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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第4章 絆
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3話 指導

第三者視点の話になりました

 冒険者ギルドにおける決闘及び指導に関する基本的ルール。


 対戦相手は予め明言する。

 1対1、1対多、多対多。全て可能だが、途中追加、不意討ちは禁止している。

 次に、戦闘の範囲指定。

 魔法を使う場合は、外野に影響がでないように結界を張り、指定された範囲内での制限戦闘の場合は、その範囲白線を定める必要がある。

 真剣を使う場合は回復要員が必要になる。


 殺害、後遺症の残る致命傷を与えた場合は、過失者の敗北は当然、ペナルティがつく。

 決着条件は、一方の降参、HPの規定量の減少。もしくは審判がいた場合はその審判の判断が考慮される場合。

 冒険者による1対1(デュエル)の場合は、ゲームのようにギルドカードを介して互いにデュエルを申し込む事で、HPが半分を切った場合に強制的に決着がつくセーフティがある。

 複数人になると、冒険者ギルドにある専用の機械でなければセーフティは設けられない。

 ギルドカードを介しているので、冒険者でない場合はセーフティがない。

 故に、未登録者の決闘は奨められていない。


 今回は、スバル対アランの1対1(デュエル)

 剣、魔法、その他全て自由、戦闘範囲指定無しの、完全無差別試合。

 スバルは勿論、アランも冒険者登録をしていたため、セーフティつきの試合になる。




───────────────────────




「始めぇ!」


 司会を努める、プログレス市のギルドマスター、リュゼの合図に抜刀したアランが肉薄する。

 左の腰から抜いた形のまま、正面に突っ込んでいく。

 刺突がメインの細身の剣を構えて、スバルの左手に左足を強く踏み込む事でまわる。


 スバルはアランが接近しても腰に下げた刀を抜こうとせず、柄に手をかけたまま動こうとしない。

 しかし、スバルが無策という可能性はゼロだと考えたアランは、スバルの抜刀よりも先に先手を取ろうと、刃をスバルの方に向けて後ろに回ろうとする。

 一切動きの無いスバルの様子に若干の不安を覚えながらも、アランは刃を押し出す。


 が、スバルの体に押し込まれる筈だった白い剣は、いつの間にか抜かれていた刀がその進行を阻んでいた。

 剣のぶつかる鋭い音が鍛練場に響く。


 動いていた分のスピードで、アランの剣は弾かれる。

 つんのめるように重心が前に出たアランは、追撃の気配を察してその場にしゃがみこむ。

 刹那、その上空数センチを、完全に抜けた刀が通りすぎていく。


 噂に聞いていた以上に目に追う事のできない刀の動きに、アランは息をのみ、反撃を試みる。

 柄を握る手を捻り、剣を返してスバルの足を薙ごうとするが、踏みつけられる事により叶わない。


 的確に踏まれた剣は一ミリも動かず、風の魔法で小さな竜巻を起こして足を浮かせて引き抜く。

 そして、その隙を見て距離を取る。


 スバルの追撃の、無詠唱で生み出された火の玉を避けて高く跳び、上空を奪う。

 そのまま剣を振り下ろそうとした所に、ゼロ距離からの業火を食らったアランは、鍛練場の外周近くまで吹き飛ばされる。


 空中で身を捻り、足から綺麗に着地したアランは水の魔法を纏わせた剣を大きく振る事で、まとわりついた火を払う。


 この間およそ十秒足らず。

 ギャラリーの新人冒険者などの何人かは、本当に目に追う事のできない次元のものだった。

 当然両者無傷。涼しい顔でアランは剣を構え直す。


「へぇ、以外とやる。ごめんね、一寸嘗めてたよ。流石は大国の王太子の護衛だ。中途半端な人選じゃなかったね。

 お詫びに少しだけ本気を出してあげる」


 大した構えもしていなかったスバルが、足を引いて刀を構え、地面を蹴る。

 アランのそれよりも早く肉薄し、軽く刀を振るう。


 極々単純な一閃ではあっても、刀を持っているのはスバルだ。その速度は侮れない。

 咄嗟に反応したアランは、ギリギリのところで刀身を受け止める。


「冒険者の戦いってものを教えてあげるよ」


 アランの耳元でそういう声がしたと思った時には、鈍い金属音は止んでいて、正面からかかっていた圧力も霧散していた。

 その情報が、アランの脳に理解として到達するよりも先に、視界が白一色に染まる。


 スバルの生み出した光球による目眩ましで、視覚による情報がなくなったアランは、何かを考えるよりも先に地面を転がる。


「騎士でもない連中に決まり腐った型があると思うな!動き1つ1つが予測不可能のオリジナルだと思え!」


 避けた先には容赦の無いスバルの攻撃が待ち構えている。

 瞳以外の知覚能力に、これ以上無い位集中し、僅かな殺気だけで回避行動をとる。


「相手がいつも騎士の綺麗な戦い方をしてくれると思うな!暗殺者なんかは標的(ターゲット)を殺すためにどんな手段だって用いる!守る手だけを考えろ!相手に自分以外を意識させるな!自分の存在を刻み、植えつけろ!」

「冒険者ギルドは暗殺依頼は受け付けてないねぇ!」

「煩い!

 強敵だったら相手の意識していない癖を見つけて利用しろ!例えば足の軸!」


 迫り来る刀に気を取られていたアランの足を、スバルは容赦なく払う。


「体の軸と平行すぎる!足を下ろす場所が丸分かりだ!

 目を瞑るな!瞑るくらいだったらずっと閉じておけ!視覚以外の感知能力を上げろ!

 相手の手札が最初から判っていると思うな!敵が顔見知りなわけないだろう!初めて会う敵に、自分はこういう技を使うと教え合うわけないだろう!観察眼を鍛えろ!」


 普段ののんびりとした雰囲気からは想像がつかないほど、人が変わったスバルは、口調も荒く攻め立てる。

 当然アランは、防戦一方だ。


 その後もスバルは、訓練場の砂や多種多様な魔法で目潰しをしたり、そこにおいてある武器を利用して攻撃の種類を増やしたり、ドラゴンスレイヤー仕込みの体術に切り替えたりと、指導という名目の元アランを扱き続ける。


 目に見えてアランの疲労が表に出てきた時。


「大変だ!白聖女が誘拐された!」


 そう、一報が入った。

次回……多分6/24に更新します

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