41話 事件-神力-
シェイル視点です
光が収まっていく。
背中の羽根の感覚は随分と久しぶりね。
神力解放というのは、神化する、という事なのよ。
羽根と、自由に扱える神力を持った、神本来の姿に戻るの。
私はまだ生まれたばかりだから、神としての能力はかなり低いわ。
できる事といったら、深層心理まで読む事と、システムに干渉する事。
後は……禁忌の術を使えることね。
それと
「天使召喚:天使アンジェ」
天使を眷属にする事ができる事ね。
暗い夜の闇が晴れる程の明るい光。
相変わらず無駄に目立つわね。
「ちょっと、無駄ってひどくない?格好良いでしょ!綺麗だし!」
「私は何も言ってないわ」
フイッと目をそらす。
「じゃあこっち向いて同じ事言える?」
「さぁ?」
顔を合わせて笑い合う。
このやり取りも随分と久しぶりね。
目の前にいるのはふわふわの金髪、宝石のような青い瞳を持つ、4、5歳の男の子。
子供のような幼い姿をした天使、アンジェ。
ちなみに元同僚の天使に片想いしてるけど告白できないヘタレよ。
「シェイルから邪念を感じた」
「気のせいね」
ジトーとした視線は無視する。
アンジェとは私が生まれた時、と言うより、生まれる前からの付き合いよ。
アンジェは元々転生を司る、転生神ラインキャラナの眷属天使の1人だったのだけど、私の転生の際に、守護天使として一緒にこの世界に来て、生まれた後に正式に眷属契約をしたのよ。
「久々の召喚だね、どうしたの?」
「ちょっとここにいる人達の殲滅をしようと思って」
「うわ、キレてる。シェイルが珍しくキレてる」
アンジェが引いてたけどそんなの知らないわ。
「あ~、単純に神力をぶつけるだけで良いよね?」
「ええ、それで良いわ」
ただの攻撃と侮るなかれ、よ。
まず、神力は、魔力に似たようなもので、神の持つエネルギーのようなものよ。
それを、力を加えてギュッと固めて、球状にするの。
それを投げつけたら、込められている神力が爆散するのよ。
その際の衝撃波で皆飛んでいく。
四肢がもげてしまっている人もいるわ。
ちょっと良い気味ね。
「シェイル!黒い!黒い!落ち着いて!」
アンジェが慌ててストップをかけてくる。
「大丈夫よ。この光景見てたらちょっとスッキリしたから」
「どこが大丈夫かわかんないんだけど」
大丈夫よ。きっと。
対魔術結界が解けたのを確認して神力を球にするのを止める。
「さて、殲滅完了かしら?」
広場に面した建物の屋根から広場を見下ろし、そう呟く。
「じゃねぇか?全員死んでら。いやー圧巻。なんかもうスゲェを通り越して怖ぇよ、コレ」
それに、隣から返事が返ってくる。
「全員、ではないんじゃないかしら?」
「言えてら」
私が立っている屋根の隣にちゃっかり腰掛けた、銀色の髪を持つ、妖精の守人の長。
「確かに心臓を貫いて、血から凍らせたはずなのに、どうして平気なのかしら」
「全然平気じゃねぇぜ。血が足りねぇ」
そう言って彼は、青色のポーションを取り出し、呷るように飲む。
「あ、それ」
「おぅ、ステラ嬢ちゃん特製のHP回復薬。便利に使わせていただいております」
「いえいえ」
ペコリと頭を下げられたので、こちらもペコリとお辞儀をする。
「ねぇシェイル。決定的に何か違うと思うんだけど」
わかっているわよ、アンジェ。
「ん、オレ復活!……じゃ、始めるとすっか」
ケンゴの闘気が膨れ上がる。
こちらも返すように神経を張り詰め、殺気で返す。
容赦なんてしないわよ。




