所得税の壁を引き上げる事で下がる税収を補填する為にクリスマス増税1000%を提案する自称経済評論家兼政治評論家、大切な内容を無視する
メリークリスマス!
目障りな存在が消え去ったの清浄なる地には、何も残されてはいない。
賠償金の請求相手がいなくなったのは勿論、落ちていたら確実に目立つ筈の黄金髑髏までもが残されてはいなかった。
せっかくのカッチョ良い黄金髑髏が……。
《【堕ちた創造神】アヴディヴァーダの討伐を確認。
称号【創造神殺し】を獲得しました。
固有スキル〈創造〉〈創世〉〈創生〉を獲得しました。
種族を変更。
失敗しました。
種族の追加を試行。
成功しました。
種族“現人神”が追加されました。
【創造神】単独討伐により神格が大幅向上します。
種族“現人神”のレベルが1から5に覚醒しました。》
虚しくステータスの更新アナウンスが流れて来るが、全く頭に入って来ない。
《【魔王】ブグドルドゥの討伐を確認。
【魔王軍四天王】が現存しています。
【魔王】の完全討伐は未達成。
称号【魔王殺し】を獲得しました。》
と言うかステータスの更新アナウンスが全然終わらない。
せめて何々を倒したとか、どうでも良いアナウンスは飛ばして欲しいものだ。
リア充共の肩書など欠片も興味ない。
興味の有無を抜きにしても、少なくともリア充共の肩書が重要な事などある訳無いだろう。
《【終末の獣】アディガの討伐を確認。
エバンジエ世界の寿命が消失しました。
世界のバランスが崩壊しました。
【終末の王】の継承権を獲得しました。
大罪スキル〈嫉妬〉〈色欲〉〈憤怒〉〈傲慢〉〈強欲〉の所持を確認。
【終末の王】の継承条件を満たしました。
称号【終末の王】を獲得しました。
【終末の王】の効果により大罪スキルの取得条件を大幅に緩和します。
大罪スキルおよび【終末の王】による精神侵食を完全にレジストしました。
世界を救うレベルの功績を複数確認。
称号【楽園の王】を獲得しました。
【終末の王】の効果により大罪スキルの取得条件を大幅に緩和します。
美徳スキル〈純潔〉〈勤勉〉〈寛容〉〈正義〉〈希望〉〈勇気〉〈信仰〉を獲得しました。》
ステータスのアナウンスはどうでも良いが、何となく色々な力が身に付いた気がする。
少しくらい試してから戻ろう。
「ふんっ」
荒野に向かって力を振るう。
すると目論見通り、各地から小さな芽が芽吹き、次々と花が咲いてゆく。
「良しっ、デートスポット構築能力ゲット!」
黄金髑髏のネックレスで俺の外見的魅力をアピールするよりも、こんな風にデートスポットを創って一緒に来る方が得点が高いかも知れない。
災い転じて福となすと言うやつだ。
だが、これは得て終わりの力ではない。
どんなデートスポットを生み出すか、俺のセンスが問われる力だ。
女神様にお披露目するのはまた今度だな。
で、一番の問題。
「ここは何処だ?」
地平線まで見えるが人工物は何も無い。
人の影も無く、まだ続くアナウンスの声以外には動物の鳴き声らしきものすら聞こえない。
取り敢えず、景色が変わるまで走るか。
走り始めると一瞬で加速。
およそ0.0001秒後、距離にして三十キロ程で花畑、つまり爆心地の外に出た。
そこに広がっていたのも、リア爆前の荒野のような風景。
しかし異なる点として、大量の物が転がっていた。
おそらくは大量の害獣のドロップアイテム。
女神様が大喜びしそうな大量の金貨も散らばっている。
ただ大問題が一つ。
爆殺した影響か、とんでもない広範囲に散らばっていた。
どうしよう?
屈んでいちいち拾っていたらぴっちぴちな好青年である俺も流石に腰を痛めてしまう。
信者共を連れてきて拾わせるか?
それでも下手すれば数ヶ月はかかるな。
何にしても、この貢アイテムを逃す選択肢はない。
全て拾う必要がある。
何か良い手は?
巨大なトンボ的なもので掻き集めるか?
