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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2.5章 幕間
70/99

半年の間Ⅲ

ギルドで絡まれた話──────────────


「どうしよう……」


 アキヤ・スバル。

 現在、大金を手に持ち、固まっております。


「相当な額になったわね」

「溜まっておったからのぅ」

「そもそもの原因はスバルがお給料を受け取らないことにあるのだけどね」

「漸く受け取りおったらこの金額か」

「本当にどうしよう……」


 この大金。

 僕が今まで断りに断って貯まってきたお給料なんです。

 アルバイトって言っても、ボランティア感覚だから別にお金を払ってもらう必要はないんだよね。

 ずっと無職って言うのもあれだけど。


「そう言えば、父様のギルドで銀行制度を取り入れてたわね」

「となるとそこが一番安全か」

「登録は必要になるけど。まぁ目立たない方法もあるし、大丈夫よね」

「という訳じゃ、スバル。シェイルとギルドに行ってこい」

「いや、どういう訳!?」

「歩きながら話すわ。取り敢えずギルドにいきましょう」

「うん」

「……お主、シェイルの言う事には本当に素直じゃの」


 エディ婆の呆れた声が背中に飛んでくるけど聞こえなかったふり。

 だってシェイルの言う事だし。


「で、シェイル。銀行制度って?」

「この世界に銀行はないわ。だから、お金は自分の家に隠しておくの。だけど、それじゃ危険な事もあるわ。

 そこで数年前から提案されてたのが、異世界人考案の銀行制度。世界中に支部があり、魔物の素材や植物といった物の流通を管理していて、資金も潤沢にあるギルドは大分信頼度が高いわ」

「つまり、ティリエの銀行の業務を、ギルドで行わせるって事?」

「えぇ。ただ、通貨の違いや国家間の情勢の関係もあって、国内でしか預金とおろしはできないわ」

「ほえ~、便利だね」

「ただ、銀行制度を利用できるのは冒険者だけ。つまり、冒険者登録が必要なのよ」

「ギルドって冒険者ギルド以外にもあったよね?錬金術ギルドとか、魔法ギルドとか、商人ギルドとか。そういう所ではやってないの?」

「商人ギルドは除いて、他のギルドはやっぱり冒険者ギルド程収入は多くないのよ。残る商人ギルドも、この街ではまだ銀行制度は取り入れてないわ」

「成る程、シェイルも登録してるの?」

「一応原則として12歳以下は登録できない事になってるの。だから私は仮登録の状態よ」

「本登録してたらランクいくつくらいなのかなぁ?」

「そうね……年齢と経験を考慮するとBランクかしら」

「シェイルでBって。Sランクって本当に凄いんだね」

「そうね。Sランクの人たちの戦闘力は大概おかしいから」


 うわぁ、と思いながら歩いていると、ギルドに到着。

 外出するときは何時も、魔法薬で金髪にしている頭に、頭巾を深く被って、シェイルが先に入る。


「父様から裏で書類を作って貰って目立たずに登録する方法もあるけど、どうする?」

「う~ん、ギルドがどんなのか見てみたいし、通常ので良いよ」

「わかったわ。一応父様に話をつけてくるから、一寸待ってて」

「うん、いってらっしゃい」


 たたた、と受付の端の方に行くシェイル。

 ギルドの受付嬢の人と話して、奥に行く。

 結構スムーズだったから、知り合いなのかな?


 さて、待っている間にギルドがどんな所なのか見とこうかな。

 ネット小説とかで定番なスポットだけど。

 イメージだと、クエストボードとか、酒場が隣接してるとか。


「何だ兄ちゃん。おのぼりさんかっての」


 ……こういうテンプレとか?


 ぐるりと見回していると、正面に受け付けカウンター。

 右手にはクエストボード。

 その隣には、テントとか、火を起こす魔道具とかっていった物が売られてる店がある。

 

 エディ婆の店の品を見てるから……一寸見劣りする物があるなぁ。

 やっぱエディ婆は凄腕だね。


 左手には定石通り酒場が。

 そしてそっちの方から絡んでくる、テンプレ冒険者。


 確かに物珍しげにギルドを見渡す見た事無い顔のおのぼりさんみたいな感じだけどね、僕。

 やっぱり威厳とか無いのかなぁ?


「おい無視すんなっての!!」

「あぁ、ごめんね」

「チッ!で、何だよ。まさかその体で冒険者になろうってんじゃねぇよな?坊っちゃん」

「ぼっ、坊っちゃん……。え、若く見られてるから良いのかな?え、15歳って子供?ねぇ」

「温室育ちの餓鬼(ガキ)に見えるってことだよ!!」

「うわぁ。……でも冒険者にはなるつもりだよ」


 結構傷付く。

 でもティリエの日本育ちは立派に温室かなぁ?


「止めとけ止めとけ。お前にゃ向いてねぇよ」

「ちなみに何で?」

「そりゃお前ぇ。チビだし、ガキだし、青二才だし、弱っちいし、貧弱だし、覇気ねぇし」

「ふーん。じゃあさぁ、誰が向いてるの?」

「っ!?」


 ニイッと笑って反撃に出る。

 馬鹿にされたんだったら、一寸目立っても良いよね?

 絡まれた時点である程度注目集めちゃってるんだから。


「チビ?じゃあ背高ノッポが向いてるの?小さい体をいかして索敵するような人だっているんじゃない?

 ガキ?じゃあ老人にでもなれば良いの?それだって危険でダメじゃん。

 青二才?だったら何時熟練した大人になるのかな?武道に終わりなんて無いんだよ?適年期は何時なの?

 弱っちい?僕だれとも戦ってないけど、ここにいる人の大半に負ける気しないけど?

 貧弱?ガッチリな体型の人だったら誰でも冒険者になれるの?細い体つきの人だってやれる仕事はあると思うけど?

 覇気がない?威厳が無さそうなのは認めるけどさ……

 そんなの無くても君達圧倒できると思うなぁ」

「この糞餓鬼(ガキ)!!」

「ストップ!スバルも挑発するのを止めなさい」


 一触即発の雰囲気に介入してきたシェイル。

 頭が痛い、という風に額に手を当てている。

 まぁそりゃ一寸離れた隙にこんな険悪な雰囲気が形成されてたらそうなるね。

 ごめんね。

 そんなシェイルも可愛いけど。


「まずスバル。何で挑発をしに行くの」

「ごめん、一寸キレちゃって」

「一寸キレちゃって、じゃないわよ。物凄く目立ってるわよ」

「うわっ」


 よく見ると酒場や受け付けにいる冒険者たちが、皆こっちの方見てる。

 一寸どころじゃなく目立っちゃった。


「そしてレンテ。スバルの姿形から心配して絡みにいったのは想像できるけど、言い方!何時も言ってるでしょう?」

「ス、スマン」

「え?あれ心配してたの?」

「あんだと!?」

「はい、止めなさい!

 それにね、レント、細身であれば冒険者に向いてないのだったら、私や他の女性冒険者もここにいないでしょ」

「う……悪かった」

「ん、こっちもゴメンね」


 解決した。

 シェイル最強説。

 冒険者ギルドにも顔が利くってのは凄いね。


「さて、じゃあ登録の手続きをしに行きましょうか」

「うん」

「申請の時に必要なのは……」

「…………」

「……」




 実際はシェイルの本当の実力はSランクオーバーで、冒険者登録をしておいたお陰で町を簡単に出入りできる事に感謝するまで後半年程度。

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