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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2章 はじまり
64/99

52話 罰

スバル視点です

ちょい長めです

 シェイルに頑張って告白してみました!

 OKでした!

 嬉しいです!

 いやっほい!


 はぁ、取り敢えず落ち着こう。

 今、シェイルは眠っている間にあったことの把握のために動いている。

 2ヶ月も寝ていたからね、移住の話とか、色々と凍結されている物があるらしいんだ。


 自分の部屋で、自分の身長よりも高い書類の山を片付けているのを見ていると、助けてあげたい気持ちになるんだけど、こればっかりは他の人がやっても意味ないんだよね。


 で、その合間合間に日常の、特筆するような事ではない事を話してたんだ。

 エディ婆が時々訪れてた事とか、コント集団の人たちとか……って、あ!!


「ケンゴ!後、領主さん!」

「?どうしたの?」

「ケンゴに領主さんの処遇を、願いされてたんだ!」

「あぁ、それも考えないといけないわね。ところで……」


 ちらり、と隣室に目を向けるシェイル。


「あれの処遇はどうすればいいのかしら?」


 あれ。

 実は、さっきから隣の部屋に妖精の守人の構成員がいるんだ。

 もちろん全員じゃないよ。

 副長(デュプリケート)の10人だけ。

 いつも通り、コント集団さん達が来てるだけ。


「気にしなくていいよ」

「……さらに煩くなったんだけど……」

「ちっ。ちょっと静かにさせてくる」

「えっと、いってらっしゃい」


 侍女さん、お願い。

 廊下で待機している侍女さんに、目でそう合図する。

 僕の意を組んだ侍女さんが頷いて、隣の部屋に入っていく。

 数秒後、全員の小さな悲鳴が聞こえ、静かになった。

 侍女さん、グッジョブ。


「で、領主さんの事なんだけど……僕としてはシェイルにお任せで良いかなって考えてるんだ。何と言うか、もう怒りとか無くなっちゃったんだよね。……シェイルの方が酷い罰考えられそうだし」

「最後のは聞かなかった事にするわ。……ちょっと待ってて」


 シェイルは少し考え込んで、虚空に視線を向け、何かを言っていた。

 聞き取れない言語だった。


 〈言語習得〉の段階では聞き取れない類いの言語なんだって。


「スバル、今度ケンゴに会ったら、マール公に会えるように手配するよう伝えといてくれないかしら……あ」

「うん、ん?」


 シェイルが何かに気づいたような声をあげる。


「ん?そんな必要ねぇぞ?」

「うわっ!?」


 後ろからひょいっと声をかけられて、肩が跳ねる。


「この神出鬼没!何で僕の〈察知〉潜り抜けてこれるの!?毎度毎度!」

「あ~、これは生まれつきの体質。何か凄いことがあっても、それやったの誰だっけってなるような感じの人間なんだ。目の前にいても意識が外れやすいんだぜ」

「厄介な……」


 僕が苦虫を噛み潰したような顔をしていると、それをスルーしてケンゴが話を進める。


「それで、ステラ嬢ちゃん。あ、まず復活おめでと」

「ありがとう、復活とは言えないけれどね」

「んじゃお大事に。で、ルトに伝える事ってなんだ?なんなら今から呼ぶか?」

「そっちの方が良いわね」

「というわけでおーい」


 何か宙に呼び掛けてる。

 って、わっ。


「ケンゴ……私にこういう事をさせないでください」


 領主さんがいきなり現れた。

 転移妨害はシェイルの魔術で施してるし、領主さんの体がちょっと光ってたから、妖精の力かな。

 どのみち迷惑なんだけど。


「君達、一応不法侵入だよ?」


 じと目で2人を見る。

 領主さんはすまなそうな顔をしてるけど、ケンゴはどこ吹く風。


「まぁまぁ、えっと、じゃあ罰の話ね。まず、1つ。妖精の守人を解散させる事。階級(クラス)をなくして、一市民に戻して。2つ今後3年、周囲への牽制のためにも貴方には牢に入ってもらうわ」