いや、そんなトンボが売っている訳が無いし、造って貰うにしてもどのくらいの製作期間が必要か分かったもんじゃない。
自分で造るにしても、材料集めに結局時間がかかる。
土魔法で造るとしても、よくよく考えたら平らな土地で無ければ使えない。
凹凸を砕きながら進ませれば強引にいけるかも知れないが、それをすれば今度はドロップアイテムが瓦礫に呑み込まれ選別の作業が必要になる。
巨大トンボ作戦は却下だ。
同じく他の瓦礫も巻き込みそうな方法も却下だな。
しかし女神様の為に一番回収しなくてはならない金貨を瓦礫を巻き込まずに回収するとなると難しい。
平たくて重いものよりも普通は瓦礫が先に動いてしまう。
そうだ、重力はどうだろう。
重力なら重いものを優先的に引っ張れる気がする。いや、速度は変わらないんだったか。
だが、地形は岩に近い大地が広がる荒野。砂とか石が多いとかだったら全て引き寄せてしまうが、まあトンボで強引に均すよりはマシだろう。
問題はどう重力を制御するかだが、幸い今日散々重力を放つ迷惑野郎や害獣がいた。
害獣に出来て俺に出来ない筈がない。
浴びた感覚を頼りに魔力を動かす。
すると目の前の荒野に落ちた金貨が生じさせた重力場の境界線へと落ちるように吸い寄せられた。
これを散らばったであろう全域へと、半径百キロ圏内程へと拡げる。
空へと、加速しながらドロップアイテムが落ちてゆく。
浮かび上がると、今度はそれらの中心に新たな重力場を生成。
同時にそこにアイテムボックスの入り口を抉じ開ける。
空に落ちたドロップアイテムが次々とアイテムボックスへと落ちてゆく。
ガゴンッ!!
ドゴッン!!
――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!
あっ、大地が崩れた。
空へと崩落し、アイテムボックスへ……。
唖然としている間に、おおよそ半径百キロの大崩壊を起こし、重力魔法を解除した頃には巨大なかつ深い穴に。
問題はそれに留まらず、アイテムボックスへと辿り着かなかった空を覆う大量の岩が重力魔法の解除と共に降り注いで来た。
数千メートル級の山が丸ごと一つ崩壊しても発生し得ない程の大質量の襲撃。
星が一つ落ちてきたのでは無いかと錯覚する程の大災害。
しかし、そんな事よりも問題がある。
「ドロップアイテムと瓦礫が混じっちまったーーーー!!」
俺の叫びを掻き消し、俺の姿どころか存在すらも消し去ろうかという圧倒的質量の雨。
踏んだり蹴ったりとはこれの事。
失恋のシーンとかで雨が降ってくるのと同じシチュエーションだ。
まあ、苛立ちのはけ口に丁度いい。
落下する岩石を殴りつけ、その岩石で更に上空の岩石を迎撃する。
殴りつけた岩石は蒸発し、質量と暴威を伴ったそれは上空の岩石を融解。
繰り返す毎に空は赤く赤熱し、俺の真上には何も無くなった。
俺の周りには融けた岩石が降り注ぎ、噴火口がある火山のような形で固まってゆく。
と言うよりも、異常に大規模な以外はどう見ても火山だ。
はあ、後で火山型デートスポットでも造って帳尻を合わせるか。
だが今一番にしなくてはならない事は、アイテムボックス内の確認だ。
取り敢えず出すしか無いか。
そう思っているとウィンドウが現れた。
・死の岩石×30兆102万2千321トン
・神銅貨✕1枚
・金剛鉄貨✕2枚
・聖銀貨✕23枚
・金貨✕145523枚
・銀貨✕3855692枚
・銅貨✕111488569枚
・魔剣✕33振
・魔槍✕29条
・魔弓✕11張
・魔矢✕25条
・魔盾✕22帖
・魔銃✕5挺
・魔杖✕35本
・魔鎧✕42領
・魔鎌✕13挺
・魔鎚✕11挺
・魔飛具✕23個
・魔衣✕55着
・魔宝✕236点
・魔法道具✕345個
・魔骸✕66体
・魔石✕58666個
・宝石✕317個
・聖剣✕4振
・聖槍✕1条
・聖弓✕1張
・聖杖✕2杖
・聖鎧✕2領
・聖衣✕6着
・聖宝✕9点
・聖骸✕15体
・分類不明高位物✕1275個
・刀剣✕16552本
・槍✕6995本
・弓✕4996個
・……………………………………etc.
