37話 事件-ピンチ-
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ありがとうございます!
少し長め&残酷な描写有りです
〈察知〉の“魔感知”を常時発動させる。
戦闘スキルと演算スキルも全部オンにする。
耐性は意識しなくても常時オンになっている。
〈剣道〉の機能“俊足”は脚力をあげる力がある。
“剛腕”は腕力を、“集中”は文字通り集中力をあげる物。
全ての機能をフル活用して身体能力を向上させる。
手近な所にいる人から切り捨てていく。
いちいち鍔競り合うのも面倒だね。
徹底的に急所だけを突いていこう。
足を斬り落とす。
腕を斬り飛ばす。
手首を叩き斬る。
心臓を突く。
首を斬り裂く。
1人切り捨てるごとに、広場の石畳が、夕暮れ時の薄暗い闇の中でもわかる程、赤く染まる。
吹き出た血が、頬にかかり、ベストを赤く染め、染みを作っていく。
血で濡れた石畳を踏んで、全身が血に濡れている感じがする。
1人、また1人と切り捨てていく。
1度切った相手は振り返らない。
もう致命傷を与えてるもんね。
〈斬撃強化〉が良く効いてるね。
短時間で終わらせたいから〈魔闘法〉に注ぎ込むMPを多くする。〈魔闘法〉っていうのは、MPを消費して攻撃力や身体能力を上げる事ができるんだ。
身体能力が上がって動きが滑らかになる。
剣速が比例するように上がる。
僕の〈思考加速〉はまだ×1.2程度にしかできないから、今んとこ役に立ってない。
多分、この人達も同じような物持ってるんじゃないかな。
MP勿体ないから鑑定はしないけど。
〈思考加速〉で足りない部分は〈並列思考〉で補っている。
これのお陰で、察知と戦闘を並列で行えてるんだ。
おっと、魔法が飛んできた。
皆距離をとってる。
何?接近戦じゃなくて魔法戦?
別に良いけど。
うわ。
莫大な魔力。
魔法戦は魔法戦でも、大魔法ぶつけてくる気なの?
あの回路からして、火魔法。広範囲。
あ、上級だコレ。
僕の耐性は〈火炎耐性〉だから中級属性の耐性。
つまり、上級魔法は防げない。
マズッ。
上空に浮かんでいる魔法陣を見上げてた体勢から、ダッシュで広場の端、魔法陣の範囲外へ行こうとする。
って、だぁああ!
他の連中が初級魔法連発してきた。
逃がさないって言うの?
あぁ、もう。
じゃあ斬るか。
さっさと切り替えて魔法陣をしっかりと捉える。
〈剣道〉の“俊足”を使って魔法陣のところまでジャンプ。
か~ら~の、真向斬り!
回路の電池みたいな所、核をスパンと斬る。
よし、無事魔力が霧散したね。
あ、皆ポカンとしてる。
まぁ普通はできないからね。
エディ婆は呆れ顔。
前に見た事あるもんね。
1度練習の時に、制御をミスってね。
慌ててパニックになった僕は、とっさに剣を召喚して、スパンと斬っちゃったんだよね。
隣にいたシェイルもビックリしてた。
「私と同じような事する人初めて見たわ」って言ってた。
僕としてはシェイルも出来る事の方がビックリなんだけどね。
本来魔法を無効化するには、魔法が発動した後に、同じ魔法で打ち消すか、対極の魔法で中和するか、しか方法はないんだって。
さらに、魔法が得意な人は、回路の中心である核が見えると。
で、普通と違うのはここから。
魔力や魔は、物質ではあるけど、それは極小さいもので、実際には、それが発光しているものが見えているだけ。
だから、正確な場所はわからないし、触れる事もできない。
それを斬ってるんだから、まぁおかしいよね。
ちなみにシェイルは100m位離れた遠距離から、矢で核を撃ち抜いた事があるそうな。
シェイルは弓に関して天賦の才があるらしいけど。
