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ドラゴンと逆襲の異世界勇者  作者: こぱTN
裏切りの異世界転移編
22/133

戦場と死

「では先へ進みますかね。」


ギャレスの言葉を受け俺たちはまたも奥へ進んでいった。

どのくらい進んだだろうかかなり開けた庭園の様な場所へ出た。綺麗な草木はなく茨のついた蔓のようなものがあちこちにのびていて若干不気味だな。


「なんか辛気臭い場所だな!」


「遺跡の中にこんな場所があるんだね。」


「以前はこんな所なかったような気がするが・・・ギャレスどうだ?」


「あったようななかったような・・曖昧ですいません。」


「なんでもいいですけれど少し休憩致しません?わたくし疲れてきてしまいましたわ。」


戦ったり絶えず強襲に備えて警戒したりして進んでいるから精神的にもキツくなっているのは確かだな。


「そうですね。一旦休息しましょう。皆の者一時休息とする!周囲の警戒は交替で行うように!」


「ふう。ちょっと座って休もうか。勇者さんたちはレベルはどう?少しは上がっていると思うんだけど。」


メーシーの言葉に俺たちはステータスを確認してみた。上がってる上がってる。俺のレベルは18になっていた。

レベルが上がってくれば来るほど次に上がりづらくなるが半日で8も上がるとは効率が良いというのは間違いないみたいだな。


・・っ!?待て待て!パラメータの伸びが1じゃない・・だと・・?

レベル10から18の間平均で2伸びておる!しまった。テンションがおかしくなってしまった。よかった・・1固定じゃないんだ。

これは少し黙っておいて後で皆を驚かせてみよう!へへ。


「レベル18になってたよー。」


「わたくしもですわね。」


「ウチもや!ってどうせ皆同じやん!せやろ?」


「・・・・」


「神宮寺?どうしたん?」


「あ、あぁ!そうだな!すまん。考え事をしていた。」


「なんだよ勇人!また新しいスキルでも覚えたのか?羨ましいぜ!」


「まあな。それでライーザさん。ここから後どのくらいかかるんですか?」


ここまでそれなりに時間がかかっている。あと半分以下であってくれると嬉しいのだけれど。


「今回は魔獣の数も多く質もなかなか手強い相手でしたのでここまで時間がかかってしまいましたが恐らく半分以上は来ているかと。この庭園の事が気がかりはあるのですが・・・」



「団長殿!報告します!」


「なんだ!?なにがあった!」


じゃあそろそろ出発しようかというところに一人の兵士が血相を変えて報告に来た。なにがあったんだ?


「しゅ、襲撃!ゴブリンの群れの襲撃です!ここはやつらの住処だったようです!」


ゴブリンだって?イメージ的には大した事ない敵って認識だけど・・


「なんだって!?あいつら住処をここに変えていたのか!」


「クソッ!ゴブリンか!やっかいな場所に足を踏み入れちまいましたね!」


ライーザさんとギャレスの顔をみるにゲームで定番の序盤のザコって感じではなさそうだな。


「そんなにヤバい相手なのかよ!?」


「ゴブリンってあれやろ?ザコ敵やろ?前に弟がゲームしてるとき一撃で倒してたで。」


西城のゴブリン知識も俺と同じようだな。


「ザコ?!確かにやつらは小さい子供程度の大きさで個々の戦力は小さいですがが群れで行動し簡易ですが武器も使って狩りをしてきます!どこから蓄えた知識なのかわかりませんが簡単な人語も解するそうです!」


西城の楽観的思考にエミリア王女が若干大きな声で反論してきた。王女にしてはめずらしいな。


「性格は残忍、いたぶりながら獲物を殺す変な趣味みたいなものもあるみたいだね。後一番嫌なのは人間相手だと女性を狙って攫うんだ。快楽目的に犯した後殺すために。」


「!?」


メーシーの補足に俺たちは絶句してしまった。魔獣が人を犯すだって?快楽目的で?そんなのが武器を持って群れで襲ってくるとか・・・ただ単純に襲ってくる魔獣に比べると怖さも違ってくるな。


「今の状況はどうなっている!?」


「兵士が1名負傷!もう1名、スコットは陽動に気を取られ背後から・・恐らく・・死亡・・です。」


「スコットが・・クソッ!」


「!?」


「し、死亡?」


「嘘やろ・・・?」


死亡だって・・?まさか?スコットってさっきみんなにお疲れ様でした!と言って水を持ってきてくれた青年じゃないか。


「勇者さんたち!行こう!」


「「「「「「・・・・」」」」」」


メーシーの言葉に俺たちは反応できなかった。戦場では人が死ぬ。この当たり前な様で目にしたことがない事態に体が動かないのだろう。


「勇者様方!一刻も早くこの状況を打破しなくてはなりません!騎士団員は相応の覚悟を持ってここへ来ております!彼の死を無駄にしないでください!」


「勇者様!俺たちも死にたくなければやるしかないんですぜ!」


ライーザさんとギャレスの言葉で冷えた身体が熱くなってくるような気がした。

無意識のうちに先程活躍してくれた刀をぐっと握っていた。

刀を鞘から抜いてみるがまだ刀身は漆黒のままだな。だが、それでも!