「こんな便利機能があったのか」
とんでもない数の物を収納しても、自動で数えてくれる機能が付いていたらしい。
これでバラで出せたら完璧なんだが。
試しに一つ出してみるか。
目についた魔剣を取り出そうと試みる。
するとシュルッと剣が出てきた。
すんなりと成功だ。
そう言えば、金貨も望んだ額が出てきていた。
どんな収納物でも有効だったらしい。
分類毎のようだがこれでも十分に便利だ。
もしかして、もっと細かく表示も出来る?
そう思い念じるも表示は変わらなかった。
いや、一部だけは変わっている。
・バルザーク=ニームヘルムのホワイト宴会シルクハット✕1
・バルザーク=ニームヘルムのホワイト宴会マフラー✕1
・バルザーク=ニームヘルムのホワイト宴会ハカマ✕1
・バルザーク=ニームヘルムのレッド宴会マント✕1
・バルザーク=ニームヘルムのホワイト宴会タキシード✕1
・バルザーク=ニームヘルムのゴールド宴会スーツ✕1
・……………………………………etc.
おそらく正式名称が表示されるようになったこれは、バニーちゃんの店で買った服だ。
バルザーク=ニームヘルムと言うのは多分バニーちゃんの本名だろう。略せばバニーになると言えばなるし。
バニーちゃんの本名こそ知らなかったが、この結果からすると俺が何かを知っているものは正式名称で表示されるのかも知れない。
試しに魔剣をしまってみるも、その表示は名前に変わらなかった。
やはりそれが何であるかを知らなければ、正式名称には変わらないらしい。
そうなるとどこかのタイミングで拾ったものを調べる必要がある。
でなければ女神様に貢ぐ事ができない。
要らないものを贈っても、好感度は上がるどころか下がってしまうのだから重要だ。
一々俺が調べずに全て売り払うのも手だが、持っていた方が価値のあるものも有る可能性がある。
そもそも大量の金貨だけがあっても意味はなく、使わなければただのキレイな金属としてしか効力を発揮しない。
ある程度金額が貯れば希少価値も下がり、贈り物としての効力も低下するだろう。
そうなると、使ってから買った物を贈った方が効果的だ。
今の所持金からすると、おそらくは貯金ではなく買い物フェーズ。
俺が拾ったドロップアイテムの中には、既に金貨にするよりも価値のある何かがあるかも知れない。
鑑定を使えば最低限は分かるだろうか。
試しに魔剣を鑑定してみる。
名称:魔剣セラフスレイ
分類:魔剣
等級:英雄級
効果:身体能力増幅、代償変換、天使殺し、精霊殺し、使徒侵食、吸魔吸命
説明:【ブルカテジエの天使】タナルスフィを滅ぼした【啜命の魔将】タルベナクが奪い、天使の血を啜り続けた元タナルスフィの剣。天使の血に呪われ、最後に敗れたタルベナクの血を啜った事で魔剣となった。
タルベナクの残留思念が刻まれており、所持者は命を刈り取りたい衝動に襲われ続ける。所持者からも命と魔力を吸い続ける為、代わりとなる命を生贄として狩り続けなければ死に至る魔剣。
一方で命そのものを吸収しエネルギーとして変換可能な為、絶大な力を所持者に与える。
天使の剣由来の力として天使などの霊体を斬る性質に加えて身体能力を増幅させる力を有するが、任意で行使する事は出来ず所持した時点で所持者は強制的に強化される。出力が強化されるのに対し強度は強化されない為、所持者には高い身体強度や回復力が求められる。魔剣の力で獲物から命を奪い回復力を補う事が可能であり、歴代の所持者は自分の命が吸われる事に合わせて身体を崩壊させない為に命を狩り続けた。
魔剣で奪った命や魔力は魔剣のものとなった後に所持者に流れ込む為、使用する毎に所持者は魔剣に汚染され魔剣の一部へと変質し、最後は剣に全てを奪われる。反面、侵食が進む事に歴代の所持者にも近付く為、その技術を得る事が可能。
その力は時代と共に増大している。
…………偶々鑑定しただけだが、滅茶苦茶呪われた剣だった。
安全の為にも拾い物の調査を進める必要が有りそうだ。女神様に危険物を貢ぐ事はどう考えても出来ないのだから。