29話 事件-整理-
夜が明ける。
といってもまだ日は昇ってない。
東の空が白くなってるくらい。
店の中にいる僕が何でわかるかって?
店に大穴が空いてるからだよ。
襲撃者の1人が、バカじゃないの?っていう位の大火力の魔法を撃ってきたんだよ。
お陰で周辺の建物全部吹っ飛んじゃった。
後の事考えたくないなぁ……。
第1陣の襲撃者を全員捕まえた後も、時々ではあるけれど襲撃があった。
全部撃退してたから戦闘スキルと魔法がガンガン成長したよ。
6時の定時報告によると、住民の避難が完了したんだって。
ただ、急な襲撃だったから、何人か死者も出たんだって。
遠くの事だから実感がイマイチわかない。
でも、この街の人が犠牲になったんだ。
ゲームのせいで。
たかがゲームのせいで、だ。
本当にここの領主さんはロクでなしだな。
侍女さんは……まだ眠ってるね。
戦えるメイドさんだけど、睡眠は必要だもんね。
僕?
僕は研究員時代のデスマーチがあるから3日位は平気。
察知魔道具の範囲内に人影はないし、昨日侍女さんから聞いた妖精の守人について整理してみようかな。
妖精の守人。
それは、領主さんがコレクションした人達でできた組織。
1人1人が極めて珍しい能力を有している。
妖精の守人には階級があり、上から長、副長、巫、騎士、兵士。
シェイルですら全ては把握してない構成員の情報を、侍女さんはあまり持ってないって恐縮してた。
大丈夫だよ。
僕が今まで相手にしてきたのは兵士。
つまり、1番下っ端。
それでさえ撃退するのにこんなに苦労したんだ。
他の階級の強さはとんでもないんだろうね。
隔絶して違うのは上の3つ。
巫は、回復・サポート系のスキル持ちで構成されている。
要注意なのは、光上級属性、奇跡の属性スキル持ちのトウヤと呼ばれる男。
蘇生一歩手前の能力が使え、瀕死の重症すらも一瞬で治してしまうらしい。
一発で気絶させるか、殺るかしか倒す方法は無さそう。
副長は、戦闘系のスキル、技術持ちで構成されている。
上から2番目、構成員は全部で10人、という事で、当然全員が警戒対象だ。
それぞれ、スキル〈剣の鬼才〉が2人。
〈剣の真髄〉が1人。
〈弓の真髄〉が1人。話を聞くに、たぶん最初に僕を襲った人だと思う。
〈矛の天才〉と〈短剣の鬼才〉持ちが1人。
〈弓の天才〉と〈軍師の天才〉持ちが2人。
〈軍師の真髄〉が1人。
〈鎌の鬼才〉と〈指揮の真髄〉持ちが1人。
〈刀の鬼才〉が1人。
真髄って100年に1度って言われる位レアなスキルの筈なんだけどね。
最後に長。
これはたった1人って決まってるらしい。
巫も副長も強い。
なのに、今代の長の足元には、束になっても届かない程強いんだって。
戦闘の際の残忍かつ容赦の無い性格。
怪我を恐れない豪胆な性格。
圧倒的な戦闘技術とセンス。
実際の殺し合いの時の、柔軟かつ早い頭の回転。
戦いの申し子と呼ばれるほどの強さらしい。
使うのは魔剣。
それも多種多様な。
名前はケンゴ。
はて、どこかで聞いたことがあるような。
というか見た?
何だっけ。
と、侍女さんが起きてきた。
ところで僕の騎士服とかない?あれの方が戦いやすい。
あった?凄いっ。
え、シェイルが持っていくと良いって言ってた?
シェイル凄いな。
妖精の守人の資料も持っていくと良いって言ってたらしいし。
日が完全に昇った。
長い1日が始まりそうだ。
同時刻、とある山腹にて────
世界は白銀だった。
一寸先は雪の嵐で、何も見えなかった。
洞窟内に響く風の音は、何重にも木霊している。
1人の少女が洞窟の入り口に立っていた。
吐き出した息は、その少女の髪色と同じ白となり、虚空に消えていった。
因みに副長達の名前は上からユキ、エーゴ、ドロウス、ユミ、デューク、スーボ、アンク、テツ、フェクト、シュウスイです
多分ほとんど出てきません
(もしかしたらいつか書くかも?)




