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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第3章 再会
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11話 回想録Ⅰ─王都ダンジョン─

 新発見。

 戦乙女(ヴァルキリー)はエンカウントしたら、死のみの怪物だったそうです。


「まぁエンカウント率は限りなく低いもの」

「僕としてはシェイルが貴族だったのを知ってるのにこの経歴を知らない事に驚きなんだけど」

「この人達は、自分の興味ない事は覚えようとどころか、知ろうとともしないもの」

「ギルマスも?」

「父様から聞いたなら知ってる筈なのだけど」

「う~ん、自慢話だったからなぁ、半分以上聞き流してたんだよぉ。……あれ?もっととんでもないエピソードが」

「思い出さなくて良いわ」


 慌ててギルマスの思考を止めるシェイル。

 間違いなく天災級のあれだよね。


「あっちはもっと黙っておいた方が良いかな?」

「えぇ、そうした方がいいでしょうね」

「と言うか貴族時代の話がもうタブーか」

「バレたらアウトね」


 平民の僕でさえ囲い込みのお誘いが多いんだよ?

 血筋がはっきりしてる元貴族のシェイルだったら……。

 うわぁ、考えたくない。


「何で接触しなかったのぉ?」


 そりゃ決まってるよね?

 僕とシェイルは、互いに顔を見合わせる。


「「まだ会う時じゃなかったからね(もの)」」

「……似た者同士だねぇ」

「でも互いにニアミスしてたのはわかってたんだよね~?どんな感じだったの?」

「詳しい説明、して欲しいなぁ」

「言う程の事じゃないと思うんだけどなぁ……」


 そうぼやきながら、1年前の事を思い出す。




───────────────────────




── 一年前


「ここが王都のダンジョン都市テュルコワーズかぁ」


 懐かしのサンレイズの街の壁にも勝るとも劣らない高い壁。

 赤茶色のレンガ造りのそれを見上げながら、門の前にできている長蛇の列に並ぶ。


 周りの風景は、荒野と鬱蒼とした森のみ。

 はっきり言ってここまでの道中は過酷。


 それでもここに来る人絶えない。

 理由は、ここが世界でも最大級のダンジョンだから。


 ……何で僕がこんな所にいるんだろうねぇ。

 いや、高難易度のダンジョンで修行できるのは嬉しいよ?

 でも人が多いと目立つしなぁ。

 え?もうとっくに目立ってるって?

 何の事かなぁ?

 僕黒騎士なんて人知らない。


 あ、この度僕、Bランクになりました。

 お陰で、推薦状があればこの王都のダンジョンにも入れるわけ。

 お前もうAランクで良いんじゃねえの?と、僕をBランクにしたギルマスに言われたけど、当然却下。


 最短でAランクになった人でも3年かかってたよ?

 1年ちょいでAランク昇格とか目立ちすぎだから。

 却下だ却下~!!


 そう言ったら何故かダンジョン(ココ)に行かされた。

 何故だ。


 A級指定ダンジョンだから入れないでしょって突っ込んだら推薦状渡された。

 よろしく頼むぞ、とイイ笑顔で言ってくれたから、拒否権は?と聞く事もできなかった。

 はぁ、切り替えて頑張るとするかぁ──あ~あ~。


 隠密全開。にしたら都市に入れないから半分くらい。

 門の向こうに嫌なの見ちゃった。




 王都のダンジョン都市での熱烈な歓迎は割愛。と言うかそんな物無かった。

 良いね?わかった?よし。


 誉められたら普通、人は嬉しくなるでしょ?

 でも違う。

 誉めて、讃えられて、てされたら、何かゾッとした。

 多分、半分は下心からの賛辞だからなんだろうね。


 名前を知って貰いたい。

 顔を覚えて貰いたい。

 自分はスバル側だと示したい。

 そういう風に考えている人に誉められるのは本能的に嫌なのかもね。


 残りの半分は僕のファン。

 彼女達は一応純粋に僕を慕ってきているよ?

 いや、だからこそ、かな。

 僕の心はシェイルの物だし、シェイルの心は僕の物。

 それだけで、完結している。

 そこに何かが混じろうとも変化しない。


 って、違う違う。

 出迎え(そんな物)は無かったんだって。

 さぁギルドだギルド!

 こんにちはー。


 因みに僕はテンプレよろしく絡まれる事はない。

 名前が売れすぎているからね。

 後~、最初に訪れたダンジョン都市で、色々とやらかしちゃったからね……。

 あいつは絡んじゃいけないヤツだって認識されてる。

 新人には必ず絡んじゃいけないやつだって教えられてるらしい。

 始めて聞いたときはマジか……て思ったけど、ダンジョンに行く度に絡まれる事はなくなったから良しとする。


「すみません。ダンジョンのソロの入場許可を下さい」


 序でに避けられる。

 お陰でカウンターの長い列に並ばずに済んだけど……良いの?


「アキヤ・スバル様ですね。申し訳ありませんが、Bランク冒険者のソロでの入場は許可できません。ですが、推薦状をお持ちでしょうか」

「はい、これです」

「お受け取りします。

 グルナのダンジョン街のギルドマスターからの推薦状ですね。では、入場許可証を発行して参ります。

 それと、ギルドマスターから、スバル様がいらした場合は部屋に案内するようとの事でした。こちらへどうぞ」


 はいはい、ここでもかい。

 あ、グルナっていうのは僕が今までいた所。

 で、グルナのギルドマスターは、僕をBランクにした例のギルマス。

 ここでも幾つか指名依頼をこなしていくか。


 案内された奥の部屋に入る。


「君がスバルだね?」

「はい」

「私はここのギルドマスターをしているソラニテだ。以後よろしく頼むのだね」

「はい、よろしくお願いします」

「堅苦しくしなくて良いのだね」

「わかった」


 ソラニテと名乗ったギルドマスターは、猫耳の少女。

 背が相当低くて140㎝位しかないけど、感じる魔力が強いからケットシーなんだろうね。

 妖精の一種だからエルフ並に年齢がわからない種族だ。

 尊大な態度からして年長者なのだろう。

 今回も無理難題を吹っ掛けられそうだ……。


「グルナのギルマスから手紙を預かってきました」

「フォリーから?嫌な予感がするのだね。あいつは脳筋のくせして変に頭が回るから嫌いなのだよね」


 手紙を差し出すと、猫耳ギルマスが嫌そうな顔をして受けとる。

 フォリーはグルナのギルマスの名前。

 僕もあいつは嫌い。

 気付いたらグルナで滞ってた依頼を片っ端から片付けさせられた。

 Bランク昇格試験の手回しもメッチャ早かったし。

次回の投稿は1/21の予定です

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