21話 到着
ちょっと短めです
スバル視点、第3章最終話です
「もうすぐ到着だね。楽しみだねー」
「黒い!黒騎士が黒い~!」
「物質的な黒さじゃないよぉ!」
「……本当にするの?」
「不敬罪とか、大丈夫か?」
「大丈夫、大丈~夫。……一寸心折るだけだから」
「全然大丈夫な気がしないんだが……」
竜車の中で、僕はニコニコ笑っている。
大丈夫、大丈夫。
……一寸王子くん達をぼこぼこにするだけだから。
あの人達シェイルに迷惑かけすぎでしょ。
最初に神官くん。
ルトの管理とか、グラン地方の解決の辺りとかは、お~とか思ったけど、その後にシェイルが顔出す度に解決策を貰おうとしてる。
甘い。アウト。
後、シェイルが三徹の時に突撃したそうな。
次に会ったのが王子くん。
この人は最悪。
最初っから傲慢王子で、選民意識の高い、権力傘にきてる、ある意味貴族の見本。
最近は改善しているみたいだけど、人の話を聞かず、空気を読まず、強引に話を進めるらしい。
アウト。
ケンゴはしっかり周囲の人の事考えてるし、空気を読む時は読む。
だからあっちは良いの。
ルトはもっと大人だし。
見習え見習え!
……一応一度は道踏み外した奴ではあるんだけどね。
で、王子くんの時に、魔法使いくんと、付き添いの騎士くんにも会ったそうな。
魔法使いくんは王子くん以上に話を聞かないし、破壊、暴走癖持ちの、危険思想者。
騎士くんは物理的な身体危機しか守らないし、貴族としての危機感がない脳筋、もとい堅物。
「うん。やっぱり一番迷惑かけてるのは王子くんだよね~。で、魔法使いくんが同レベルで暴走してて~、神官くんもそれに便乗してるのかぁ。
取り合えず一発ずつはいれておかないとだね」
「アランがいなかったよ~?」
「あれはまぁ、王子くん達のストッパーになってきてるから、ギリギリセーフ」
「あぁ~。じゃあ、決闘形式でやったらぁ?路地裏は流石にぃ……」
「どうせだったらシェイルを賭ければ~?そしたら──」
「……」
「……」
沈黙。
互いに何も喋らない。
因みに僕は今、研究員(女)に刀を突きつけていま~す。
「何でシェイル賭けなきゃいけないの?」
「……ごめんなさい」
「うん。で、何で?」
「そしたら王子さん達、簡単に釣れると思ったからです……」
「まぁ、確実に釣れるわね」
「あ、シェイル起きたぁ」
竜車の中で、移動すること数時間。
プログレス市とミッドストリームは正規の道で行くと一寸離れていて、普通の人が歩くと丸3日かかる。
竜車で走っても半日はかかる。
その道中の半分を消化した頃。
シェイルが一寸寝ちゃったんだ。
寝顔はしっかり鑑賞したよ。
何と言うかさぁ……、凄く綺麗になっちゃったね。
誰にもあげないけど!
違う。違く無いけどそうじゃなくて、今話すべき事はそれとは別なんだ。
「おはよう」
「おはようシェイル。さて、昨日何時に寝たのかな?」
シェイルは真夜中過ぎるまで起きているのが普通の日程で過ごしているからね。
徹夜とかも普通にしているんだけど、どうして自分の体を大事にしないのかな?
「昨日は22時には寝たわ」
「でもその前は五徹だったねぇ」
「ギルマスー!!」
言っても大丈夫、と自信たっぷりに言うシェイルに、ギルマスが追随して言う。
よくも余計な事を、と叫ぶシェイルを捕獲。
「シェイルもよーくお話ししよっか?」
「え、えっとね。今回は稀よ。その、仕事が重なりすぎただけで」
気まずさを感じたのか、目をそらしながらそう言うシェイル。
本当に?とジト目で問う。
「徹夜は、してない日の割合が少なかったわ」
「だろうねー。ねぇシェイル。一寸は自分の体を大事にしよっかー?」
「い、いひゃい。いひゃいわよ、スバル」
頬をぎゅーとしてお説教を開始する。
「仲が良いねぇ」
「あのシェイルを制御するって、凄いね~。黒騎士」
僕と、シェイルと、研究員達とギルマスを乗せた竜車はもう少しで中央都市ミッドストリームに到着する。
僕は、シェイルを誰にもあげないし、シェイル以外の誰のものにもならない。
冒険者間だったら絶対に譲らないで突き通せるけど、立場がある人間に捕まった時はどうすれば良いのかな?
狙いがシェイルであっても、僕であっても、突っぱねれば厄介事がやってくる。
国内で立場が保証されるようにするために動けば、その国に縛られかねない。
自由に旅する事とかもできないと思う。
かといって、世界中にこの事を周知させるのだって無理がある。
僕がシェイルといるためにすべき事は、何だってする。
貴族ともめて犯罪者とかになったりしないように、できる限り譲渡はする。
それでも譲れないものは先に示しておく。
ただ、シェイルといるために、シェイルと離れなきゃいけない時、僕はどうすれば良いんだろう。
次回の投稿は5/13の予定です
次話から第4章 絆 です




