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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第3章 再会
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16話 回想録Ⅰ─帰還─

「やっぱり躓いたようだね」


 結構知ってる声が、あまり機能しなくなった耳に確かに聞こえた……気がする。


「猫耳ギルマス?」

「うん、ここまで危機的状況でそのあだ名を言い続けるのにはいっそ関心するね」

「え、いや、何でここに?」

「白聖女からの贈呈品(プレゼント)だね」

「っシェイルから?」


 久しぶりに聞いたその名に思わず反応する。

 さっきまでセンチメンタルになってたから凄く会いたい。

 名前聞くだけで安心するって、やっぱりシェイル凄いな。


「知り合いなのかね?」

「あ」

「まぁ、今は良いのだね。受け取るのだね」


 そう言って猫耳ギルマスが投げた麻袋を、周囲の魔物を薙ぎ払って片手で掴む。

 中身は……小瓶に入った何かの液体に珠に包帯に後何かよく分からん魔道具みたいなもの。


 使い方が解んないから取り敢えずポーションみたいなものを飲み干しまーす。

 全部で3本。因みに味はない。

 3本目を飲んだら手元の珠が光って肩の痛みが大分和らいだ。

 血に濡れて真っ赤に染まっているであろうマントと服を脱いで包帯を巻いていく。

 正しい巻き方なんて知らないから取り敢えず片一方をくわえて首の方からぐるぐる巻く。

 何か濡れてて傷がピリッと染みるような感じがしたけど、これはあれだ、消毒薬つけたときみたいな感じ。

 魔道具は使い方解んないから後回し。


 さて、大分体が軽くなったし、さっさとこのフロアも抜けますか。


「諦めてないようだね」

「諦める?そんな言葉、とっくの昔に捨てたよ」


 まずすべきなのはこのフロアのトラップの解除。

 解除には、トリガーになった石畳と連動する石畳を破壊する必要があるんだけど、場所は実はもう見当がついてる。


 この階層の魔物は普通のとは違ってかなり知性が高い。

 多分特殊個体が異常進化した結果なんだろうね。

 だからこそ、魔物は人間と同じくらいの知性を持つようになっている。

 つまり、修正も似通ってきているという事になる。

 隠したいものは自分の一番近くに置くっていう。


 刀を構えてー。

 投げる!


 目指すは豪華な椅子。

 そのすぐ下。

 多分、確実にそこが目標のところ。


 暗くて狙いは正確に定まらないけど、投げた刀は真っ直ぐ女王のところに飛んでいく。


 刀を手放した隙をついてよってたかってくる雑兵をヴィクターさん仕込みの体術でかわす。

 シェイルという精神安定剤料を得たお陰か、大分冷静に体を動かすことができる。


 鎌が迫る。


 刀が石畳に到達する。


 紙一重で避ける。


 刀が石畳を破壊する。


 第2撃が迫る。


「“剣召喚”!」


 いや、別に叫ぶ必要はないんだけどね。

 手に、愛刀の感覚が戻る。

 刀を喚び戻せた。

 アンチスキルを解除できた!


 刀を強く握り、鞘から抜いた刃を振るう。

 さぁ、反撃だね。




 何を間違った?

 考えなかった事だ。

 大丈夫だって、何でもどうにかなるって、楽観的で、その場で臨機応変に対応できると思ってた事だ。


 何をするのが正解?

 考える事だ。

 可能性を、危険性を、安全性を。

 予測をしなきゃいけないんだ。


 何が悪手だった?

 安易に進んだ事だ。

 もっと準備をしていくべきだったんだ。


 何が最適行動?

 情報を、データを集めることだ。

 何もかも、知らなきゃ始まらない。


 何が足りなかった?

 覚悟。

 僕は、生きている敵を倒しているんだ。


 何をしておくべきだった?

 慢心せずに自己研鑽をしておくべきだったんだ。

 目に見える数値じゃなくて、日々の積み重ねが剣において最も大事な事なんだから。


 何が、この状況を導いた?

 油断。

 自分の上を行く存在の事を、僕は忘れていた。

 下も上も見ていなかったんだ。


 何が必要だった?

 向き合う事。

 弱さと。強さと。

 敵と。味方と。

 過去と。今と。未来と。

 そして、自分と。


 僕は何を目指している?

 シェイルの隣に立つ事。

 そして、それ以上に、シェイルの隣に帰る事。


 じゃあ、まずは地上に帰らないとだね。




_______________________




「あー、死ぬかと思った」

「普通に70階層まで行って帰ってきたんだね。呆れるのだね」


 いや、70階層まで行くのを依頼したのはそっちじゃん。

 反論したいけどそれも面倒な程疲れてる。


 取り敢えず、猫耳ギルマスの部屋のソファでグテ~としながらお茶を飲み、抗議の視線を向ける。

 このお茶美味しい。


「そういや、結局白聖女とどういう関係なのだね?」

「ぐっ、げほっごほっ!?」


 お茶を味わっていた所に投下された爆弾によって思いっきり噎せる。


「どうなのだね?」

「げほっ、黙秘」

「ど、う、な、の、か、知、り、た、い、ね!」

「も~く~ひ~!」


 ぎゃ~ぎゃ~と騒いでいた僕たちの攻防は、僕の体力が尽きたところでお開きになった。


「さて、素材の方はギルドで買取りさせてもらうのだね。今は査定中なのだね」

「どこに卸すの?あれ結構値が張りそうだけど」

「白聖女が来たときに交渉の中にあったのだね。だから全部星印商会に卸すのだね」


 星印商会は、シェイルが会長をしている商会だ。

 シェイル・ステラだった時は、ヴィクターさんを通して商業ギルドに作ったものを卸してたんだけど、平民になった後は直接卸していて、ランクが上がったのをきっかけに商会として独立したんだって。


 冒険者部門、家庭部門、貴族部門、職業部門(持ち込み依頼型)て、扱ってる商品が多分野に及ぶから万能商会として有名。

 星印紹介の存在は世界水準を数世紀分上げてると思うんだよね。


「白聖女はさっきまで滞在していたらしいけど、会っていかないのかだね?」

「?そりゃ、まだ約束の時じゃないからね」

「……」

「どうしたの?」

「いや……白聖女と同じことを言っていたから呆れたのだね」

「へぇシェイルが」

「まだ、約束の時じゃないものと言っていたのだね。やれやれ、なのだね」




_______________________




「こんな感じかな?」

「「「…………」」」

「何?」

「何だこのバカップル」

「思いっきりのろけられた」

「シェイル最高」

「真顔で言わないで黒騎士ぃ」

「事実だもん。

 ところでさぁ」

「……何?」

「シェイルの信者について詳しく聞きたいなぁ?」

「黒騎士こっわ~」

「数えたくもないわ……」

「あの4人だけでいいから」

「!どういう経緯で信者になったのぉ?」

「ギルマスが食いついた。興味津々だね~」

「話したところで面白くないと思うのだけど」

「はい、いいから話して」

「……はいはい。最初は、神官、ノアだったわね」

次回の投稿は3/18の予定です

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