「ちなみに3年の理由をお聞きしても?」

「その前に1つ質問。貴方の母は光の高位精霊で、名をソレイル。あっているかしら?」

「はい」

「ロジェ」


 シェイルが誰かの名前らしきものを言う。

 すると、光がぽつりぽつりと現れ、凝縮して人の形をとった。


「な……どう、して」

「私が契約している精霊に聞いて探してもらったのよ。人間に傾倒し、役目を破棄しかけていた精霊はいないかって。合っていたみたいね」


 シェイルがちょっと楽しげに笑う。


「彼女は、貴方の母親ね」


 わぁお、凄い。


 ケンゴに聞いた(聞き出した)所、領主さんがゲームなんてバカな事しでかしたのは、寂しかったんじゃないかって言ってたんだよね。

 多分、その寂しさの原因はこのお母さんが行方不明になっていた事なんだろうね。

 領主さん嬉しそう。


「今まで、何処に居られたのですか?」

「それは……、……」

「ロジェ、言っちゃって」

「はーい」


 また、新しい登場人物が。

 気配からして精霊なんだろうね。

 雰囲気が領主さんママと似てるから、光精霊なんだろうな。

 シェイルの事だから、領主さんママよりも高位の精霊と契約してそう。


「ソレイルは精霊国の西の国境に近いとこにいたよ~。それでねぇ~」

「あ~、あ、あ主様、私が言いますので」

「ソレイルさんは貴方の父の生まれ変わりを探していたのよ」

「!」


 領主さんが驚いている!

 ……その隣で領主さんママが言われちゃった、的な感じで落ち込んでる。

 あんまし言いたくなさそうにしてたしね。

 サプライズにしたかったとか。


「一応人の血が混じっているから一人ぼっちが相当堪えてたんだと思いますよ、ソレイルさん」

「転生者ってそう簡単に見つかるもんなのか?」

「というか、エディ婆から聞いた話じゃ人間は人間にしか転生できないんじゃなかったっけ?寿命が短かったら意味無いんじゃないの?」

「そうなのか?」

「そうらしいよ」


 シェイルが寝てる間に、エディ婆にシェイルについて色々聞いてたんだけど、魂の設定が書き換えられて神様になった、ていう感じの事を聞いたんだよね。


「まず、転生者を見つける事は簡単ではないわ。その証拠に、400年も時間が経っているでしょう。

 そして、意味がないんじゃないか、という疑問について。魂の書き換えは、イコールで魂の変質ととれるわ」


 んん?

 何かややこしくなってきた。

 魂の変質?


「魂の変質?何じゃそりゃ」

「簡単に言えば、人間の魂が、一定量の大きな力に触れている事で、別の種類の魂になるという事よ」

「!つまり!」

「あら、気付いた?貴方の父の場合、光の、高位精霊という圧倒的な力の側にいて、その力と繋がっていたから、魂自体が変質して……無事精霊に至ったわ」


 凄いわよね、とパチパチ拍手をするシェイル。


 えーと、つまり?

 大きな力の側にある事で変質、熱い火の近くに鉄の塊をおいたら、熔けるように、変化する、と。


 で、領主さんパパの場合だと、領主さんママという大きな力の側にいたため、魂が、人間の物から、精霊の物になったと!

 成程!

 確かに問題なしだ。


「じゃあ、ここで、どうして牢に入るのが3年なのかという説明をしていくわね。まず、貴方の領主としての能力は他の領地より突出して優れているわ。長くここを空けてはほしくない。

 そして、もう1つのが、最大の理由。貴方の父は、人間から突然変異して、精霊になったのだから、力がまだ安定していないの。完全に安定するのは後2、3年後かしら」

「ん?領主さんパパの力が安定しても領主さん会えない期間ができるんじゃないの?」

「ええ、できるわよ」


 さらりと言った。


「つまり?これも罰に含まれてんのか?」

「ふふ、勿論」

「ひでぇ」

「そうかしら?彼が妖精族であることを含めたら良心的だと思うのだけど」

「妥当ですから平気です」

「本人が納得してるし、最後の罰に移りましょうか。

 牢に入っている間、全精霊との交信を禁ずるわ」

「!」

「おいっ」

「シェイル!?」


 全精霊との交信を禁ずる。

 つまり、領主さんパパの力が安定しても分かんないし、せっかく会えた領主さんママともあまり話せないってことだよね。


 シェイルが薄く笑う。


「これが一番罰らしいんじゃないかしら?それに付属させていくわね。牢から出た後は領主としての責務を全うする事。今後の妖精の守人の構成員への自らの接触を禁止。大体こんなものかしら」


 どう?とニコリと笑うシェイルが初めて怖いと思ったよ。

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