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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2章 はじまり
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39話 事件-合流-

ブクマ20件ありがとうございます!

シェイル視点です

今回も長めです

 サンレイズの街に静かに雪が降る。

 これだけ見ると綺麗な光景、だけなのにね。


 そう考えながら、私は即席で創った氷の弓に魔力を通すのを止める。

 その氷の弓は自然に割れ、ダイヤモンドダストの様に空中を舞ってから消滅した。


 できる限り急いだのにこの結果なのね。


 既におばあちゃんの結界の中に転送させた、5人の亡骸と地に伏したままのスバルを見ながら思う。


「ねぇ、私も混ぜてもらえないかしら?」


 だから。

 この胸の中にある負の感情は全て貴方達にぶつけさせてもらうわ。


「氷雪万華。雷光連華」


 一切容赦の無い魔術を最初から、全力で彼らに向けて撃ち込む。

 間に合わなかった悔しさを、全部ぶつけてあげるわ。




──9時間前。


 セクルから救援を受けた私はすぐさまプログレス市に向かう事にした。


「おいっ嬢ちゃん!何無茶言ってんだ!今吹雪で足止め食らってんだぞ!こん中強行突破する気か!?確実に遭難するだろ!2時間程度で辿り着けっか!」

「晴れていれば平気でしょう?」

「晴れていればな!」


 そう言って彼は白銀の世界を指差す。


「大丈夫よ。貴方達が私の専属になってくれれば問題ないわ」

「何でそうなるの!?」


 確かに話を飛ばしすぎたかもしれないわね。


「私の専属になってもらえれば、ある程度私の秘密を教えても平気になるからよ」

「その瞳と髪以外に何かあんのか?」

「えぇ、どっさりと」


 種族とか、スキルとか、ね。


「うわ、とんでもねぇ雇い主だ」

「で、どうかしら?」

「こういうのって即決で決められねぇんだけどな……」


 当然ね。

 賃金。活動内容。留意点。

 今後の事を考えて熟考しなければならない所だもの。


「まぁ、俺はのった!お前らは?」


 である所を即決する団長。

 その彼は後ろを向いて4人の団員に話しかける。


「のった!」

「同じく」

「俺もだな」

「面白そう」


 はい、これで5人全員の了承をゲットね。

 話が早く進んでよかったわ。

 どのみちいつかは専属の話を持ちかけるつもりだったもの。


「私から言っておいてなんなのだけど、即決すぎない?」

「ま、嬢ちゃんだからな」

「その辺は大丈夫だろう」

「あれがあったからな」

「うん、あれ凄かった」

「やらかしてた」

「うっ」


 彼らが言うあれ、とは山に登っている時の事ね。

 近くの村の子供達が二桁後半の数の魔物の集団に襲われてて、助けようにも距離が開きすぎてて、魔法を飛ばしたのよ。

 そしたらオーバーキル。

 魔物は粉々に砕く散ったわ。


「あれだけ強いんだったら危険地帯に放り込まれるっていう心配もないだろうしな」

「泣いてた子供達をあやして、急いでるのに町まで送ってたしね」

「信頼できる」


 まぁ信頼してくれるなら良いわ。


「で、どうすんだ?」

「全員荷物をまとめて入り口で待機をしておいて」


 そう言って私は洞窟の外に出る

 後ろから「おい!」と焦った声がする。

 大丈夫よ、と言う代わりに手を振って答える。


「雪園」


 私の魔術は回路、つまり魔法陣をつくり、私が付けた、作品名のような技の名を起動の鍵として、発動させる仕様なの。


 この雪園(ゆきぞの)は、私が指定した範囲に雪を降らせる氷魔術。

 元から雪が降っているここでは、上書きという形で、強風や吹き付けてくる雪の粒が止むわ。


 そして、この雪園の空間は、私の支配領域(テリトリー)

