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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2.5章 幕間
71/99

半年の間Ⅳ

幕間最終話です

この後登場人物紹介も入れます

スバルとシェイルの武術の鍛練の話───────


「う~ん、良い朝だね」


 僕は、ステラ邸の鍛練場で体を伸ばす。

 今は朝の4時前。

 いつもは、5時くらいに起きて鍛練をするんだけど、今日は早く起きちゃったから、鍛練の時間を伸ばすことにしたんだ。


 僕の鍛練のメニューは、ランニング屋敷内10周。

 素振り100回×2。

 腕立て伏せ50回。

 腹筋運動100回。

 型の反復練習。


 それが終わる頃には朝食の時間になるから、軽く汗を拭いて着替える。

 洗濯は水と火の複合の生活魔法で簡単にできるから、遠慮無く鍛練に打ち込めるんだよね。


 さて、増やすのはどれにしよう。

 30分程度でできるのといったら、素振りの追加かなぁ?

 でも模擬戦もどきの練習もしたいしなぁ。

 仮想敵?

 でもイメージ難しいんだよな……。


「あらスバル。今日は早いのね」


 鍛練場を囲む塀の上から声がかかる。

 そこには、2メートルを越える石塀に腰かけるシェイルがいた。

 髪をポニーテールにしていて、半袖に短パンの、動きやすい服装。

 シェイルも鍛練かな。


「シェイル。おはよう」

「おはよう」

「気になってたんだけどさ……シェイルって何時寝てるの?」


 僕は毎日9時に寝てるけど、その時はまだシェイルは起きてるし、僕が起きる5時にはシェイルもう起きてるし。

 僕、シェイルが寝てるの見た事無いよ?


「そうね、私は大程日付が変わる前には寝てるわ」

「はいぃ!?」

「朝は3時半位に起きてるわ」

「睡眠時間三時間ちょっと!?え、一寸待って、どんなスケジュールなの?シェイルって」


 というかそんなに睡眠時間少なくて平気なの!?

 シェイルから聞き出したスケジュールはというと……


3:30 起床

4:00 鍛練

5:30 開発

8:00 朝食

8:30 アルバイト(開発)

12:00 昼食

12:30 アルバイト(店番)+魔術訓練(補助)

16:00 勉強(主に僕の手伝い)

18:00 夕食

19:00 入浴

19:30 開発(創造)

22:00 スキルチェック+魔術訓練

23:00 開発(設計図・案)

24:00 就寝


「シェイル?」

「えっと、はい」

「少しは休みなさい」

「わ、わかってはいるのだけど、色々とアイディアが浮かんできて気付いたら深夜になってるのよ」

「どこかで聞いたことのある言い訳だね」

「昼食の、件の時、ね」


 忘れて、と目をそらしながら言うシェイル。

 シェイルの生活リズムが良くなったらね。

 あ、そう言えば。


「シェイルも鍛練してるんだ。どんな感じ?」

「私は、街を利用したフリーランニングに、特殊空間を創って仮想敵と戦う模擬戦ね。後は時々魔術訓練もするわ」

「今はフリーランニングから帰ってきたところ?」

「えぇ」

「あ、じゃあシェイルの仮想模擬戦見せてくれない?」

「良いわよ。スバルがすぐ見切れる程度のレベルの魔術しか使ってない簡単なものだけど」


 そう言ってシェイルは訓練上の真ん中に立つ。

 僕はシェイルの訓練の邪魔にならないように端に避ける。




 ふぅ、と呼吸を整え、シェイルが魔術を展開し始める。

 シェイルの手元に魔力が集まっていく。

 色は黒っぽい青に、桃色。

 空間属性と心属性だね。

 回路からして亜空間を創るものと幻覚を見せるものだね。

 つまり、疑似空間を用意して、その中で自分に、目の前に敵がいる、と誤認識させる。

 その状態で戦うんだ。


 シェイルのレベルでその魔術を使えば、疑似空間の外に戦闘の影響は出ないし、敵の具体的なイメージ、そして、戦闘による影響を現実に再現できるレベル。

 つまり、戦っている途中で怪我をしたら相手が仮想敵でも普通に怪我をするって事。


 ただ、自分に魔術をかけているって事は、あぁやっぱり。

 一寸だけ耐性スキルをオフにしてるね。

 これで自分に魔術をかけやすくしてるんだ。


「戦技場:対象半径5メートル

     状況(シチュエーション):平地、戦場、戦争

 幻想敵:原型(モデル)1:剣士、数:10名

     原型(モデル)2:魔法使い、数:5名

     原型(モデル)3:弓使い、数:3名」


 魔術が完成すると、続けて別の魔術の展開に入るシェイル。

 魔力の色は朱色。

 芸属性の魔術だね。


 でも何をするんだろう?

 創っているのは……剣?

 あ、弓も創ってる。

 え、てことは幻影に武器持たせるの!?

 本気でやるんだ!?


「魔武器:魔剣」


 魔剣!?

 何でそんなとんでもないもの創ってるの!?


