6話 謝罪
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『………』
驚きすぎて反応が難しいと感じるスバル。
『転生はわかりますよね』
頷くスバル。
『ネット小説やオンラインゲームにはまっていたからね』
『なら大体伝わりますね。私の大馬鹿の兄様がしでかした事の収拾をするため、オーバーワークをしていました』
『大馬鹿て……』
光希は嫌いだが、さすがにそれはないんじゃ……とスバルは考えてしまう。
『大馬鹿でいいのです。そして、貴方に謝罪するために電車でお宅に向かう途中の駅で、オーバーワークがたたり、ホームから転落。折り悪く電車が到着。大和美和の身体は轢死体となったのです』
『う~ん。淡々と話されたからシリアスな雰囲気がでない……』
『一言目がそれですか』
『いや、僕としても変な感想だと思うよ。ネット小説とかだとありふれてそうな感じがするね。……
まぁそれはおいといて、そのときに死んでしまったけれど、転生してシェイル・ステラになったと』
本当にラノベみたいなことがあったんだな、と呑気に考えてしまう。
『そうです。ここであえて本当によかったです。前世でやり残した謝罪ができますから』
『できます……。過去形じゃない?』
シェイルの言葉で気になるところを聞き返すスバル。
『えぇ。謝罪とは許しを乞うことですから』
当然の事のように言うシェイル。
これからも謝り続けると言っているのだ。
『う~ん。あ~、もうこの世界であの論文はもう関係ないと思ってるし。うん、もう謝らなくていいよ』
『そこまで簡単に許されても気がすみません。私は、自分が一生懸命調べた内容が、他者に間違った解釈を加えた上で発表された際は暫く怒りが収まりませんでした。貴方はそんなことがないと言えるのですか?』
本当に簡単に許していいのですか、と聞くシェイル。
『……そうか。確か君は、科学系の学会で期待の新星だったね』
『今はもうボロボロになってしまった家族のために頑張った結果、そうなっただけなんですけどね……』
少しだけ懐かしそうに表情を崩すシェイル。
しかしすぐ切り替えてスバルと向かい合う。
『貴方は兄様に対して、少しの恨みくらいは持ってるはずです』
『光希にはあったよ。とてつもない恨みがね。でもそれは君には関係ない』
『本当にそうですか?』
『?』
『兄様が自分の周囲を虚偽で固めるようになってしまった原因のほとんどが私にあるとしてもですか?』
貴方に対してあの様なことをするような性格を作ってしまった原因は私にある。
シェイルはスバルの目をまっすぐ見てそう言った。
『そうだよ』
スバルはそれに対してなんのためらいもなく言った。
驚いた顔をするシェイルに言い聞かせるように言うスバル。
『これは、僕と光希との二人だけの問題だからね。どんな形であっても君は関係ない。光希が僕に敵意を向けて、光希が僕を攻撃した。その関係に君は一切か変わっていないだろう?』
『確かに関わってはいませんが……』
だからシェイルはなんにも悪くない。
そう否定されても尚、飲み込めない、という顔をするシェイルに、スバルはそうだ、と手をポンっと打った。
『シェイル。君に罰を与えれば納得する?』
シェイルは少し考え、頷く。
『そうなんかもしれません』
『だったらすごくいい解決案があるよ。最初に会ったときと同じように話してくれない?シェイルとして見ず知らずの僕に話しかけてくれた時と同じように。欲を言えば、素をさらけ出してほしいのかな』
本音を言い合えるような、そんな存在に僕はなりたいな。
復讐とか、恨みとか、そういう風なものはもう関係ない。
シェイルにただ、ありのままでいてほしい。
それが偽りの無いスバルの本心だった。