 つまり、MPの消費を抑えたり、魔術の強化をする事ができるのよ。


 範囲は半径1mと狭くし、その分上空に高く広げる。

 この雪山を覆っている分厚い雲の上まで、私の魔力でつくった雪で満たされた事を確認すると、次の魔術を準備する。


 ほんの1部だったら天気を変えるのは簡単なんだけど、広範囲はさすがに無理。

 だからといって打つ手がない訳じゃないわ。


「それなら雲を晴らせば良いだけよね」


 雲を動かすだけの風を起こすのは軽く天変地異になっちゃうから、ちょっと強引に。


「凍結晶、靁貫」


 私の上空に魔法陣が現れ、周辺の雲を、連鎖反応を引き起こすように氷の結晶に変え、それに追従するように、雷が四方八方横方向にのびる。

 後は粉々に割れた氷が降り止むのを待つだけね。


 入り口で待っている彼らを振り返ると、皆一様にポカーンとしていた。


「……氷雷の戦姫──」

「えぇ、正解」


 両手で丸を作る。


 年齢が足りてないから私はまだ冒険者ではないのだけど、それに近い活動はしているの。

 主に父様の補助ね。


 だから、私は幾つかの二つ名を持っているわ。

 この年で、しかも二つ名が複数というのは特殊なのだけどね……。


 私は全属性の魔術をメインに使うけれど、その中でも特に、氷と雷の相性が良いのよね。

 だから氷雷の戦姫。


「じゃあ下山しましょうか」

「……おう」


 いまだにショックの抜けていない5人を急かして山を降り始める。


 降りる道中では何も起きず、1時間かけないでプログレス市に着くことができたわ。

 いきなり山の方の空が凍って雷が横に光ったが、何か知らないかって聞かれたけど、知らぬ存せぬを通したわ。

 本当の事を言ったら手続きに時間がかかってしまうもの。


 プログレス市に入ったその足で市長邸に行って、面会予約を取り付ける。

 勿論フードは被っておいたわ。

 市長には知らせておくべきだろうけど、不特定多数の人にこの髪の事を知らせる気はないもの。

 定期的におばあちゃんから魔法薬を取り寄せる方法も考えておかないとね。


 その後は、今後お世話になるであろう研究所に行く。

 奇人変人の集まりというのは本当のようね。

 皆、私の髪も瞳も忌み嫌わなかったわ。


 逆に興味津々で理由や原因を聞いてきたわ。

 面白いところね。

 明るくて楽しそう。


 ここでだったら、のびのび研究も開発もできそうだわ。

 安心ね。


 顔合わせが終わったら、もう一度市長邸に行って、市長と会って、移住申請書類を提出。

 その後、私の住む所、活動範囲、内容、目的、この市の町並み、システムといった情報を交換したわ。

 ちなみにここでも白髪とオッドアイは嫌悪されなかったわ。

 ここおかしくないかしら?

 大丈夫?


 まあ、好意的に取られているのだったら損はないわね。


 最後に転移許可をとって、一時アントライト傭兵団と別れ、門の外に出る。

 私の魔術の転移ポイントにプログレス市を登録して私のやる事は完了ね。


 私の魔術だと、1回その場所を訪れて、転移ポイントという、長距離転移するためのマーカーを登録しないと行使できないの。

 つまり、1度も行った事なのい所には転移できないのよね。

 だから、必ずここに立ち寄る必要があったの。


 領内転移許可証は取ってあるから、サンレイズに帰りますか。

 思ったよりも時間がかかってしまったわね。

 もう日が暮れるわ。


 そう考えながら中央門を潜り、ステラ邸に帰る。


「ただいま戻りました。父様、母様」


 そう言って一礼する。


「シェイル!帰ってきて早々に悪いけど……」

「事情はセクルから聞いております。事態の収集には私が向かいます」


 予定よりも早く帰ってきた私に、ステラ邸の空気が若干ざわついたが、父様の落ち着いた対応により、落ち着きを取り戻す。


「頼んだ」

「お任せください」


 ニコリと微笑んで答える。

 もうこれ以上好き勝手にはさせないわ。


「あ、シェイル。コートは着ていってね、風邪引くよ!」


 ……こういう時に締まらないのが父様らしいわね。

 張りつめた空気が一瞬で緩んだ感じがするわ。


「動きやすい格好で行ってらっしゃい、シェイル」


 ありがとうございます、母様。

 心の中でさりげないフォローに感謝しながら頷き、街の方に向かって歩き出す。


 小さい頃は寒いのが苦手で、コートを羽織っていたけれど、今は逆に空気の流れを感じるためにも、着ない方が戦いやすいのよね。


 雪園を街全体に展開して、スバル達を探す。

 雪園はその範囲内にいる人に関する情報や、存在するもの全てを把握する事ができるのよね。

 お陰で千里眼を飛ばして酔うという事もないわ。


 あぁ、いた。

 広場の方に皆集まっているのね。

 そこに転移をする。


 そして、5人の亡骸を見た。

 スバルが殺されかけていたのを見てしまった。


 見てしまったのよ。




 平常心が、一瞬で焼ききれた。

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