「これ、いつも通りよ」

「自分を大切にしなさい!」

「怪我はしないわよ。……滅多に」

「聞こえたよ!!」

「気を付けるわよ。じゃあ、始めるわ」


 すぅ、と息を吐き、剣を構える。

 シェイルの覇気が闘技場に満ちる。


 シェイルの姿が霞のように掻き消え、僕には見えない敵との戦いが始まる。

 剣を交える度に火花が散る。

 いや、僕の目には剣がフヨフヨ浮いてシェイルと斬り合ってるようにしか見えないんだけどね?


 ん~?

 どうにかして見えないかな。

 あ、僕も見切れる程度ってことは……。

 〈五感強化〉のスキルの“視覚強化”で目の方に魔力を込めて、疑似魔力眼!なんちゃって。

 うん、でも見えるようになった。


 あ、もう二人撃破してる。


 正面から斬りかかってきた剣士の剣を受け止め、斜め後ろから奇襲してきた敵には氷の魔法を使って地面に足を縫い付けている。

 成る程、全身凍らせなくても足さえ封じてれば難なく倒せるもんね。


 正面の敵の剣を払って、懐に潜り込み首に一撃。

 そのまま方向転換をして足止めしている敵を斬る。

 これでさらに二人撃破。


 左右から魔法が飛んでくる。

 火の玉と風の刃。

 シェイルは一歩下がって、若干風の刃の軌道を剣で変えてる。

 えぇ!あんな事もできるの!?

 僕も練習してみようかな。


 シェイルにぶつからずに軌道修正された魔法は、反対側にいる術者にそれぞれぶつかった。

 さらに二人。

 残ってるのは剣士7人に魔法使い3人、弓使い2人だね。


 お、次はシェイルが攻撃に出た。

 シェイルを中心に仮想敵は、剣士、弓使い、魔法使いと円陣を組んでる。

 斬った事によってできた隙間から、一番近くにいる弓使いを斬り結ぶ。


 え!短剣!?

 そんなとこまで凝ってるの!?

 何とシェイルが攻撃した弓使いの隣の魔法使い。

 ローブの袖から短剣を取り出してシェイルに攻撃をした。


 流石のシェイルも驚いた顔をして……え、驚くんだ。

 幻想敵ってシェイルが全部管理してる訳じゃないんだ。

 自分の知らないギミックを持つ敵を攻撃するって、相当実戦に近い鍛練をしてるんだね。


 少し大きく避けたところに、別の魔法使いに援護された、最後の弓使いの攻撃。

 火を纏ってるね。

 そっちを剣で叩き落としていると、短剣の魔法使いが近距離で闇魔法。


 もろに食らっちゃった。

 耐性下げてるから結構効果があるみたい。

 そこに剣士の攻撃。

 えげつない連携の精度だね。


 横に転がって突き出された剣を避け、自身に光属性の状態異常回復の魔術をかける。

 動きが鈍っていたため、頬に掠り傷ができてる。

 そっちの回復はせず、追撃できた弓を払う。

 そのまま剣を返して剣筋を利用した雷の魔術を放つ。


 痺れて動けない魔法使いと弓使いを氷漬けにし、続けて迫ってきた剣士の突きを躱して背後を取る。

 首筋に一撃入れ手剣士もダウン。

 これで残りが8人。


 短剣の魔法使いが毒魔法を使う。

 一点集中の魔法ではあるけど、シェイルが風の魔術を使って拡散させてる。

 自分はその毒に触れないように風を周囲に纏いながら近くにいた魔法使いと剣士3人を撃破。

 これで後、剣士3人に、魔法使い1人。


 最後の魔法使いが剣士の援護に魔法を打ち込んでくる。

 属性は氷。


 あぁ、それは悪手だねぇ。

 シェイルって氷と雷の属性にはビックリする程強くて、相手の魔法を支配下における。

 【氷弾】じゃないね、もう1つ上の【氷結弾】だ。

 【氷弾】がただ氷の礫を跳ばすものなら、【氷結弾】は当たった周辺を凍りつかせる事ができる。

 それも複数、ざっと数十個。


 相当腕の良い魔法使いみたいだね。

 まあシェイルの前じゃ無意味だけど。

 それらが全て周辺の剣士に向かい、最後の1つが魔法使いのもとに跳んでいき、氷像を作り上げた。


 うわぁ~、とんでもない戦闘訓練だった。

 参考にできるものとかもあったけど、あれ毎日やってるの?

 凄い疲れそう。


「……魔剣のレベルをもう少しあげた方が良いかしら?」

「いや何で!?」

「今回の魔剣、斬られると魔力回路を乱すようなものを創ったのよ。でも余り効果がなかったから」

「これ1日に何回やってるの?」

「改善点がちょくちょく出てくるから1日5回はやってるわね」

「一寸は自分の体を大事にしなさ~い!!」

「はーい」




 シェイルの本当の強さを知るまで後5日。




 シェイルと当主さんの警戒していたルトに会うまで、後10時間。

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