42話 事件-剣戟-
ケンゴ視点です
スバルと戦うのは楽しかった。
だっていうのにトウヤの奴は!
思いっきり水をぶっかけられた気分だぜ。
まぁ、取り敢えず不問にしてやろう。
ステラ嬢ちゃんが来たからな。
失った血もある程度戻る、上級HP回復薬。
まさか使う日が来るとは思わなかったな。
とんでもなく高ェもんこれ。
ま、その分効果は高かったから良し!
スバルので消化不良だからな、とことん暴れたい気分だ。
10歳の女子にそれはないって?
大丈夫だ、相手はステラ嬢ちゃんだからな。
こちらが闘気を出し、向こうもそれに殺気で応じる。
さあ!殺りあおうぜ!
最初から手加減無しの全力で行く。
ステラ嬢ちゃんに射られた時に落とした属性魔剣は既に回収してある。
氷よりはあっちの方が有効かな。
石畳の上を走り、愛用の剣を〈空間収納〉から取りだし、左斜めから剣を振り下ろす。
キーンと金属同士がぶつかり合うような音がする。
硬ェ~。
両手がしびれそう!
いつの間にか現れていた氷の盾に剣は阻まれている。
そのまま横、縦と斬りつけるも、全て弾かれている。
まずはこの防御を突破しなきゃだな。
え~と、ステラ嬢ちゃんの得意属性は氷と雷だったよな。
同じ属性でなんて勝てっこねぇから逆属性で対応すっか。
ここで用意するのは火、芸、雷、毒の魔法。
まず、〈魔法剣〉の“属性付与”で火属性をのっけて燃える剣。
オレが〈剣創造〉で創ったのだから、熔けたりもしねぇ優れもの。
火を打ち消すのに飛んできた氷塊を全部斬って落とす。
え、その倍がキタ。
ゲ、ヤベ。
慌てて剣を振り回す。
叩き落とすのは最小限で良い。
氷と氷の隙間を縫って接近し、そのまま斬りかかる。
迎撃の雷!
だがそれも想定済み。
芸魔法である金属の棒を造る。
何でかって?
まぁ、取り敢えず見といてくれ。
先端を尖らせたそれを横の方に伸ばす。
すると、まっすぐこちらに向かっていた雷が若干揺れる。
金属の棒は金属の棒でも、造ったのは雷を集める避雷針。
しかもこの金属、雷を集めやすい。
いくら魔術の雷だからといって、雷の特性は変わんねぇからな。
勿論それだけじゃあ魔術は曲がらない。
雷魔法を使って磁気を乱す。
ステラ嬢ちゃんの制御から外れ始めた雷を吸い寄せるような形で。
雷が避雷針にぶつかる寸前、パッと棒を手放して、剣を両手で持ち、剣に付与するのは毒中級属性、呪。
そのまま上から斬りつける!
オレの狙いに気付いたのか、ステラ嬢ちゃんが氷の盾を創り、応戦する。
でも即席だろ!
呪属性の特性と、即席の盾が耐えきれないスピードと力で叩き割り、速度を保たせたまま斬りつける。
「な!」
盾を叩き割った事に驚くステラ嬢ちゃん。
だが、原因をすぐ察したようで、即座に盾の残骸を捨て、両腕をクロスさせる。
そこを斬る!
って、嘘だろ!?
剣で斬れない肉体ってあんのかよ。
まぁ、目の前にあるんだがな。
結界、滅茶苦茶分厚いなオイ。
淡い光に包まれたステラ嬢ちゃんの腕と交差している剣は、その肌すら傷つけれていない。
ただまぁ、盾は突破できる。
いける!
オレの狙いは呪属性をフル活用すること。
呪は、毒の中級属性である事から察せられる通り、毒の上位属性だ。
で、この属性、生物・無生物に関わらず、状態異常を誘発させる。
生物では、ステータスの低下。
剣や武具だと、耐久値の低下。
結界に関しては、防御力の低下。
といった感じだ。
もう一度!と思ったがそうは問屋が卸さなかったな。
ステラ嬢ちゃんが雷を纏わせた氷の剣を創って防いでいる。
スゲェ耐久値。
氷がギチギチに凝縮されてるし、雷で呪が大分弾かれている。
雷そんな事も出来んのかよ!
あ~、じゃあ〈斬撃強化〉〈剣速倍加〉〈魔闘法〉に〈剣の鬼才〉フル!
高速で斬り合う。
常人だったら目にも止まらぬ剣戟だろうな。
で、気になんのは、ステラ嬢ちゃん持ってるのって〈剣の天才〉だよな?
何で斬り合えんの?
先読みでも出来んのか?
出来そうだなー。
「出来るわ」
「マジかー」
つくづく規格外の嬢ちゃんだな。
まぁでも、対人戦はオレの方が経験多いぜ。
そのまま無心に剣を動かし続ける。
武器の性能。
魔術によるアドバンテージ。
スキルのレベル。
常人には取得不可の力。
経験の差。
思考能力の高さ。
互いに能力の総合が均衡している。
そして訪れる変化。
アナウンスは入らない。
それでも自然と解る変化。
〈魔法剣〉の“属性付与”で毒上級属性、呪怨がのせられるようになった。
当然呪属性の時より能力は上がる。
すぐ様呪怨属に切り替える。
そして確実に武器を破壊しに行く!
「らぁぁぁああ!」
一瞬鍔迫り合い、薄い水色の刃にヒビが広がる。
そして、パキン、と音を立ててオレとステラ嬢ちゃんの間にある氷が割れる。
割れた氷が綺麗に舞った。




