異世界召喚されたらアルビノになっていた
作者「新しい連載を始めました。第二部もちゃんと更新していく予定です」
日和「頑張れー(棒)」
作者「某←これなんて読む?」
日和「……それがし」
作者「……最近戦国物の読みすぎかな?(棒)と入力しようと思ったら、(某)が出て来たから聞いてみた」
日和「読み過ぎだな」
作者「まじかぁ……」
「だるい」
授業中、バレないようにこっそりと呟く。
この先生の授業、面白いけど……昨日夜更かししちゃったから眠い。そして体全体がだるい!
どうしよう、手が動かない。あー、今日良い天気だな本当に。ぽかぽか陽気は眠さに拍車をかけるだけだった。
暇すぎる。あんまりにも暇だから、自己紹介をしようと思う。
河原日和、中学生。趣味は怠けることと読書。
……………。
……………………。
そういえば、さっきから眠くて仕方が無いんだよね。私は寝ます、止めないで下さい。決して返事のない一人芝居にむなしくなったわけではない。
おやすみ~♪
「しょ、召喚は成功した……のか?」
んあ?ふぇ?誰の声?
寝ていたのを咎めるような声では無く、どちらかというと困惑したような……?
って、ほんとに誰の声!?
明らかな異常事態に脳が覚醒する。まずは起きないとね。
………体を起こすと、そこは教室では無かった。クラスメイトは普通にいたけど。教科書とかにあるようなお城風の内装の部屋だった。うっわ、眩しい。物理的な意味もあるけど、どちらかというと精神的な意味かな……。
「あの、ここは?」
「………」
クラスメイトの一人の質問に、周りの人は困惑した様子で目をそらす。
あーっと、これは……まさかの?
ク ラ ス 召 喚 と い う 奴 で す か ね ?
「あ!海斗、お前髪の毛の色が……!」
「うお!?なんだこれ!?」
何やら騒がしいので目を向けると、クラスで美男子とか言われる坂口海斗と、岸田亮平の髪の毛が金髪と銀髪(ちょっと青め)になっていた。他は黒髪……いや、恭子もとても明るい茶髪になっている!あ、よく見ると目の色とか、ちょっとだけど顔立ちも変わってる?
確認はするけど、私は変わってるわけn…白髪になっとる!?
「髪の毛白っ!?」
思わず出した声に、クラスの皆が振り向く。
「うっわ、誰だよあの美少女…」
「え、美少女?どこどこ?」
美少女?可愛い物は見てみたいんだけど……?
「いや、君のことだけど~?もしかしなくても、日和だね~?」
「はぁ?美少女?何言ってるの?」
「……鏡で確認してごらんよ」
いや、鏡なんて持ってないですけど。ペンケースすら持ってない。私の本書きセットはあるけど……。
仕方ない、ここは諦めよう。
「目の色も紅くなってるよ~」
「なるほど、アルビノか。目が紅くなっていると言うことは、白変種ではないんだね」
「……えっと~……違いは何なの~?」
「アルビノは色素の遺伝子が欠落することによる物でメラニン色素が作られないのに対し、白変種は白くなるという遺伝子が強く出された物で、先祖返りである。前者は血の色が透けて目が紅いが、後者は黒い」
「……………あ、ありがと~」
つまり前者と後者を見分けるのは目の色なのである。それにしても、アルビノか。遺伝子の欠落があるんだけど……。
「ふむ、とりあえず……この度は、こちらの都合で呼んでしまってすまない。だが、話を聞いてくれないか?」
そう前置きして話し出したローブの人。こういう人、ファンタジー系では魔術師とかでしょ?
はい、当たってました。王宮魔術師筆頭でした。余談だけど、私筆頭って聞くとどうしてもあの人のことが頭に浮かんでくる。ヤバいな……一回頭の中から追いやって……と。
とりあえず王宮魔術師筆頭さんが語ったのは以下の通り。
・ここはジルムスカンド王国。私達はその王国に召喚された勇者達である。
・本来なら召喚されるのは勇者、戦士、魔法使い、聖女の四人のはずなのだが…何故か二十数人が呼び出されてしまった。
・呼び出した理由は、“魔王と呼ばれる魔族の王が誕生したから”である。
・魔王とは、魔族を率いる者で度々人間国に戦争を仕掛けている存在。
・本来なら関係の無い存在に頼むのもおかしいかもしれないが、この世界を救って欲しい。
・あ、ちなみに帰還の魔方陣ならちゃんとあるので安心して欲しい。
これだけの説明を受けた。
本来ならもっと根掘り葉掘り聞きたいのだが、人に流されて職業などを鑑定することに。
「ステータスと唱えると、自身のステータスが表示される。このプレートに触れば他の人にも閲覧できるので、勇者、戦士、魔法使い、聖女の四人は名乗り出て欲しい。真偽を確かめる」
う、うーん?矢継ぎ早だがここで得られた情報は重要だ、忘れてはいけない。
要するに、自分の職業が勇者か戦士か魔法使いか聖女だったら申し出れば良いのね。
それではステータスオープン。
「ステータス」
ステータス
名前 河原日和
年齢 14
職業 聖女
レベル 1
HP 200/200
MP 3000/3000
能力 能力付与Lv.1
聖女の祝福Lv.1
回復魔法Lv.1
浄化Lv.1
スキルポイント 0
お?おお!出た!
