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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第1章  出会い
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4話 シェイルⅡ

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「おや、そこまで言うのかい」

「おばあちゃんがお店に入れてるんだから、心配なんて無いでしょ。それに、転移者であるならば、あとで必ず家に連れていく必要があると思うしね」

『??』


 そこまで、という言葉の意味がわからず、不思議そうな顔をする昴。

 その事を老婆が指摘する。


「若いモンがわからないって顔してるよ」

『あぁ……。今、私普通の町民の格好してるでしょ?……してるのよ』

『うん』


 この店に来るまでに見てきた人々の服装を思いだし、頷く。


『でも、私は姓を持っている。この世界では家名持ちは、貴族の事を示すの』

『ほ~、成程。お忍びだったのか。……あれ?』

『どうかしたの?』


 なんの違和感もなく話していたから気づかなかったけれど、言葉は通じないはずじゃ、と気づく昴。


『考えてみれば、どうして日本語……じゃなくて東和国の言葉がわかるんですか?転移の事も知ってますし』


 日本語、と言いかけて慌てて言い直す昴。

 ここが異世界であるならば、通じるはずがないのだ。


 しかし、違った。2人は納得したように頷いたのだ。

 知っているのだろうか、と思わず首をかしげてしまう昴。


『東和にはこの街に来る前に住んでいたからね』

『私のところは事情が少しあってね』

『転移の事も事情があるんだよ』


 この言い方からしてやはり、日本語や転生の事はマイナーなのだろう。


『それで、貴方の名前は?』

『あっ、まだ言ってなかった。僕は昴。秋谷昴です』


 昴がそう言うと、2人は何故か驚いていた。


『アキヤ……スバル……』


 そう呟いたシェイルの声は震えていた。


『ちょっと……ついてきて』


 そう言ったシェイルは次いで、おばあちゃん、今日はもう帰るね。と言って、スバルの手を引いて歩き出した。


『え…えっと、シェイルさん?』


 手を引かれたスバルは、とりあえずどこに向かっているのかを聞こうとする。


『シェイルでいいわ』

『わかった。シェイル。で、どこに向かっているんだい?』

『私の家よ』

『え゛?シェイルって貴族だったよね……。つまり、お屋敷……』


 変なところで庶民なスバルであった。


『その貴族相手に敬語なしでため口になっている人が何を言っているの……』

『あれぇ?そういえば……』


 特に慣れ親しんだ人としか打ち解けて話さない自分が、初対面のこの少女と、旧知の中のように話している。

 不思議なことだ。

 シェイルは何か特別なのだろうか。


 考え込んでいると、シェイルが立ち止まった。

 顔をあげると、3階建ての、西洋風のレンガ造りの洋館が立っていた。


 いつの間にかシェイルの家についていたのだ、と慌てるスバル。

 心の準備は一切できていない。


 大きい、と思っていると、シェイルは門番に近づいて「ただいま」と言った。


「シェイル様!おかえりなさいませ!……おや、そちらの者は?」


 20代の位の門番らしい男は、嬉しそうにシェイルを迎える。

 その分、後半のセリフは半音くらい、トーンが下がっている。睨まれていたような気もする。というか確実に睨まれていた。


「彼はスバル。おばあちゃんの店にいたの。少し聞きたいことがあって連れてきたの」

「エディ殿の。左様でしたか。ではどうぞ」


 門が開き、シェイルが中に入っていく。

 スバルもその後に続く。


 ……再び門番から睨まれる。

 初対面に威嚇してくるのはどうかとと思う。

 この家は大丈夫なのか?と心配になってしまう。


 門番が睨んできていたのは、シェイルも気づいていたようで、門が閉まると謝ってきた。


『ごめんなさいね。エル──あの門番はいい人なんだけど、最近は、私の周りでゴタゴタしていて、見知らぬ人にはああいう風になってしまうのよ』

『ゴタゴタ?』


 スバルが聞き返すと『貴族のあれこれよ』とお茶を濁された。

 まぁいいか、と切り替えて、前に進むシェイルに


『聞きたいことってどんな事?』


 と聞く。

 まだ繋いだままだったシェイルの手がわずかに震えたような気がした。


 その事についても聞く前に、シェイルが


『まずはお昼よ』


 と言って、突き当たりの部屋に入る。


『……ここは?』

『食堂よ』

『広っ』

「ヒューズさん。私と彼の分の昼食をお願いします』

「はいよ」

『?誰?』

『ここの料理長さん』

『!あ、ありがとう。お腹がそろそろ限界だったよ』

『でしょうね』


 シェイルはそう言って、笑いながら席についた。

 スバルはどこに座ればいいのか迷った挙げ句、シェイルに手招きされて、彼女のとなりに座った。




 料理長さん──名前は既に忘れた──に出してもらった昼食は、簡単なサンドイッチだったけれど、とても美味しかった。

 さすが貴族、と思ったスバルだった。

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