結界の間
2000PV超!う、嬉しい・・・プルプル
「いけ![双飛竜]!」
ザンッ!
ゲゲ? グギャ?
ドサ
俺の放った双飛竜はロックゴーレムと時と同様にゴブリンの身体を2体まとめて×の字に分断した。
ロックゴーレムより固くないのだから当たりさえすれば確実に倒せると思っていたがしっかり倒せてよかった。間接的とはいえ一度あの感触を知ってしまうとやはり気分が相当悪いな。
「ひゅー。相変わらずスゲエ切れ味だな!助かったぜ銀次!サンキュな!」
亮汰がめずらしい事を言う。礼を言われたことなんて知り合ってから初めてだろう、多分。
「いや。気にしないでくれ。それにしても亮汰、あれだけ魔力セーブしろって言われてただろ?もうほとんど空なんじゃないのか?」
「そうだな!昔っから貯金とか苦手でよ!ある分はすぐに使っちまうんだ!」
亮汰っぽいと言えばそうなのだろうがいざという時に困るのは自分だぞ。貯金も同じだ。
後のゴブリンの群れは兵士たちの頑張りもあり戦況不利と見て撤退していったようだ。
「ふぅ。とりあえずはなんとか撃退出来たか。ギャレス。スコットの遺体は丁重に扱え。後で家族の元へ送るときは私も同行する。」
「へい。つらい役目をいつも申し訳ありません。」
「いい。騎士団団長としての責務だ。いつになっても慣れる事はないがな。」
「お疲れ様です。ライーザさん。スコット様については王国からもご家族への配慮をさせて頂きます。」
「王女様・・・その言葉ありがたく。」
このやり取りを見るにライーザさんは戦死した兵士を家族へ帰す時は付き添っているようだな。責任者の努めというが家族の思いを受け止めるのは相当きついだろう。それでも自分が行くという事はやはりライーザさんは立派だと思う。
「団長殿。」
メーシーもライーザさんやギャレスに声をかけづらいようだな。
「メーシーか。防御魔法の展開ご苦労だったな。」
「うん。久しぶりで不安だったけどうまく出来て良かったよ。とりあえず今兵士君が奥へ続く道を発見してくれたようだけど。どうする?」
「ここで帰還なんてしたらそれこそスコットに怒られちまいますぜ。団長行きましょう!」
「ああ!もちろんだ。勇者様方も連戦でお疲れの所ご容赦願います。」
ギャレスの問いにライーザさんも即答だ。
俺は基本的に魔力には余裕がある。刀に魔力を溜める時間さえなければ言う事ないんだけど。他の連中はどうかな?
「そんな事ないで!全然平気や!なぁ?」
「おう!魔力は少ないが体は張れるぜ!」
「まぁもう少しなら余裕がありますわ。」
俺たちはもちろん大丈夫だとうなずいた。
亮汰は魔力がほぼ空。西城もコスト重い重力スキルを使っているため少し不安があるかもしれない。東雲さんは恐らく問題ない。姫崎と勇人もまだいけるだろう。
「それでは皆様先へゆきましょう。」
俺たちは遺跡の奥へと足を進めていった。
「ところでギャレス。ギャレスのスキル初めて見たんだけどあれなんだったんだ?消えたわけじゃないみたいだけど・・・」
俺はさっきのギャレスのスキルが気になって確認してみた。確かハイドアンドシークといっていたかな。
「ああ、気配断ちの事ですかい?あれは自らの殺気やらなにやらを限りなく抑える事によって自分の存在を希薄にするってスキルですぜ。乱戦の時に一番効果が出るんじゃないですかね。逆に集中されたり相手が達人クラスになるとあまり効果が出ませんね。消えるわけじゃないんで。」
「なるほど。だから俺に援護させて意識を逸らさせたのか。」
「そういう事でさ。そんな理由で基本1対1では使えやせん。」
奇襲なんかの時はかなり使えるスキルなんだろうな。
「そうなや!ウチもそのスキル覚えられたら速さと合わせて凄い強そうやん!」
西城が?仮に覚えられたとしてもすぐに気配出ちゃいそうだけどな。
「サイジョウ殿が?賑やかな人には向かないスキルだと思いやすが。」
「なんでやねん!?」
やっぱり?
