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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2.5章 幕間
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半年の間Ⅰ

幕間第一弾です

スキル〈言語習得〉獲得の話──────────


 僕は頑張った。

 たぶん今生最大に。

 受験の時よりも頑張った。


「スキル〈言語習得〉ゲット~!!」


 そのまま万歳する。


 シェイルに異世界語を習い始めて約四ヶ月。

 絵本を読み、童話を読み、本を読み、専門書を読み、果てには辞書を読み、〈世界の図書館〉の“文書記録”に保存していく。

 単語と、文と、あらゆる知識が、僕の頭(の中にあるかわからない〈世界の図書館〉)に詰め込まれた。


 結果、スキル習得に至ったのだ。


 じゃあ、スキルの確認に移ろうかな~。

 生活スキル〈言語習得〉の機能は“言語理解”と“言語定着”ね。

 “言語理解”ってのは、今までの機能、同時通訳や文字読解能力が統合された機能みたいだね。

 で、“言語定着”が新しい機能か。


 ん~と、“言語定着”は文字通りの機能だね。

 スキルとかを管理しているらしい所に、大事典があるような感じで、すっと理解できて、僕の知らない知識も自然に補ってくれてるみたい。

 記憶の奥の方にあったものを無理に引っ張り出したって感じでもなく、一気に定着させたって感じでもなく、拒否せずに理解できる不思議な感じ。


 あ、“言語定着”理解できる言葉の一覧なんてある。


▽リペイズドラン公用語

▽リペイズドラン準公用語

▽リペイズドランラート地方語

▽リペストリ公用語

▽リペストリ準公用語


 うわ、種類が凄い。

 ご丁寧にあいうえお順だ。

 公用語、準公用語はそのままの意味だろうね。

 地方語ってのは方言みたいなものなのかな?

 この世界はやっぱり国ごとに言葉少しずつ違うみたいだね。


 ただ、理解できるのはこの中から1つだけみたい。

 で、違う国に行ったりしたら、理解できる言語の選択を変えないといけないみたい。

 バイリンガルにはなれないね。

 でも、スキルの熟練度を上げれば、1度に理解できる言語は増えるんだろうね。

 日常的に使えば熟練度はどんどん溜まるし、頑張ろー!




 生活スキルのこういうタイプは、ためる熟練度が異常なまでに多く〈言語習得〉では理解できない言語がまだまだあるのを知るのはその四ヶ月後。




当主さんとの合同訓練の話───────────


「行くぞ」

「……はい?」


 当主さんに不機嫌顔でいきなりそう言われたのは、夏の日差しがまだ暑い頃。


 シェイルのいるステラ邸にお世話になり、いろんな神話を読みふけるようになったある日、当主さんが僕の部屋に来て突然そう言った。


 この世界の神話は1つだけで、その神様は確かに実在する。

 創成期って言う、この世界の始まりは相当昔の事だけど、記録が残っている。

 恐らく、神本人の手で記されたそれは、当然実話となり、膨大な量になる。


 子供にも読みやすいような物だと、簡単に一冊にまとめてあるけれど、中級者向けになると、途端に5冊では収まらない量になり、専門家向けになれば、10冊を越える。

 原典はどれ程の量なのかなぁ。


 まぁ、この世界の常識的な神話を知れるし、このステラ邸にある神話集に埋もれながら読みふけっていたんだけど……。


「えっと……どこにですか?」

「ここの訓練場だ」

「……?」


 用件がわからない。


「良いから来い」

「はぁ」


 何か今は当主さんに逆らわない方が良い気がする。

 最近体動かしてないし、体鈍ってきたような気がしたから文句は無いし。


 ……後当主さんの不機嫌レベルが凄い。




 という訳で来ました、訓練場。

 そこには門兵君をはじめとする、ステラ邸の騎士の人達が沢山いる。


「これがお前の剣だ」

「あ、はい。有難うございます」


 何回かその場で振ってみる。

 刃を潰した真剣だから、当然重い。

 でも、振れない事は無いな。


 ……現実逃避はここまでかなー。

 訓練場に入った時から、敵意が滅茶苦茶飛んできてるんだよね。

 ()()()()()連れてきた、()()()()()、だからねー。

 嫌われて当然か……。

 ここの人達って、侍女だろうが、執事だろうが、騎士だろうが、皆シェイル大好きみたいだからね。


「戦え」


 ルール説明も無しですかい。

 まぁ、中央の、白線のなかに騎士が一人いて、その周辺に他の人が待機してるから、勝ったら入れ替わって次々倒していかないといけないやつだろうね。


 僕は剣道習ってたからまぁ、ある程度はできると思うよ?

 普通の異世界人まず無理だからね?

 背の高い人に囲まれて威圧されながら馴れない剣で戦わなきゃいけないとか。


 じゃあ、異世界の剣道が、ここの、騎士レベルにはどこまで通用するか、試してみよっか。




 結果、圧勝。

 僕の剣道は、エディ婆と会った時に絡んできた冒険者風の男達だけじゃなく、騎士にも通用するみたい。

 でも、鍛練は気を抜いちゃダメだね。

 門兵君をはじめとする何人かは結構食いついてきたからね。


 にしても、門兵君は凄いね。

 他の騎士達と違って、絡め手、意識外からの攻撃、不意打ち、フェイント、得物は複数といった感じに、騎士道からは外れているけれど、勝てるような布石を打っていく。

 何というか、冒険者っぽい?戦い方だった。


「では次は私だ」


 はいはい、次は当主さんですね。

 ちょっとくらい休憩入れても良いんじゃないかって思うんですけど?

 何でそんな不機嫌なのさ。

 そう考えていると周りからヒソヒソ声が。


「当主様、ご機嫌斜めだな」

「シェイル様にお叱りを受けたんだと」

「ついでにスバル様に無理難題押し付けようとしたら、奥様にも釘を刺されたんだと」

「納得」


 うん、僕も納得。

 僕に絡みたいのにシェイルや奥さんが庇って絡めないから。

 でもって、シェイルに怒られるし、シェイルが僕を庇うのも納得できない!って感じかな。


 それの不満を僕が一手に引き受けなきゃいけないの?

 はぁ、まあ良いや。


 だって当主さん、凄く強そうだもん。

 戦闘、という事においては僕はまだからっきしだ。

 でも、解る。


 呼吸、足捌き、姿勢、視線、何より空気。

 こう言っては申し訳ないけど、騎士の人達とは比べ物にならないほど違う。


 そして、そんな人と剣を交わらす事が出来るのが、たまらなく嬉しい。

 全力で戦える。

 それがとてつもなく楽しみなんだ。

 剣道は、力を誇示するものではない。

 でも、強者と戦うものではあると思うんだ。








「あらシェイル。止めにいかないの?」

「母様。そのつもりだったんですけど……」


 そう言いながら、中庭の訓練場を見る。


「スバルが楽しそうなので見なかった事にしておきます」


 スバルの楽しそうな顔を見て、今日は良いか、と考えるシェイル。

 優しげに微笑んでしまう理由にシェイルが思い当たるのは、八ヶ月後。




「もちろん明日はキリキリ働いていただきます」

「あらあら、明日はヴィクターを慰める用意をしてをした方が良さそうね」

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