もう天才っていうレベルじゃないよね。
だけどちょっとマズイかな。
斬るタイミング失敗して核にちょっと魔力吸われちゃった。
〈MP自動回復〉と〈魔闘法〉でプラマイゼロだったから、MP残りはもう1/5だよ。
といってもまだ1000残ってるんだけどね。
でも残りは温存しておきたい。
だってほとんど減ってないんだもん、鬼。
いや、僕はしっかり大人数斬ったよ。
しっかり致命傷与えて。
だけど回復させられてるんだもの。
あー舐めてたかも、回復役君の力。
巫の要注意人物だからね。
あー、これMPバカみたいに使うから嫌なんだけど、全員〈鑑定解析〉して“文書記録”に保存。
えっと、カミヤ・トウヤは……。
「あぁ、そこにいたの」
門兵君達のいる所。
確かに僕そこは攻撃しないけどさ、君1人を狙って攻撃すること位、造作もないんだよね。
でも、死者を盾にしようとしたんだ。
君は徹底的に殺る事にしよう。
「店主さん達の傷跡からしてさぁ、殺したのって君だよね。アザは濃いけど、あの程度の打撲じゃ人は死なない。何か他の決定打があったはずだ。気になったから調べてみたんだよね。死因は逆回復。逆回復状態、後死亡って感じだったんだ」
殺気でもって軽く威圧しながら回復役君の方に歩く。
「シェイルに聞いたことあるんだよね。魔法で回路を、魔法陣を逆に組み立てたらどうなるか。制御から外れて暴走するんだって。それが回復系だったらどうなる?」
剣の柄をしっかり握って、細めた目で、目の前にいる回復役君を見る。
「答えは良くわかってるよね。逆回復して、状態異常を起こさせる」
手首、足首と末端から斬り落としていく。
一発で殺さずに嬲っているのに私怨が混じっている、何て事は無い。無いったら無い。
「時間と余裕があったら僕も君に逆回復してあげたんだけどね」
「わ~お、スッゲェ黒い、怖ェ」
中途半端に回復力が強いから時間をかけてられない回復役君に、本気で止めを差そうと刀を振り上げたら、話しかけられた。
「君は──」
「よぅ、4日ぶりだな」
真後ろの家屋の屋根。
そこに腰掛けた銀髪の少年。
4日前にシェイルが解決したあの事件。
あの時の騒動の中心にいた少年だね。
何でここに──
「あぁ、そっか、そうだったねぇ。忘れてた」
「オレ忘れられてたんかよ。一応コイツ等のトップなんだけどな」
「そう言えば、君の名前はケンゴだったね」
「正解~。にしてもやっぱ強ェな」
喧嘩少年が、座っていた民家の屋根から飛び降りてこちらに歩いてくる。
3階立ての建物の屋上から飛び降りてそのまま普通に歩いてくる身のこなし。
長なだけあるね。
隙がない。
「そいつ等だって別に弱ェ訳じゃねぇんだぜ。逆回復させられたら反撃なんてできねぇもんな。ステータスも低下しちまう」
「されなかったら関係ないよ」
「ハハッ。そりゃそうだよな。オレも同意見だ。──ん~?確かここに、お、あったあった」
ごそごそとやっていた喧嘩少年がポケットから取り出したのは、筒状の物体。
「それは……?」
眉をひそめて呟く。
どこかで見たんだけど……。
喧嘩少年は、そんな僕に構わず筒状のそれに魔力を込める。
すると、光が爆発したみたいに溢れ出す。
「それ!?」
「お?気付いた?ステラ嬢ちゃん特製、範囲完全回復魔法の効果を施す魔道具。息さえしてれば、どんな状態でも完全回復させちまう代物。スゲェよな、こんなものまで創れるなんて」
喧嘩少年はまじまじとその筒をみている。
でも僕はそれどころじゃない!
僕は大人数を斬ってきたけど、人数が多かったからいちいち止めなんて刺してない。
時間が経てば、失血やショックで死ぬと思っていたから。
でも、それが全員復活してしまったって事!




