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出会い
こんな有り得ないことから僕、風原光汰の人生の分岐点だったんだと思う。
学校の帰り道、家まで後百メートルの所で僕はそれに遭遇した。
このご時世こんなことがあるのか?このご時世だからなのか、僕以外の人々は〝それ″から通り過ぎて行く。そんな時
「お姉ちゃん、こんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
女の子が〝それ″に話しかけると、
「こらまゆ、いけません!!」
と母親がまゆと呼ばれた女の子の手を引いて去っていく。
普通はそうだろう。なにせボロボロの白衣の女性が潰れたカエルのように倒れているのである。疲れと優柔不断な性格と有り得ない事態に立ち尽くしていたが、関わると面倒なので僕も無視して家に帰ろうとしたが、
「君も私を無視するのか」
「—――――—――――――――――――—―――――――――――――――――」
唸り声と共に倒れていた女性に足を捕まれ、驚きのあまり声が出なかった。