というか、予想はしていたけれど聖女なのね。髪の色が変わったのが四人の時点で察しては居たけど。恐らく他の三人も勇者、戦士、魔法使いのどれかでしょ。
「すいません、見て貰えますか?」
「ん?良いぞ?」
許可を貰い、プレートに触る。
先程見た文面と、同じ物が出て来た。
「おお、嬢ちゃんが聖女なのか」
「すいませ~ん」
「お、君もかい?」
恭子がプレートを触る。……職業が戦士で、能力が〈剣術〉〈体術〉〈防御力上昇〉の三つで、HP2000のMP300か。わ、私の十倍の体力……。
次に、坂口と岸田がやってきた。
ふむ、坂口が勇者で〈勇者の祝福〉〈剣術〉〈鼓舞〉、岸田が魔法使いで〈火魔法〉〈風魔法〉〈魔力感知〉か。皆三つなんだね。ちなみに男子達の数値に興味は無い。
四人が選ばれると、魔法使いの人は満足げに頷いてから部屋へ案内された。……四人は男子と女子で別れていて、その他の人達は大まかに男子と女子で別れるようだ。
……何だろう、他の人達を見る目がやけに厳しいような……?
ここで立ち止まって考えていても仕方が無い、部屋で対策を練ろう。
「恭子!ちょっと話したいことが……」
「何~?」
「異世界の人達が、クラスの皆を見る視線が変。敵意があるというか、悪意がある?っぽいんだよね。だから、もしもの時のためにレベル上げをすることにした」
「……どうやって~?」
「このウィンドウ、触れるっぽいから能力の詳細を見れないかと」
試しにやってみる。ステータス画面を開き、能力の欄を押してみた。
〈聖女の祝福〉
消費MP 50
対象者の魔力系のステータスを向上させ、魔力系の能力の効果を上げる。
状態異常にかかりにくくなる。
……あ、出来た。
「能力の説明見れた!」
「マジで!?」
続けて他の物も見ていこう。
〈回復魔法〉
発動MP 100
対象者単体のHPを回復させる。レベル1時点では、浅い傷を完治できる程度。
行使時には〈回復〉と唱えること。
〈浄化〉
消費MP 50
対象者を浄化する。汚れなどが取れ、清潔になる。魔物や魔族にはダメージが入る。
行使時には〈浄化〉と唱えること。
〈能力付与〉
発動MP 100~
対象者に能力を付与する。消費するMPは付与する能力によって変わる。付与できる能力のレベルは基本1。術者がその能力を所持していればそのレベルが反映される。
存在しない能力は付与できない。
スキルポイント
レベルが上がると入手できる。それを使用して能力を獲得できる。
うーん……便利だけど、最後の能力付与がちょっと謎スキルだな。本来なら能力は先天性の物以外は地道にその行動を繰り返して獲得するか、スキルポイントで入手するしかないんだろうけど……とりあえずやってみるか。〈剣術〉を私に付与。
《河原日和に〈剣術〉が付与されました》
うぇっ!?
な、何このメッセージ……?
急に頭に無機質な声が響いた。〈剣術〉が付与されたって……ほんとかな?
ステータス
名前 河原日和
年齢 14
職業 聖女
レベル 1
HP 200/200
MP 2500/3000
能力 能力付与Lv.1
聖女の祝福Lv.1
回復魔法Lv.1
浄化Lv.1
剣術Lv.1 New!
スキルポイント 0
あ、ほんとに増えてる。
へー、こりゃ凄いな。でも500もMP使うのか……。余裕があるときにどんどん付与して能力増やそう。〈体術〉と〈防御力上昇〉を付与。
《河原日和に〈体術〉が付与されました》
《河原日和に〈防御力上昇〉が付与されました》
うんうん、付与されてるね。MPは……あ、もう1000になってる!
それと、こんな能力が突然生えてたら変だよね……。よし、〈偽装〉付与!
《河原日和に〈偽装〉が付与されました》
MPは……500?良かった、まだ大丈夫。枯渇すると死にかけるとかよくありがちな奴だから気をつけないと。
早速使ってみよう。偽装するのは〈剣術〉〈体術〉〈防御力上昇〉〈偽装〉の四つ。
あとはー……〈鑑定〉とかある?……聞いても分からないよね。しかも今付与すると下手したら魔力枯渇になるかもしれない。気をつけると宣言したばかりだし、付与はやめておく。
そうそう、鑑定のほかにもほしい能力はある。〈念話〉だ。それさえあれば、離れた場所からも連絡を取れるし、早急に欲しい。
「とりあえず、〈能力付与〉で〈剣術〉〈体術〉〈防御力上昇〉〈偽装〉を取った」
「えっ……それ、自分が好きな能力が使えるってこと~?」
「いや、MPの消費が凄い……四つ取っただけで2800も使った」
「うわ……」
とりあえず、レベル上げをしながら魔力の回復を待つか。
「〈体術〉のレベル上げをしよう。怪我をしたら〈回復魔法〉を使うから大丈夫」
「わかった~。じゃあ、日和から~」
私に躊躇いの文字はない。行くぞ!