「行こう!女性陣は無理しないでライーザさんについてもらっても構わないよ!」


「ううん!わたしも行く!絶対に負けない!」


「ウチもやったるで!」


「わ、わたくしが怖気づくとでも思って?」


「やるしかない・・か!」


「俺も漢だ!行こうぜ!」


そうだ。やるしかない。絶対にこの人たちを慰み者になんかさせるわけにはいかないんだ!


俺たちが駆けつけると騎士団たちの防戦一方といった状況の様だ。やはり陽動+奇襲ってのはかなりの効果があるみたいだ。


「スコットの敵!」


ゲゲゲゲッ!!


ゲッゲッ!!


「くっ!こいつらちょこまかとっ!」


ゲゲーー!!


「おい!後ろだ!」


ザンッ!


グゲェェェ・・


「頭に血が上りすぎだ!熱くなるのはいいが冷静さを失うな!!」


「!?団長っ!すみません!」


ゴブリンと呼ばれる魔獣は子供ぐらいの大きさで緑がかった肌をしているな。つりあがった目に鋭くも並びの悪い歯をむき出しにしてぴょんぴょん跳ねるように移動している。

ボロボロのナイフを持っていたり棍棒を持っていたりするが後ろから見ると本当に子供みたいだ・・・弓矢を持ってるやつもいる。


ゲゲッ!? ゲゲゲゲェ ギィエエエ!!


「なんだ?あいつら何言ってるんだ?」


ゴブリンたちはこちらを見て一瞬口を吊り上げて笑ったと思うと大きな声を出して仲間を呼んだみたいだ。ホントにコミュニケーション取れてるんだな。


「多分私たち女を見つけてこっちに目標を切り替えたみたいだよ!ほんとに下衆いね!」


「う、うわぁ・・・」


「ほんまや!気色悪っ!」


「あんなモノで・・恥を知りなさい!」


女性たちが汚物を見るような目でゴブリンを見ているな。

なんだ?アレ?あぁ・・ゴブリン達はこちらの女性を見て(恐らく)性器をいきり立たせている。確かにあれは気持ちが悪い。


「きゃああ!来ないで下さい!『熱く迸る火の精霊よ。我に従い炎と化したまえ。我が標的を焼き穿て!<<フレイムランス>>』」


ゴバァァァ!


ゲ! グゲ・・


「エミリア王女!むやみに魔力を消費してはなりません!私や勇者様がおりますゆえ!」


「す、すみません・・気持ちが悪くて・・つい。」


エミリア王女は性器を丸出しにして近づいてきたゴブリンを見て反射的にフレイムランスで大穴を空けた。「つい」でフル詠唱でぶっ放してたが。


「勇者様方!相手はタッグを組んできますぜ!こちらも組まないとまずい!ジングウジ殿とカセ殿!あっしとギンジ殿で前に出ましょう!」


「私は防御魔法張っとくね!あいつらのオンボロ弓矢ならある程度防げると思うよ!」


「『大いなる土の精霊よ。我に従い盾と化したまえ。堅固なる壁となれ!<<アースウォール>>』」


メーシーが詠唱をすると女性陣の周りに透明な壁が張られたぞ。防御魔法と言っていたが文字通り魔力の壁を作ったのだろう。


その後ギャレスの提案通り俺たちは二人一組で前に出た。


ゲゲゲィ!


「邪魔くせぇ!うら!」


ドガッ!


ナイフを持ったゴブリン2体が亮汰勇人組に突っ込んで来た。亮汰はカウンター気味にゴブリンを殴り飛ばす。やはり個々の力はそんなにないようだな。


「[ダブルスラッシュ]!」


ザシュ!ザシュ!


ギィ!


もう一方のゴブリンも勇人のスキルで足を止めた。勇人がトドメを刺そうとするが・・・


ギ、ギ、ユ、ユルシテ・・・


「!?クソッ!」


「勇人!何やってる!早くトドメを!」


「だ、だが・・・」


ギェヒヒ! シャア!!


「ぐあああ!」


なんとゴブリンが人語で許しを乞うてきた。簡単な人語を解すると言っていたが・・勇人がトドメを躊躇った瞬間、持っていたナイフで醜悪な笑みを浮かべながら勇人の肩口を突いた。


「オラア!勇人!大丈夫か!?」


「う、なんとか・・・ぐっ!」


亮汰がもう一体を殴り距離を取った。亮汰は人を拳で殴る事に慣れているようだが魔獣といえども剣で人、ではないが人型を切る事に抵抗があるようだ。泣き落としみたいに許しまで乞うてくればなおさらだろう。


ゲヒゲヒゲヒィ!


ギィン!


「ぐっ!っこの!」


ちぃ!勇人の方に気を取られているとこちらにも別のゴブリンズが攻撃をしてきた。

まずはこっちを何とかしないと!

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