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神々の箱庭  作者: チャーリー フール
第2章 はじまり
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31話 事件-救援-

シェイル視点です

「山の天気は変わりやすいと聞いていたけど、まさかここまでとは思わなかったわ」


 山腹の洞窟で私は小さく呟く。


「な、言っただろ。ここはコロコロ天気が変わるんだ」


 そんな私の声に返ってくる返事。

 後ろにいるのはアントライト傭兵団。

 私が雇った、ラート領きっての腕利き達の集まりよ。


「なぁ嬢ちゃん。何か鈴の音がしてねぇか?」

「してるわね」


 この鈴の音。

 私が創った小型通信魔道具──通信珠の受信音ね。


 荷物をまとめて置いている所に行って、通信珠を入れている箱の蓋を開ける。

 この箱には、10を越える通信珠が入っているわ。

 この通信珠は1対1の通信しか行えないから、複数の人にこれを渡していれば、その分だけ私が持つ通信珠の数が増えるのよね。


 光っているのは赤の魔石。

 セクルに渡した物ね。


「あら、珍しいわね。貴女が使いきりのコレを使うなんて」


 この通信珠は、1回魔力を通すと割れてしまうから、1回しか使えない、使いきりの物なのよ。

 魔石を原料としているから、大量生産はできなくて、セクルには1つしか渡してないのに。

 コレを使うという事は、余程の事かしら?


「大体察しが付くけど、街で何があったの?」

“領主が昨日の夕刻から動き始めました”

「あらあら、ほぼ予想通りね」

“はい。ただ、妖精の守人が全員動かされました”


 ふーん、全員を。

 自然と目が細くなる。

 相当本気のようね、向こうは。


“当主様も奥様もエディ殿も動けない状況です。確実に手詰まりになっております。どうかお知恵を──”

「ねぇ、セクル」

“っ、はい!何でしょうか”

「私を、誰だと思っているの?」


 薄く笑いながら聞く。


“シェイル様です”

「!ふふふ。そういう答えが返ってくるとは思わなかったわ」


 間髪入れずに返ってきた答えに思わず笑ってしまう。


“シェイル様?”

「あぁ、ごめんなさいね。安心して、セクル。嫌な予感がしていたから、予定を繰り上げていて──今はプログレス市に向かっているわ」

“!?”


 そう。今は、ラート領中央都市ミッドストリームと、プログレス市との直線距離にある山の中なのよ。


 本来の予定であれば、移動に1日。

 2日目に面会の予約を入れて、3日目から5日目にかけて対談。

 6日目にプログレス市に向かって、そこで移住後の手続きの下準備や、研究員との顔合わせをするつもりだったわ。


 でも、転移の許可を父様と母様から頂いて、領境の検問を経由した上で、ミッドストリームまで転移で道中を短縮したの。

 そして、その日の内に面会を予約して、アントライト傭兵団を雇ったわ。

 2日目には対談をして、領内転移許可証と移住に関する書類が発行され、それを受け取ったのは3日目の夕刻だったわね。

 その足でプログレス市までの最短距離、つまり、山道へ向かったのよ。

 そして現在、吹雪で足止め中というわけ。


「あと1刻程度で到着させるわ」


 おい、無茶だろ!という後ろの声は無視する。

 後1時間程度で着く距離だから大丈夫でしょう。

 1時間も余裕をつけたのだから問題無しよ。


「手続きは無効にしたくないから終わらせてくるわ」

“お時間は?”

「そうね、面会予約も含めるから8時間かかるかしら?だから、知恵を貸す必要はないわ。今日の夕刻まで保たせて」

“はい!”

「私自身がそちらへ行くわ」


 ゲームを、終わらせるわ。

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