51話 約束
前話との文字数の差がひどいです……
生きていて欲しい。
その言葉が、胸に染み渡る。
「当主さんや、エディ婆から、シェイルが侍女さんを蘇生させた後や、冒険者を救えなかった時に、自責の念に押し潰されかけてるって聞いたんだ」
「……」
「ねぇシェイル。シェイルは悪い方向に囚われすぎなんじゃない?」
悪い方?
首をかしげてしまう。
「侍女さんは言ってたよ。二度も助けてくれて嬉しいって。侍女さんは恐怖とかじゃなくて、心から仕えてくれてるんだよ」
「……」
「戦乙女や人造悪魔との戦闘の時の生き残りの冒険者達はこう言ってたそうだよ。シェイルがいなかったら、自分達は死んでいた。命の危険は冒険者には付き物だって」
「……ぁ」
「店主さん達は、自滅しにいったも同然の自分達が、また前までと同じように過ごせるのが奇跡みたいだって、喜んでいたよ」
「っ……ぁ」
「当主さんも奥さんも、侍女さんも門兵君も、エディ婆も、店主さん達も他の皆も。もちろん僕も、シェイルが目を覚ますのを待ってたんだよ」
「っ……」
涙が、次から次へとこぼれ落ちてくる。
忘れていた。
4歳の時、力を暴走させた後、私とセクルはしっかり話し合った。
ごめんなさいって、壊れた機械のように言っていたわ。
セクルは許してくれた。
主従であり、友人だ、と言ってくれたわ。
戦乙女と戦った時、あそこにいた人員は全滅していたかもしれない。
でも、大半が生き残れたのは私のお陰だ、ありがとうって言われたわ。
人造悪魔と戦った時、その場にいたものは全滅し、あちこちに被害が出ていたかもしれなかった。
討伐ができてよかったと、死んだ奴等も思ってる。
安心して成仏させてやれって言われたわ。
盗賊団を壊滅させた時、間に合わなくて救えなかった父を持つ子供達に、助けてくれてありがとうと言われたわ。
盗賊団の頭に、最後に、殺してくれてありがとうな、と言われたわ。
奴隷達が、ダンジョンで盾役として使われていた時、生き残りの人達に、守ってくれてありがとうと言われたわ。
全員、私を攻める事ができるのに、皆、そうじゃなくて感謝していた。
確かに、私は悪い方しか見ていなかったのかもしれないわね。
ずっと泣き続ける私に、スバルは困ったような顔をして、肩を貸してくれた。
暖かい。
ふっと体の力が抜けた気がしたわ。
10分ほどそうしてたかしら。
漸く情緒が安定した私は、スバルに謝り倒していたわ。
服を濡らしてしまったんだもの。
火と風の魔術で、急いで乾かしたわ。
「大分元のシェイルに戻ってきたね。じゃ、改めて、おはよう」
スバルがにっこり笑って言う。
私もそれに笑って答える。
「おはよう」
2人で笑い合う。
「じゃあ、そろそろ話したい事話そうかな」
話したいこと?
「僕の今後の事。僕ね、冒険者になって、修行の旅しに各地のダンジョン巡りをしようと思うんだ」
「どうしたの、急に」
「強くなりたいんだ」
スバルの目には、強い意思が光っていた。
「そう。……スバルは十分強いと思うけれどね」
「もっと強くなりたいんだ。……だからさ……できれば、待っていて欲しいんだ」
スバルには、綺麗な私を見ていて欲しかった。
幻滅されたくなかったわ。
ありのままの私を見せるのが怖かったの。
でも、スバルは全部受け入れてくれる。
それが、とても嬉しい。
「喜んで待っているわ」
言葉に出して伝えようと、声を出さなくても良い。
伝えなくても伝わる。
私も貴方と同じ気持ちです、と。
繋いだ手が、離しがたい温もりを持っていたわ。
はい、ハイスピードでくっつきました