「ふふ。カオリ様は持ち前の明るさで皆を元気づけてあげてくださいね。わたしはマユミ様のマジックアローで回復魔法を飛ばせる事が出来るという事実に驚きを隠せませんでした!」
「えへへ。エミリア様に教えて貰った回復魔法を込めておいたんですよ!右の矢筒には攻撃魔法、左の矢筒には回復魔法のマジックアローが入ってるんです。回復の方が魔力の消費が大きいみたいで数は少ないんですけど。」
「お役にたてて嬉しいです。回復魔法は詠唱の短縮も難しく距離があると効果がないものですからそれを飛ばせるというのは凄い事です!」
エミリア王女は目を輝かせて興奮しているな。実際そういったデメリットもあり回復魔法の使い手は魔法使いでありながら前線に出なくてはならない。
ライーザさんの様に剣技も扱えれば頼もしいのだが皆が皆そうではないからな。
その点マジックアローでの回復ならば詠唱もいらないし東雲さんの弓の腕で正確に目標に当てられる。これはホントに凄いと思う。
「ああ。正直矢に貫かれるかと思って内心ドキッとしたけど目の前で発動してくれたようで安心したよ。」
マジックアローの回復を貰った勇人がそう言う。俺も貫かれるのかなと思っていたけどその心配はなさそうだな。
「ウチも新しいスキルほしい!なんでウチだけ2つ目が覚えられないんや!」
西城が文句を言っているな。初っ端にそんな強力なスキルを使えるんだからいいじゃないか。
「香織。わたしだってマジックアローだけだよ?一緒だよ?」
「まゆまゆのそれは汎用性が桁違いやんか!」
うむ。一理ある。
「そういえば西城。メーシーに投げナイフ教えて貰うって話はどうなったんだ?」
「そうやった!せんせ。投げナイフの極意教えてください!」
「極意ってのはなぁ・・・持ち方投げ方色々あるけど自分の一番いいのを見つける方がいいかもね。基本は教えてあげるからあとは反復練習しかないからね。でも前も言ったけどそのスキルで遠距離出来たら凄い事いっぱいできそうだね!」
「おっしゃー!やったるで!」
そういって西城は歩きながらメーシーに基本を教わっていた。製造部だけあって手先も器用だろうしすぐにものにしてくれそうだ。
それからは目立った魔獣の襲撃もなく順調に遺跡を踏破していった。
「ここです!こちらが私どもが結界の間と呼んでいる場所になります。」
やっとついたか。外から見ても広そうな遺跡だとは思っていたが内部は見た目以上に広いかったように思える。魔法か何かがかかっていたといても不思議ではないぞ。
「では、あっしが先行して入ります。何かおかしな事がおこるかもしれませんので。」
ギャレスはそう言い何人かの兵士と結界の間へと入っていった。
確か『異界の勇者降りし時、封印は解かれる。さすれば汝の敵を討ち滅ぼすだろう。』だったかな。入った瞬間に封印とやらが解かれてもな。準備だけはしておきたい。
「勇者様方!副団長より問題なしとの事です!どうぞ!」
先に突入した兵士が結界の間から出てきて報告しに来てくれた。
「では参りましょう。不測の事態が起こるやもしれませんどうかお気をつけて。」
そう言うライーザさんを先頭に俺たちは結界の間に足を踏み入れた。
「こ、ここは・・・」
「広いなー。あ、奥にあるのが結界ってやつなんかな?」
中に入ってみると想像以上に広い大部屋だった。ヴァルハート王国の謁見の間ぐらいの広さがあるんじゃないのか?
その一番奥にバリバリッと電気が流れているような鎖の様な物がクロス状に張ってありそこから向こう側へは行けないようになっているようだ。あれが結界か。
その手前にギャレス達が待っている。
よし。行ってみよう。
ドクン
────早く────
ドクン
────早く来い────
ん?何か違和感を感じて俺の持っている刀を見る。刀身を確認してみるが特に変わらず漆黒のままだ。いざという時の為にも早くチャージしてもらいたい所だな。
────もうすぐだ────
刀を鞘に戻すと鍔の竜の部分がカタカタと震えている事に俺は気づかなかった。
次話は月曜日になります




