思って舐めたりそんな人を侮る様な事はしなさそうだ。


「ライーザさん!?ホンマに大丈夫なんか?須藤の奴なんか前より強そうな雰囲気出てるけど・・・まぁライーザさんに限って須藤に負けるって事は無いよな?」


「いえ、今のギンジ殿から発せられる空気、少し尋常じゃありません。下手をすれば・・・」


「嘘やろ・・・須藤、あんたホントにあれから何があったんや・・・」


やはりライーザさんはよく見ている。直感で以前の俺と違うと感じ取ったらしい。


「ギンさん!ギンさんには私と言う立派な嫁がいるんだからな!?他にはいらないだろう!?」


ハビナ?ああ、俺の物になるって所が気に入らなかったのか・・・そういう意味じゃないんだが。


「ええ!?須藤あんた結婚したんか!?」


「してない!こいつが勝手に言っているだけだ!」


「そんな・・・」


「・・・ほっ。そかそか。」


全く、西城のおかげで調子が狂うな。ハビナがずーんって雰囲気を出しているが今は放っておこう。


「・・ッチ。変な横やりが入ったがもういいだろう。いつでもいいぞ。ああ、それに後で何か言われても面倒だ。西城。お前も一緒でいい。二人まとめてかかって来い。」


「なっ!?」


「二人がかりでやて!?いくらなんでもそれは卑怯すぎるやろ!」


二人は馬鹿にされて悔しいような怒った様な複雑な顔をしている。


「私は騎士だ!そんな事認められない!」



「ほっほっほ。なかなか面白そうな勝負になりそうじゃの。立会人は儂が努めたいのじゃが良いかの?」


急にサルパが入ってきた。一体どうしたんだ?


「あ?ああ、特に問題は無いが・・・」


「私も構わない。森の賢人と語られるサルパ・ジマク殿が努めてくれるなら光栄だが・・・」


「ウチもええけど・・・そんなホントに1対2で?それも須藤相手に・・・」


ライーザさんもサルパの事は知っているのか。流石は獣老だ。


「なら良しじゃ。では一つ、一応じゃが殺しは無しにしたいんじゃが。良いかの?」


なるほど。サルパは俺がやり過ぎる事を危惧したのか。それと彼女たちに二人がかりになる事に対しての負い目を少なくさせる意味もあるな。


「ああ、殺しはしない。以前もいったが俺の目的は皆殺しじゃないんだからな。」


「それを聞けて安心じゃ。」


「・・・それは私達に勝てると言っている様に聞こえるが?私にも今まで培ってきた経験と騎士団長の意地がある!」


「ウチも舐められるのは好きじゃないで!」


そういうとライーザさんと西城は剣を抜き構えた。俺は魔力剣を形成し掌でクイクイとやってみた。


「魔力の剣だと・・・!ギンジ殿、本当に強くなられたのですね・・・


「来い。」



「では初めい!」



「いざ参る!」


「行くで!須藤!」



ビュオ!


ギィィィン!!


ライーザさんが一気に距離を詰めてきて横なぎに一閃、剣を振るった。俺はひとまずそれを受け少し距離を取った。

ライーザさんのステータスはガジュージと近い。が、レオンより遅い。


「ウチの事も忘れて貰っては困るで!」


「忘れた訳じゃない、っと。」


ガイィン!!!


俺が距離を取った場所のすぐ背後に西城が待ち構えていて俺の脚に向かってダガーの突きを繰り出してきた。俺はその突いてきたダガーの先端を魔力剣を逆手にしその先端に合わせて後ろ手の格好でガードした。


「なっ・・・!ウチの突きを見もせんで防ぐんか!?あんたホンマに何があったん!?」


西城もスピードは速いが俺にしてみると遅いし軽すぎる。刃の軌道を見てからそこに置いておくだけで防ぐことが出来た。


「ギンジ殿。やはりあなたは凄いお方だ。王女様が熱を上げるのも頷けますよ。」


彼女たち二人からすればつい一月前まで子守りの対象だった人物に軽くあしらわれているとなれば面白くないだろうな。

・・・って王女が熱を?俺に?そんな事ないだろ。守るべき勇者だから、もしくは油断させる為の一手じゃないのか?



「ギンさん!頑張れ!」


「ご主人様ー!ファイトなのですー!」


「あら~。お姉さんも応援しちゃう~。」



周りの声援が運動会みたいなノリだな。まぁいい。


「それじゃあ俺からもご挨拶だ。『激流爆翔げきりゅうばくしょう』!」


ドドドン!


「な!?この魔法は!3体の水竜!?・・・ぐあっ!」


それなりの魔力を込めた竜言語魔法だ。ライーザさんは完全に身を守る事に集中したが体ごと吹っ飛ばされた。


「ライーザさん・・・!しっかり!!」


(やはりこの竜言語魔法は良いな。我ながらよく創ったものだ。)


これはリオウのお気に入りだったな。忘れてたよ。これからも贔屓にしてやるか。


「だが別にもう一発だ。『炎滅せし剛竜波ドラゴンキャレス』!」


ゴバアア!ガアアア!!


「今度は火竜かいな!?・・・きゃあ!」


西城も避けようとしたが間に合わず火竜の突撃を受け服の、パレオの部分が焼け落ちた。


「クッ・・・!詠唱無でこの威力!・・・これは一気にケリを付けなければならないようですね!私の全てを賭けてでも!!」


ドンッ!


「!?ライーザさん!」


「カオリ殿。援護を頼みます。少しの間でいい、ギンジ殿の動きを抑えて下さい!」


「り、了解や!ウチも全力、ぶつけるで!!」


「ほう。これは俺の・・・」


ライーザさんが魔力を集中している。己の全てを出し尽くすような・・・これは・・ああ、まるでレオンの[獅子の咆哮レオ・ハウリング]の様だ。



「・・・ギンジ殿。一つだけ頼みがあります。」


「一応聞くだけ聞こうか。」


「メーシーを、王女様をどうか信じてあげて下さい。特に王女様はギンジ殿がいなくなったあの日からジングウジ殿がよくお部屋を訪ねて来られ心労が・・・」


ライーザさんは魔力を高めながら祈るようにそう言った。この表情、単なる時間稼ぎではないだろう。


「・・・だからメーシーに密命を?」


「恐らくは。幸い何かコトがあった訳では無さそうですが。」


「・・・だったら約束通り俺に勝って協力させればいい。」



「わかりました。・・・行きます!我が全霊の一撃受けて見ろ!!」


(銀次よ。やはり生命力を賭けた攻撃は凄いな。)


ライーザさんの全魔力を込めた巨大なエネルギーの剣がかなりの速度で襲いかかってきた。


「須藤ォ!少しの間動かんといてや![分身]!」


ブゥ・・ン


西城も俺の知らないスキル、分身で自分を4つに増やしてきた。


「からの~・・・[フォールダガー]&[幻影斬]!」


ズババババ!


重力ナイフと分身しての多重斬撃の併用か。4回斬られたからおよそ5倍の重さになっているという訳だ。


「かなり重いな。相変わらず強力なスキルだ。」


ステータスを変動させて全力で避ければライーザさんの渾身の一撃は避ける事が出来るかもしれない。だがここはあの人の思いを正面から受け止めようと思う。


ギンジ・スドウ


人間 男性


レベル 32


物攻 800


魔攻 800


防  800


敏  160(↓)



これは・・・西城のスキルで敏の値がとんでもなく下がっている。確認しておいて正解だった。俺のこのステータスを



物攻 400


魔攻 400


防  1600


敏  160



こう変化させる。あれから色々試してみたんだがどうやら一つの項目は元の値の倍までしか変化させられないようだ。仮にこれを通したとしたら俺に防ぐ手段は無い。

まあ敏に振れば避ける事が出来るだろうが。



「はああああぁぁぁぁぁ!![ライトニングセイバー]!!」


ゴオオォォ!!


巨大なエネルギーの塊が眼前に迫ってくる。以前トロールを倒した時に見たものと比べても段違いのデカさだ。本当に全身全霊を賭けているんだろう。


俺はこれからすぐに来るであろう衝撃に備える為にそっと目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